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LIFESTYLE 「超名医に聞け!」

男性のがん死亡率3位!「情熱大陸」名医が教える大腸がんの防ぎ方とは?

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便秘や血便は要注意

オフィスでも家庭でも責任重大な40代。「カラダが資本」はわかっちゃいるけど、ろくにケアしている時間もない……。そうお嘆きの諸兄のために、FORZA STYLE医療班が40男の健康リスクについて、「名医中の名医」に尋ねる新企画がスタート。

第一回目に登場いただくのは、TBS系の「情熱大陸」でも紹介されたESD(内視鏡的粘膜膜下層剥離術)の権威、NTT東日本関東病院内視鏡部 部長の大圃研(おおはたけん)先生です。いま急増中の大腸がんのリスクについて、根掘り葉掘り聞きました。

がんによる部位別死亡率は、女性一位、男性三位

厚労省の2016年度の調べによると、癌による死亡の部位別統計で、大腸癌は女性1位、男性3位。患者数は50代から急増し、高齢になるほどそのリスクは高まるとされます。

大腸がんは粘膜の表面で発生し、大腸の壁中へ浸潤。進行すればリンパ節や肝臓、肺などの他の臓器にも転移します。食事の欧米化が進んだことや運動不足による肥満が危険因子といわれていますが、「正しい知識を身に付ければ恐れるに足りません」と大圃先生は一笑に付します。

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「まず大切なことは、大腸がんはコントロールできるがんだということです。極論すれば、正しく検査をしていれば、命を取られるがんじゃないんです。一般的には、ステージⅢでも6割から7割の人が適切な治療によって救われます。また、ステージⅠなら治療すれば9割5分は再発の心配もありません。良性のポリープの段階でとってしまえば100%再発しない。ステージⅣまでいくとリンパ節や他の臓器に転移してしまうからリスクがありますが、ステージⅢまでならかなりの人が助かる、だから、大腸がんはコントロールしやすいがんなんです」

――他のがんと比べると、予後がよいということですね。知らなかったです。気を付けるべき初期症状は何かありますか?

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「実は、初期の大腸がんには自覚症状がないと言われます。ステージⅠ、Ⅱで気づく人はまずいないでしょう。ステージⅢ、Ⅳで便秘や血便などが出てから『おかしいな』と思って検査に来る人が大半です。

自覚症状が出る仕組みがこうです。まず大腸の中でポリープができます。当初は良性だった腫瘍が時間の経過とともに大きくなって悪性のがんになるのです。大腸の中でがんが大きくなればなるほど大便が通り難くなる。便秘です。『どうも便秘でお腹が張るな。苦しいな』と思って受診するのがこのケースですね。

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また、がんで細くなった大腸の中を便が無理やり通るとき、腸壁を傷つけて出血。その血が付くのが血便です。大腸は肛門から近いので便に付着した血は赤いことが多い。

胃の付近で出血している場合、小腸を通って、大腸も通過するので時間が経つ分、便に付く血も酸化して黒くなるのです。便に血がついていても『ただの痔かな?』と勝手に判断しないことです。また、固形の便が通りにくく、水だけが通過するので下痢気味になるという自覚症状が出ることもあります。これらの症状に当てはまる場合、早めに検査を受けることが賢明です」

――特にリスクが高まる40代は、要検査ですね。

「大腸がんは、40歳から罹患のリスクが高まるので、自覚症状がなくても、一回は検査をすることをお勧めします。お手軽なのは、市区町村の自治体でサポートされている便潜血検査をすること。自治体でやっている検査は安いし、正確さでいえば6割くらいの確立でがんを発見できます」

――より正確に大腸がんの検査をするためには、先生の専門である内視鏡を使っての検査がいいと聞きました。どのように行うのですか?

「2~3時間ほどかけて2リットルの下剤入りの水を飲んでいただきます。スポーツドリンクみたいな味ですが、女性には結構ハードです。何回も便を出して大腸が空になったら、肛門から内視鏡を入れます」

――やっぱり痛いんですか?

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「それは、医者の腕次第としか言いようがありません(笑)。僕はもちろん腕に自信もありますが、麻酔もよく使いますね。患者さんからすると、いい医者かどうかの目安は『痛くなかったかどうか』、評価はそこしかない。

本当はポリープを見落とさない、見つけたものをきちんと治療できるか、が大切なんだけど、たしかに患者さんにとっては楽なのも重要なんです。『痛くてもう検査するのが嫌だ』と思わせてしまい、その後の人生で内視鏡の検査を一度も受けなくなってしまったら、早期に大腸がんを発見・治療できる機会を奪うことになってしまうかもしれませんから」

――大圃先生のお眼鏡にかなう、安心で痛くない検査をしてくれる病院を教えてください。

 

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「うちの病院の近所で言うと、『自由が丘メディカルプラザ』『おおいまち消化器外科クリニック』『めぐみクリニック目黒』『岡本平次クリニック』『坪水クリニック』この辺は安心だと思います。地方にも上手なお医者さんはいますよ。内視鏡治療の症例数をウェブサイトなどで公表しているクリニックを探してみるのも手です」

