さらに鈴木さんはこう続ける。
「患者さんやご家族からの病院への贈り物は基本的に遠慮させていただいているんです。でも一度、手作りのお漬物を持ってきてくれたおばあちゃんがいて。あれはどうしていいか困りましたね」
最後は、「患者家族の差し入れ」に関する迷惑エピソードだ。
糖尿病とがんで入院していた小倉さん(85歳男性・仮名)は手術を受けることになり、長期の入院が予想された。奥さんがはじめにお菓子を持ってきたのは、手術の前日のことだった。
「治療で看護師さんにも、先生にも迷惑かけるから」と缶に入ったクッキーを差し入れてくれたのだが、病院の規則で受け取れない。「お気持ちだけいただきます」と言って持ち帰ってもらった。
手術が無事終わり、小倉さんは順調に回復。その後も奥さんは何度かお菓子を持ってきてくれていたが、同じ理由で受け取っていなかった。
しかし、あと1週間で退院というときに、大きなタッパーになんときゅうりの漬物を入れて持ってきたという。
手作りなんて余計に受け取れない。同じように受け取れないと説明すると、奥さんは「お父さんは毎日これを食べていたの。そろそろ食べたくなる頃かと思って作りすぎちゃったのね。
お父さん1人では食べきれないから、もらってくださいな」とこちらの話は全く聞いていないようだった。
お礼をしたいという気持ちはありがたい。しかし、コロナ禍もあり今では贈り物を禁止している病院がほとんどだ。
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