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BUSINESS 「超名医に聞け!」

【自治体の胃がん検診はムダだらけ?】名医が教える原因、検査法、手術法。

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胃がんの99%はピロリ菌が原因だった!

仕事のストレスで胃がキリキリ痛む。家に帰ったら、妻からの小言や子どもからの白眼視、さらにキリキリで胃に穴が開きそうーー。そんなストレスフルな日々を送る40代の男性の心身の健康をサポートする人気企画です。

前回ご登場いただいた、肝臓ガンの世界的な権威・高山忠利日大医学部長・消化器外科教授にご推薦いただいたのは、日本大学医学部内科学系消化器肝臓内科学分野の後藤田卓志教授

日本屈指の胃がんの名医として高名な先生です。胃がんというと、胃を切除するイメージがありますが、胃をまるまる残し、なおかつ術後の合併症が少ない内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という技術のスペシャリストです。そんな後藤田先生に、胃がんについて根掘り葉掘り聞きました。

——かつて日本人のがん死といえば、胃がんでした。1993年以降、肺がんが一位になり、胃がんが減少傾向にあるのはどうしてですか。

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後藤田:まず胃がんの原因からお話ししましょう。胃がんのなんと99%は、ピロリ菌と呼ばれる細菌が原因です。免疫機能が十分に発達していない幼少期に口からピロリ菌が入り、加齢とともに胃炎や胃がんを引き起こします。いまの高齢者の幼少期は衛生状態が悪かった。

はっきりとした感染経路は分かっていませんが、親が咀嚼した食べ物を赤ん坊に与えたり、水道水も完備されていない地域もあり、雨水を貯めて飲むようなこともしていたと考えられています。ですから胃がんは高齢者の感染率が80%と高い。現在の日本では衛生状態も良いので15歳未満の感染率は5〜10%とかなり低く抑えられています。現在は、ちょうどその二つの世代の過渡期といえるでしょう。いまの40代の方なら、小さい頃に井戸水を飲んでいたりしなければ、そう心配する必要はないと言えます。

——ピロリ菌という原因を絶てば、胃がんの対策につながるということでしょうか。

後藤田:そうですね。私はピロリ菌を保有していないので、胃がんのリスクは極めて低いため胃の内視鏡検査は一回しかしたことがありません。ですので、まずはピロリ菌感染の有無を知っておくことが大切です。ピロリ菌の有無は血液検査で簡単に調べられますが、いまの保険制度では、内視鏡検査をしたうえでないと血液検査ができない仕組みになっている。

本来であれば、血液検査を先にしてピロリ菌の感染の有無を調べる。その上で、保菌者とわかった人に対して、内視鏡でのさらなる検診を行った方が効率的なのですが、制度上そうなっていないのが問題点です。

——もし感染が疑われたらどうしたらいいのでしょうか?

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後藤田:消化器内科で胃内視鏡検査を受けましょう。保険が効くので5000~6000円ほどで受けられます。ピロリ菌を殺す抗菌剤や胃酸を抑える薬を一週間飲む。もちろん薬は保険が効くので2000円ほどの負担になります。2、3ヵ月後に再度、きちんと除菌されたのかチェックして、ピロリ菌が消滅していれば治療は終わりです。ただ除菌が終わっても、ピロリ菌に感染していた期間のリスクは残ってしまうので、もとからピロリ菌がいなかった人と比べたら、胃がんの発生リスクは高くなってしまいます。

——自治体で行っている胃がん検診は無駄だらけ、とお話をされているようですが。

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後藤田:厚労省の通達で、胃内視鏡検査での胃カメラ検診も対策型検診として奨励されるようになりましたが、これまではバリウム検査でした。

受診者に造影剤(バリウム)を飲ませ、体位を変えながら、エックス線撮影をし、異常がないか、レントゲンの影を見て探す。そこで異常が疑われると、精密検査として胃内視鏡検査を受ける、という流れだったんです。バリウム検診と比較すると胃内視鏡検診の導入は隔世の感があります。ただ、導入が遅すぎましたね。

さきほど述べたように、今の日本にはピロリ感染率の高い高齢者と低い世代が混在しています。働き盛りの世代はピロリ感染率が低いのに苦しい胃内視鏡検診って有りえないですよね。そうは言っても、ピロリ感染者はいますので、まずは血液検査でピロリ菌に感染しているかどうかを調べたほうがずっと効率がよい。血液検査ですぐにわかるのに、まとめて同じ検診体制ってナンセンスだと思いませんか?

NEXT>>>患者の負担が軽くなる!? 胃を摘出せずにすむESDとは?



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