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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「アイスの自販機を置けば、受験数が増えるハズ」ドンドン生徒が減る私立高。貧すれば貪する、「あまりにさもしい経営方針」

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上層部の迷走はさらに続いた。
「結局は、学校が楽しい!ということを在校生に外で言ってもらうのが一番だという結論にたどり着きました。それは当然ですし良いことなのですが、そのために上層部がしたことは”アイスクリーム自動販売機の設置”でした。確かに在校生たちは喜んでいましたけど、『アイスクリームの自動販売機があるからあの高校に進学しよう!』と思う中学生なんていると思いますか?」
杏美さんはそう言って呆れたように笑う。
「小手先の改革ではどうしようもないのに、焦るとどうしても小手先に走ってしまうのでしょうね。その他にも校則を緩めるだとか新しい部活動の創設などにも取り組みましたけど、なかなか志望者数の増加にはつながりません。そもそも、公立高校よりも多くのお金を払って進学するわけですから、そこにはそれなりの理由がいりますよね。とはいえ、かつては超進学校と言われていたのですから、私自身は在校生の学力を底上げして進学実績を当時のような状況に戻すことが一番の策じゃないかと思うんです。そのことをそのまま上層部にお伝えしたのですが、『そんな悠長なことを言っていられる状態じゃないんだ!』と怒鳴られてしまいました。」
しかし、校則をゆるめたことにより周辺住民から「態度が悪い」「服装がだらしない」などと言われるようになり、逆に志望者数が減った恐れはある。新しい部活動としてギター部を創設したが、特に有名になることもなく、何人かの在校生が学校の片隅でギターを弾くようになっただけだった。「テレビの取材に来てもらうのがいいのかなあ。」などと話す校長に、杏美さんの同僚は「部活動で何らかの結果を出せば地元紙なんかは必ず取材に来てくれますが、創設したぐらいで取材に来てもらえるものではないですよ。」と言って聞かせていたそうだ。
「かつては倍率がかなり高い高校だったので、校長も現状が信じられないという思いとどうすればいいか分からないという思いが強いのでしょうね。」

そう話す杏美さんは、そんな校長の迷走に巻き込まれることになってしまった。☆次回では、貧すれば貪するを地で行くこの高校が乗り出した、生徒を巻き込んだSNS戦略と、それが火をつけた保護者とのバトルを詳細にレポートする。現代の教育現場の欠陥を知るために、ぜひ読み進めてほしい☆

ライター 八幡那由多

▶︎続く校長ら上層部の迷走とは……? 後編に続く。


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