「本当にバカみたいなこと言いますよ。今度は私、セックスの最中、彼が目を閉じてるのが気になり出したんです。ねえ見てって声をかけると一瞬見て微笑んでくれるんですけど、ちょっとするとまた目を閉じるんです。普通、見たくないですか？ 相手が感じているところとか。なんか、私としながら、別のものを想像してるんじゃないかと思っちゃって」
ふと気にかかり、娘さんとあなたの恋人の関係は良好なのかと訊ねてみた。
「当然まだ親子みたいにはなれないですが、自然に話ができるようにはなってきました。でも、私がそんなふうに疑心暗鬼になってしまって、彼と娘を２人きりにするのが怖いんです。再婚後には毎日一緒に生活するわけなので、２人きりになるタイミングも絶対ありますよね。それが不安で……」
それは、彼氏が娘さんに何かすること前提の発想ですよね、と訊ねてみる。
「前提なんかではないです。ないですけど、やはり、どんな人にでも自分に見せていない顔がありますし、それを言葉で確かめることはできません。あなた、若い女性に興味があるの？とか、娘の使用済み生理用品漁った？とか聞けませんよね。普段は真面目でとても優しい人です。会社でも有望視されていますし、私ももうじき45歳。これほどの人に出会うチャンスはもうないかもしれません。娘の将来を思うと、再婚した方がいいと思うけれど。生理用品のことが気になっちゃって……私はどうするべきなんでしょう」
この男性が使用済み生理用品を漁り、開いて見たなどと世間に知れれば、あらゆる人から非難の集中砲火を浴びるだろう。しかし、実際のところ、隠れて変態的行為をする人が全て犯罪に手を染めるわけでもない。
しかも、みずほのケースでは、彼がそれをやったという証拠もない。
「娘の気持ちを考えれば」「娘の将来のためには」としばしば娘のためを思うみずほだが、この際娘の望みひとつに基準を絞って再婚の最終判断をしてみてはどうだろうか。
「できれば私だって娘の望みを知りたいですよ。でも、娘は絶対に自分の希望や本音を言いません。あの、年頃の娘を連れて再婚する人って、正直同じような悩み、ないんでしょうか。 再婚相手が娘を変な目で見ないのか、不安じゃないんでしょうか？ 経験者の方に聞いてみたいですね」
みずほは真剣な顔つきでそう言った。彼女の疑心暗鬼は、しばらく収まりそうにない。
Text：FORZA STYLE
