「ドナーになれるかどうか検査を受けてほしいという話でしたが、まだ私のことをいいように利用する気なのか、という気持ちにしかなれませんでした。もちろん断りましたよ。『あなた、私のことを汚いって言ったよね。そんな汚い体に入っている汚い臓器、欲しいの?』って」
電話口で涙ながらに必死で詫びる香澄さん。だが詩織さんの気持ちは少しも動かなかった。
「自分には全く関係のない話を聞いているようで、『ざまあみろ』とすら感じませんでした。自分でも冷たいなと思いますが、もう誰かのために尽くすのは嫌なんです。だから多分、結婚もできないでしょう。でも一人で生きていくのが一番気楽でいいですね」
詩織さんと香澄さん姉妹の関係は、もう修復不可能なのだろうか。互いを思いやる気持ちを、貧乏が凌駕してしまうとすれば、これほど哀れな話はない。二人の関係修復を、心から祈るばかりだ。
Text:FORZA STYLE
RANKING
1
3
5
1
2
3
5