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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
HEALTH 「超名医に聞け!」

「電車の中でスマホ」で一気に老眼が進む、恐ろしい理由。

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失明のリスクも。あなたの目は大丈夫ですか?

電車の中でスマホばかり見ているそこのダンナ。ミドルエイジになってくると目にも様々な不調が表れます。見えにくくなれば、物につまずいたり、ぶつかったりと、身の安全を脅かしてしまうことも。

桐和会の岡本和久理事長のご紹介で、千葉大学医学部附属病院長で千葉大学大学院医学研究院 眼科学教授の山本 修一先生から「目から鱗が落ちる」目の話を伺いました。

──仕事でも私用でも、日々、新聞や雑誌に目を通し、パソコンもよく観ています。「そりゃあ目も疲れるよな」と感じている、私のような40代は多いと思うのですが。

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40代から老眼が始まり、60代で完成すると言われています。いままさに近くのピントがズレだす時期でしょう。

目の構造はカメラと似ておりフィルター(角膜)を通った光が、絞り(虹彩)を調整し、凸レンズ(水晶体)でピントを合わせてフィルム(網膜)で受け止める。若い時は水晶体が柔らかく弾力があり、瞬時に遠くでも近くでもピントが合いますが、加齢で水晶体が固くなり近くのピントが合いづらくなる。水晶体が固くなる原因はまさに老化です。この老化を止めることはできません」

──水晶体の老化は防げない? 目の周囲の筋肉を鍛えても?

「よく耳にしますが、俗説です。ピント合わせに働く毛様体筋は歳をとっても衰えませんし、鍛えることもできません。強い紫外線を浴びると水晶体の細胞が老化します。すでに近眼の人は、より進みます。日本は湿度が高いので普段は気にしなくていいですが、夏のビーチやゴルフ場など、紫外線が強い場所で活動する際、帽子を被ったり、サングラス、紫外線をカットするメガネをかけることを勧めます。

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@getty images

強い紫外線を浴び続けると、60代を過ぎたころから加齢黄斑変性という病気になるリスクも高まります。加齢黄斑変性症とは、名前の通り、年齢を重ねると、中心部が歪んだり、暗く見えたり、ぼやけて見えるといった症状が表れます。もともと欧米人に多い病気でしたが、ここ10年で日本人にも急増しています」

──スマホで新聞記事を読んでいると目がしょぼつきます。

「一般的に老眼は40代で始まり、徐々にピントが合いづらくなる。電車の中でスマホを見ていることを、目の立場から考えてみて下さい。揺れる車内で小さな画面の小さな文字に一生懸命ピントを合わせようとしているわけです。ピントを合わせる筋肉の毛様体筋が疲れてしまう。目がしょぼつき、痛くなったり、涙が出てくるのは当然のこと。

基本は子どもの頃、親によく言われた、『暗いところで本を読まない』『変な姿勢でテレビを観ない』『移動中に漫画を読まない』——、目が疲れる環境で見てはいけない」

──電車内でスマホは目にとって過酷な状態なのですね。

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「観るなといいませんが、細かい文字やゲームを目で追うよりも、ぼうっと動画を観る方が良い。もしも、電車に乗って、近くの焦点が合わないな、と感じたら老眼鏡をすべき。本や新聞を読んでいて、文字がかすれるようなら老眼鏡をしましょう。目の疲労感がぐっと減る。もともと視力の良かった人は老眼が出やすい傾向があります。老眼鏡という言葉に抵抗があるなら、リーディンググラスをかけましょう。読書用のメガネをかけましょう(笑)」

──40歳から気をつけるべきことは?

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「40歳を過ぎていたら5人に1人は緑内障の可能性がある。緑内障は、網膜の神経線維が傷つき、見える範囲が狭くなっていく病気です。失明の危険もある。自覚症状が乏しいので気がついた時に手遅れの場合もあります。40歳を過ぎたら一度、眼科の診断を受けた方が良い。検査すれば罹っているかそうではないかすぐわかります」

──自宅でできるセルフケアは?