――検査の頻度はどのくらいがいいのでしょうか。漠然と年に一回程度かな、とも思うのですが。

「実は、年一回は過剰検査ともいえるんです。去年受けて、今年も何も発見されなければ、個人的には次は3年に1回でいいと思います。

もちろん検査してポリープがある人や近親に大腸がんになっている人は定期的に検査を受けることをお勧めします。大腸がんは家族歴も重要で一親等以内に一人いれば2倍、二人いれば3倍とリスクが高まるとされています。親子で大腸がんになったり、兄弟でなっているパターンは多い。遺伝のリスクも加味しましょう」

頼れるかかりつけ医の見分け方

――一般の人が検査を受ける場合、まずは自分で病院を調べなければいけませんが、ネットには玉石混交の情報があふれています。

「そんな時に頼りになるのが、かかりつけ医の存在です。親の代から家族みたいな付き合いをしているような医者が理想的なのですが」

――いいかかりつけ医、ダメなかかりつけ医の見分け方はありますか?

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「大きな病院への紹介状を書いてくれる時に、医者の名前が空欄の人はダメです。○○大学病院、御担当先生とかね(笑)。

あと、猫も杓子も自分の出身大学に回しちゃう人とか。医療ネットワークが薄弱な医者は、得てしてそういうことをしがち。先生の個人名をしっかり書けるかどうか、チェックしてみてください。

余談だけど、そういう医者ほど、自分の家族が病気になったとき、慇懃無礼な紹介状を書いてくるんですよね。自分の名刺を添付して、そのウラに『うちの家内です。どうそよろしく……』みたいな、ね(笑)身内にする様に患者さんにもしてほしいですよね」

――なるほど、紹介状の書き方に、その医者の資質が出ると。話を戻すと、「40歳になったら、一度は検査」ですね。

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「まさにその通りです。大腸がんの検査は、大きく分けて二種類あります。自治体の健康診断でやっている便の検査は安いし、簡単だから敷居も低くて誰でも簡単に受けられます。ちょっとその行為が寂しいくらいで、検査をする際のデメリットは少ない。ただ安価な分、その精度は完全ではないんです。一定の見落としが必ず起こります。

便検査は限界もあって見落としもあると覚悟してください。毎年、便検査をやっていても、進行している大腸がんが見つかってしまう人もいる。

ざっくり言えば自治体の便潜血検査の場合、早期がんで約半分、進行がんでも1~2割は陰性となり見落とされると思ってください。物は考え方だけど、あの価格ですと早期の段階では半数の人しか発見ができないのは仕方ないともいえるのです。

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もう一つの検査が任意型で、わかりやすくいいえば人間ドックで診てもらうこと。全身で10万前後くらいかかりますが、こちらは一人のがんも見落とさないことを目的にしている健診です。

保険診療ではなくて全額自費ですが、それでも自分の健康をしっかりチェックしたい方には賢い投資だといえます。

ただ、中には内視鏡が検査の含まれない人間ドックもあるので、申し込みの際に注意が必要です。内視鏡で検査すれば、よほどの例外がない限り、大腸癌は必ず発見できます。

40代になったら健康への投資も真剣に考えるべきです。大腸がんは前述のように自覚症状がないけれど、みなさん、自分の腸の中まで見たことないでしょ?」

――最後に大圃先生がご自身で実践している、大腸がんにならない生活習慣などあれば教えてください。

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「そういう質問は苦しい。実は僕自身は結構不健康な生活なので…(苦笑)。一般論に逃げると、ハムやベーコンのような加工肉、赤肉はよくありません。(※注釈:赤肉は牛・豚・羊肉などの肉のこと。脂肪分が少ない「赤身肉」とは異なります。)

喫煙や飲酒、肥満や運動不足も明らかなリスクファクターです。でも言い出すときりがない。なるならないは確率の問題だから。

全てのリスクを回避する様な生活を極端にやってストレスがたまるならやらなくていいと個人的には思っています。やりたい人のことは否定しませんが、大変でしょうね。無理のない範囲で意識すればいいのではないでしょうか。

最近僕は、30年間やっていなかった水泳を再開して、体重を5㎏落としました。威張れることじゃないけどね(笑)。

でも、あまり根詰めて生活習慣を節制するのも考え物です。それだけで絶対大腸がんにならない訳ではありませんから。それよりは定期的に内視鏡の検査を受けたほうがはるかに効率がいいし、時間的にも金銭的にも賢いといえますよ」

終始豪快、かつ簡潔に質問に答えてくれた大圃先生。ルックスは大泉洋ですが、その腕前はブラックジャック並みです(語弊あり?)。スマートな40代を送るために、大腸がんの検診は不可欠。ぜひこの機会に自分の身体を見つめてみてはいかがでしょうか。それでは、次回の「名医に聞け!」に乞うご期待。その日までテイクケア!

Photo:Katsumi Murakami
Text:Daisuke Iwasaki

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大圃研(おおはた・けん)
1974年生まれ。98年日本大学医学部卒業。同年、一般総合病院内科研修医。2000年、同医員。07年よりNTT東日本関東病院に異動、2013年より内視鏡部部長。ESDの第一人者で後進の育成も熱心に行う

 

 



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