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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「試験に遅刻する!」と当日泣きながら高校に電話。試験途中で絶望、いきなり退室する受験生も...現役教師が語る、共通テストの大パニック。

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大学共通第1次学力試験、通称「共通テスト」には、トラブルがつきものだ。昨年のような、受験生が襲われる事件やスマホを利用したカンニング事件こそ起きていないが、試験当日、現場では高校教員がこまかなトラブルの対応に追われている。そして、その対応は教員に予想以上の負担をかけているのだ。

今回は、そんな、共通テスト下の教員が抱える闇について、FORZA STYLE「ライフ取材班」がレポートする。

「毎年、試験時間に間に合わないと、泣きながら学校の電話や教員の携帯に連絡を入れてくる生徒は何人かいます。開始20分以内であれば入室させてもらえるので、どれくらい遅れそうなのかとか本人に聞きますが、パニックに陥っていて、上手く答えられなかったりします。」

高校教員歴20年の真澄さん(仮名・43歳)は、少し疲れたような様子で言った。

「子どもたちはどんどん頼りなくなってきていて、保護者の方も『学校の先生に何とかしてもらいなさい』というタイプが多くなってきている気がします。以前は、遅刻しそうだとか忘れ物をしたとかいう連絡は、学校ではなく保護者にするもので、保護者は自分の子どものためだからと、車を走らせたりしたものでした。なのに、学校に言ってくるので、試験が開始時間まではそういった対応にてんてこ舞いです。」

真澄さんはまず、子どもたちを落ち着かせる。それから、20分以内に到着できないのであれば受験票にある『試験当日の電話』というところに電話をし、保護者にも連絡をするよう伝えるという。

試験当日が悪天候の場合は、開始時間がずれる場合もあるので、とりあえずは、試験会場に問い合わせるのが一番良いのだ。公共機関を利用せずに親の車で試験会場に向かっている子どもからの電話では、パニックに陥った親の叫び声が聞こえることすらある。

「遅刻しそうな場合はどうするかとか、そうならないように早めに出かけなさいとか、事前指導は何度もしているんです。」

真澄さんは、うんざりしたように言う。試験当日のトラブルは、それだけでは終わらない。なんと、生徒の一人・宏太(仮名)は、試験会場から無断で帰宅してしまった。

「3教科目を終えて、どの教科も思うように解けず、絶望したようです。試験官の方々の隙をぬっていなくなったので、保護者の方と学校宛に連絡が来ました。」

慌てた母親が宏太の携帯に電話をかけたが、連絡がつかない。「短絡的に命を絶とうと考えたらどうしよう」などと取り乱して泣く母親。警察への連絡などを検討していると、宏太から真澄さんに電話がかかってきた。

「あなた、一体どこでなにをしているの!」

思わず咎めるような口調でそう言った真澄さんに宏太は、淡々とした口調で、こう告げたそうだ。

「これ以上他の教科を受けたとしても、予測していたほどの点数を取るのは無理なんです。」

「だから、これ以上共通テスト会場で試験を受け続けるのは時間の無駄です。少しでも早く第二志望の私立大学にむけて勉強したかったので、今は共通テスト会場の近くの図書館にいますけど。時間が惜しいんです」

身勝手な言い分に、真澄さんは愕然とした。しかし、これでは終わらない。1日目の試験終了後も、真澄さんの苦労は続く。

☆次回では、教員に責任をなすりつける保護者やメンタルにダメージを受けた生徒への対応と、生徒を想うが故の苦悩について詳報する



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