薄毛には唐辛子が効く!
薄毛の起源は、文明の起源に遡るいわれる。育毛剤は紀元前のエジプトから存在していたといわれ、古代ギリシャの哲学者、アリストテレスも禿頭に悩み、動物の糞尿を頭に振りかけていた。
超名医が超名医のみを紹介する大人気連載の三回目は、第一回目に登場したNTT関東病院大圃研先生が推薦するAGA(男性脱毛症)の権威、名古屋Kクリニックの岡嶋研二院長が登場です。
――60代半ばとは思えないほど豊かな頭髪ですね。

岡嶋:もし私の頭が薄かったら、説得力ないでしょう(笑)。私は熊本大学やウィーン大学、名古屋市立大学大学院で長年血液学の研究をしてきたのですが、その研究成果から、頭皮や胃腸の知覚神経を刺激すると、髪の毛を成長させる働きがある「インスリン様成長因子-1(以下、IGF-1)」が増加することがわかりました。このIGF-Iという物質が、薄毛を防ぎ、発毛を促してくれるんです。

岡嶋:ごく簡単に言うと、IGF-1の量が多く出ている人は髪の毛がふさふさで、薄毛の人はIGF-1が少ない傾向があるんです。IGF-1は思春期を境に自然と減少してしまいます。年齢と共に髪の毛が薄くなるのもそのためです。しかし、ある食品を摂取し続けているとIGF-1が増加し、薄毛の人の頭髪の量が目に見えて増えていくことがわかったんですよ。
――わかめやひじきなど、海藻類がよいとはよく聞きますが……。

岡嶋:最もIGF-1を増やすのは唐辛子なんですよ。唐辛子に含まれるカプサイシンや、大豆に含まれるイソフラボンという物質が、頭皮や胃腸の知覚神経を刺激し、IGF-1の分泌を促してくれるんです。唐辛子と納豆や豆腐などの大豆製品を組み合わせて食べるとIGF-1が増加し、育毛に効果があります。
居酒屋メニューにもある、キムチ納豆はベストですね。発酵食品のヨーグルトや味噌もIGF-1を増やしてくれます。他には、ショウガ、わさび、海藻、亜鉛、根菜類、赤ワインやコーヒーに含まれるポリフェノールも育毛には効果的な食材です。また、米ぬかや玄米も知覚神経刺激作用をもっており、頭髪には優しい食べ物ですね。
――今日から三食キムチ納豆と玄米ご飯にします。あと、わかめの味噌汁も。反対に、頭髪にあまりよくない食べ物はありますか?

岡嶋:まず塩分は控えたほうがいいですね。外食のメニューには塩分が多く含まれるので、外食の回数を減らしただけで髪が太くなった人もいます。嗜好品だと、タバコは明らかな悪影響です。
――食事以外でIGF-1を増やす方法はありますか?

岡嶋:生活習慣を改善することでIGF-1を増加させることができることもわかっています。髪の毛は午後10時から午前2時の間に成長します。その時間に深い睡眠をとるのが理想ですね。ただ、小学生ではないので夜の10時に寝ることはできないでしょう。午後10時から午前2時の間の、髪の毛のゴールデンタイムのうちに、ぐっすりと熟睡できる時間帯を少しでも取ることを心がけられるといいですね。
――運動も育毛には効果がありますか?

岡嶋:体を暖めることでIGF-1は増えるので、運動は育毛に効果があります。軽めの有酸素運動がお勧めですね。私はストレス解消も兼ねて、1日1万から1万5000、毎朝歩いています。20年ほど体型は変わっていません。体を温めるという観点からいえば、シャワーよりも入浴がいいですね。私は43度のお風呂に20分ほど浸かっています。
――シャンプーはどんなものを選んだらよいのでしょうか?

岡嶋:界面活性剤が入っているシャンプーはNGです。シャンプーの宣伝などで、毛穴のアブラも残さず落とす、という趣旨のフレーズを耳にしますが、毛穴が脂でつまると髪が抜ける、というのが間違いです。