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LIFESTYLE 女たちの事件簿

【後編】「軽く小突いただけ」「殴らない方が生徒に失礼」体罰教師の意味不明すぎる実態。

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「野球部顧問の先生から聞いた話は、私が想像もしたことがないようなものだったので、理解するまでに時間がかかりました。生徒側が望んでいるというような言い方には驚きましたし、自分が体罰を受けていた過去を全くマイナスに捉えていないという事実にも衝撃を受けました。でも彼の言葉のおかげで、『体罰すると世間がうるさいから我慢する』という発言をする人たちの発想の一端は、理解できた気はします。体罰は必要なものだという考えがベースにあるみたい。そして、些細な体罰に自分たちは耐えてきたから、それくらいのものには耐えなければ成長できないという発想もある。『どこからが体罰でどこまではそうじゃないのかという判断が難しい』という人たちにも同様の発想はありそうですね」

璃子さんの言う「どこからが体罰でどこまではそうじゃないのかという判断が難しい」という教員は、「指導に従わないある生徒に、他の生徒よりも多くの課題を出したら『これって体罰ですよね?』と保護者から電話がかかって来て参っちゃったよ」と笑っていた。その教員に璃子さんは、「なぜたくさん課題を出すのかということをその生徒には説明なさったんですか? そしてその課題はすべてに意義があるのですか?」と聞いてみたそうだ。

「説明はしたし、意義はあるに決まっているでしょう」そう答える教員はやや不快そうだったらしい。

「まあ、それはそうですよね。でも私は、生徒を指導していく上で『罰を与える』ということが本当に必要なのかどうかを知りたかったのです。私がこの調子で自分の考えを述べたり、自分の知りたいことを質問したりするので、私は今、『問題のある教員』扱いを受けています。『たまたま良い生徒の多い楽なクラスを担当しているから、生徒に罰を与える必要はないとかなんとか言っているんだろうけど、もっと大変な生徒がたくさんいる学校で教員をすれば、そんなことも言っていられなくなるよ。机上の空論ばかりで頭を悩ませているようだから、指導の通じない大変な生徒ばかりの学校に赴任してもらった方がいいかもしれないね』なんて年配の先生や教頭に言われて。でも、体罰は良くないことだという事実は曲げられませんよね?」

そう言ってこちらをみる璃子さんに迷いはない。でも、彼女の理解を超える教員はまだまだ存在し、これからも「なぜ体罰がなくならないのか」を考える彼女の頭を深く悩ませるだろう。世間では浸透してきた考えでも、教師の間では反感を持つ者がいたり体罰をいまだに行っている者がいる現状では、さらなる改善が必要なのかもしれない。

ライター: 八幡那由多



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