「物質的に満たされても空しいというか……おそらく、子供も夫はすぐに飽きると思うんです。女性も夫に執着していない。私もこのまま何もしなければ、安定したプチセレブ生活を続けられる。でも、このままだと空しいんですよね。夫とレスのまま、骨抜きにされていくのが嫌なら、今、離婚するしかないのですが、その勇気もないんです」
夫と離婚し、別の男性と結婚すれば、母になる人生が開けるかもしれない。夫との間に体外受精を試みることもできるだろうが、果たして玲美さんがそれを切り出し、夫が協力する可能性はあるのだろうか。
玲美さんは現在、32歳。44歳の夫からすると若いだろう。高齢出産とされる35歳までにまだ3年の猶予がある。その間に何かが変わるのだろう。
都合がいい家族を続けて、港区内の空間で美しく老いていくのか。この世に完全な幸せはない。裕福さをとるか、子供をとるか……今、玲美さんは岐路に立たされているという実感はない。
夫婦はどこにいくのか、それは玲美さんが決めるのだ。
Text:沢木文
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