「薬局で売っている目を温めるアイマスクはいいですね。温めて血液の流れを良くし、目の筋肉の疲労物質を取り除き、筋肉のコリをほぐす。私も新幹線に乗るとしています。もちろん蒸しタオルでもかまいません。

スマホやパソコンを凝視していると、自ずと瞬きの回数も減ります。減れば目も乾きやすい。加齢で涙の分泌も減るのでドライアイになりやすくなります。お風呂に入れば水蒸気で目も潤うので入浴もオススメです。

いちばん簡単な対処法は目を閉じる。どこかを見てしまえばその都度、目がピントを合わせようとするので、一回、スマホを閉じて、目を瞑る」

──ところで、山本先生の健康管理は?

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「ジムで筋トレをしています。去年5月、病院内に『Body Base』というジムがオープンし、パーソナルトレーナーをつけて筋トレを週一回やっています。自宅近所のジムでおさらいをし、合計週2回、汗を流してリフレッシュしています。パーソナルトレーナーの指導があると格段に違いますね。目標が見えてくるので、そこに向かってあとは頑張るだけ。

かつては、自宅でビリーザブートキャンプをやっていました。でも、ゴムを三本切った段階でブームも遠く去っており、どこにも売ってなく止めました。普段の生活から階段を利用するように心がけています。ズボンのベルトもこの10年変化なしで、スーツの上着は胸がキツくなっています」

──食事や睡眠は?

「野菜中心で、腹八分目を心がけています。甘いものは好きです。お酒を控えるようにしています。
7時間は睡眠するようにしています。夜11時に寝て、朝6時に起きます。病院長になってからスナップ・ジャッジを求められる回数がぐっと増した。5分刻みで瞬間、瞬間の判断を求められるようになり、睡眠不足や二日酔いで頭が回らないのは論外です。忙しくても7時間しっかり寝る。お酒を飲む時間を減らせ、一石二鳥です」

──今日のファッションの肝は?

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「ネクタイは気を使います。とかく地味な仕事ですが、病院長という立場を考えると、ピンクなど明るい色味で自分や周囲を鼓舞する。今日はブルガリですが、エルメス、フェラガモも好きで絞めています。
学会などの海外出張の際、成田や羽田の免税店で、『いちばん新しい柄は?』と見せてもらいますね。

靴はフェラガモが好きですね。海外のアウトレット・ショップを覗きます。フロリダにフェラガモの大きなアウトレット・ショップがあり、以前はよく行きました。フェラガモは革が丈夫で厚いので磨きがいがある」

──自分で靴磨きを?

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「靴を磨くのは好きなんです。フェラガモは手入れをすれば10年程履けます。底などはリペアショップで張り替えてもらいますが、自分で手入れすることで愛着も湧く」

──マメですね。他にご自分でやっていることは?

「アイロンがけも自分でします。シワが消えてピシッとすると気持ちがいい。トップにいる以上、ダラッとしているより、ビシッとしないと(笑)。靴磨きとアイロンがけは自分でやります。ほぼ毎週末、出張があり、日曜日に帰宅すると自分でアイロンがけをする。妻から『私がやるからお風呂にでも』と言われても『いいから、君がお風呂に先に入りなよ』と」

──最後に、40代のビジネスマンに伝えたいことは?

「40代だとお子さんも小さいでしょう。小さな子どもの時分から小さな画面でゲームをしている光景をよく目にしますが、間違いなく近眼予備軍です。いまの統計で高校2年生の70%が近眼ですが、100%に近づきそうな勢いです。電車の中で騒がせないためにお子さんにスマホを与えている親御さんも見かけますが、絵本にするべき。とはいえ、子どもでも情報量が多い生活に慣れているでしょうから、スマホの小さい画面よりもせめてタブレット端末の大きな画面に替えてはいかがでしょうか。

目の病気はすぐに表面化しないことがあります。40歳を過ぎたら眼科でのチェックを受けてみてください。見える、ということは快適な生活を続けるために必要な要素です」

次回の「名医に聞け!」もお楽しみに。

 Photo:Sono Aida

Text:Daisuke Iwasaki

プロフィール(やまもと・しゅういち)
千葉大学病院長・千葉大学副学長。1957年(昭和32年)10月生まれ。1983年、千葉大学医学部卒業。富山医科薬科大学眼科講師、米国コロンビア大学眼研究所研究員、東邦大学佐倉病院眼科教授などを経て2014年、現職。
趣味は筋トレ。180cm、68kg。



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