ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE 新田龍の「コンプラ総研」

怠慢、会社に損失、逮捕。でも解雇は難しい⁉ モンスター社員を合法的にクビにする方法。

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

退職勧奨が合法と判断されたケース

グローバルにITシステムとコンピュータ関連サービスを提供している米国IBM社の日本法人、日本IBMは、2008年のリーマンショックの影響を受け、業績不調によるリストラ(退職勧奨)を実施した。その対象となった4名の社員が「会社がおこなったのは退職強要であり、精神的苦痛を被った」として損害賠償を請求する訴訟が提起された。

裁判では、会社側がおこなった退職勧奨の適法性が争点となったが、

・会社側は、所定の退職⾦に加えて、特別⽀援⾦として、⽉額給与額の最⼤で15カ⽉分を⽀給しており、社員⾃ら選択した再就職⽀援会社からの再就職⽀援サービスを、会社が全額費用負担のうえで受けることができる手厚いプログラムを提供していた。

 

・採用時に業務内容や業務遂行に必要な能力を明示し、業績に応じた待遇と、諸条件なども細かく書面化して説明し、合意がとられていた

・勧奨対象者も、「業績下位15%として特定された社員のうち、IBMグループ外にキャリアを探してほしい社員」を基本として、あらかじめ一定の条件が定められていた

・会社側は「在籍し続けた場合のデメリット」「退職した場合のメリット」などを丁寧に説明して説得活動がおこなわれていた

 

といった点が判断材料となり、4名に対する会社の退職勧奨⾏為はいずれも「適法」と認定される結果となっている。

このように、会社として適正な評価制度と客観的な評価実績、条件等が整い、対象社員に対して丁寧な説明と説得がなされれば、実質的なクビであっても「正当な退職勧奨」として扱われることになる。

すなわち、日本の労働法制の中においても、合法的にクビにすることは決して不可能ではないのだ。

Text:働き方改革総合研究所株式会社代表 新田龍



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5