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子どものスマホはいつからOK?「包丁」論で考えてみた “親も子も納得”の渡し方

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

失敗しない!スマホの渡し方

先日、静岡県牧之原市で中1女子(13歳)が就寝中の母親(40代)を殺害するという、かなりショッキングな事件が起きました。事件前に「スマホの使い過ぎ」を注意され口論になっていたそうですが……事情を聴かれているのはまだ13歳の子供。事件の背景や、親子でどんなやり取りがあったのかなど、真相の解明にはもう少し時間がかかりそうです。ただ、少なくとも「スマホのせいで」みたいな単純な事件ではないと思っています。

とは言え、多くの保護者にとって子供のスマホは頭の痛い問題です。PTA向けの講演会でも「いつ渡せば良いか」「適齢期は?」といった質問が必ず挙がります。先に言ってしまうと、スマホを手渡せる明確な適正年齢って、実は存在しないんです。

この話、私はいつも「包丁」を例に挙げるんですが、子供が初めて包丁を手にするタイミングって、家庭によってバラバラですよね。3~4歳でトントンしている子もいれば、一人暮らしをするまで「ほぼ触らず」という学生さんもいる。タイミングがバラバラなその理由は、包丁が「道具」だからでしょう。

道具を道具として使いこなせる「その子のタイミング」なんて、子供によって違うし、それは保護者にしか判断できないもの。だからバラバラで当然なんです。スマホだって包丁と同じ道具ですから、適齢期を見極められるのは保護者だけ。明示できる適正年齢もありません。

「お試しスマホ」でお試しを!

ではなぜ、スマホを手渡すことを躊躇し、手渡すタイミングに悩むのか。それは「一度渡したら2度と戻ってこない」からですよね。ですがもしそれが包丁だったら? 危なっかしい様子なら「まだ早かった」と取り上げるはず。スマホも一緒です。いざという時に備え、手渡す際、「何かあったら取り上げられる」システムを仕込んでおきましょう。まずはお子さんに、

「あなたがちゃんとスマホを使えるか、●ヵ月だけ試してみたいの。●ヵ月後の△月△日に、絶対いったん回収するけど、それでもお試しでスマホ使ってみる?」

と聞いてみてください。もう言い終わる前に「やる!」と答えるでしょう(日にちの約束は書面で残しておく)。その際、スマホのルール的なモノは一切作らずに手渡すのがポイントです。その代わり【我が家のスマホルール】と書かれた、ほぼ真っ白な紙を冷蔵庫あたりに貼って下さい。そして、

「今日から●カ月間、あなたがどんな風にスマホを使うか見てるからね。何か問題を起こす度にルールが増えていくよ。ちゃんと考えて使わないと、すぐにルールが100個になっちゃうよね。でも頑張ればほんの少しのルールで済むんじゃない?」

とささやくのです。冷蔵庫には、いつでもルールを書き足せるようペンでもぶら下げておきましょう。事前にルールを作らず、問題を起こしたらその都度ルールを追加する。私はこのやり方を「お試しスマホ」と呼んでいます。このやり方なら無駄なルールが生まれないし、何よりルールに対する子供の納得感が違います(だってそのルール、自分のせいで追加されたんですから)。

こんな感じでやっていくと、やがてルールが20個、30個になってしまうかもしれない。そうならない為に「ルールが△個を超えたら、そこでお試し終了」という約束も予め決めておきましょう。お子さん、相当頑張るはず。そして無事、ルールを△個以内に収めつつお試しを終了できたら、

「偉い!凄い!おめでとう!じゃあ次は●日までお試し延長♪」

お子さんはショックで崩れ落ちますが、これ急ぐ必要なんてありませんからね。保護者の気が済むまで何度でも延長してOK。親子で納得できるルール作りの時間として、しっかり活用してください。

この「お試しスマホ」、実はあるテレビ番組でも小学生親子に実際にやってもらい、見事成功しています。またある高校では、学校への「スマホ持ち込み」をスタートする際、学校全体でお試しスマホを実施。ルールを作ってから持ち込みOKにしたそうです。お子さんにスマホを手渡そうか迷っている親御さんは、ぜひ「お試し」を。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)
※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



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