「信じられないですけど、卒業式を終えたら『俺はこの学校がとても好きだ！まだここの学生でいたい！』みたいな気持ちがその子の中でとても大きくなったのですって。だから、みんなが帰っても、自分は学校の中に住み続けようと決めたって話していました。
一度は帰るそぶりを見せておいてコンビニなどで食糧や飲料を購入し、自宅から寝袋やガスコンロなんかをリュックに詰め込んで持って学校にこっそり戻ってきたそうです。それでまずは一晩学校で寝泊まりしようと思ったのですって！信じられます？20時過ぎにその子の保護者から電話がかかって来て我々教員は大騒ぎですよ。その頃までに飲酒した生徒や進入禁止の場所に入った生徒、裸になって写真を撮っていた生徒や卒業式に来なかった生徒への対応を終えていましたから教員はみんなぐったりしていたのに、学校外へ見回りに行ったりその子の友人に電話をしたり……
そしたら電話に出たその子の友人がゲラゲラ笑いながら『学校にいますよ、あいつ』と言ったので『出て来なさい！』って思わず校内放送で叫びましたよ。そしたらものすごーくバツが悪そうな顔でキャンプに行くみたいな大荷物を持って出てきたので思わず笑ってしまいました。でも、笑ってばかりもいられないので事情聴取をして……。３年間育ててきた子たちが無事に旅立っていったなーとか、いい子たちだったなーとか、こんな思い出があるなーとか感慨にしっかり浸ることができるのは卒業式の３日後くらいですかね」
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