これまで男女の関係にならない間柄だったが、誠はその垣根を軽々と越えて、薫を抱いた。
「幸せで泣けてきちゃって…。久々に愛されてるって実感できたんです」
タガが外れた誠と薫を誰も止めることはできなかった。2人は時間を見つけては逢瀬を繰り返し、どっぷりとW不倫という沼にハマっていった。
「初めの頃はなんなら私の機嫌がいいから旦那も嬉しそうだったんですけど、そんなにうまくは行きませんよね。徐々に怪しまれるようになってきて…」
孝之はどうやら不倫専門の探偵を雇ったようだった。薫の不倫は瞬く間に暴かれた。孝之は、その証拠をテーブルに並べ、薫にこう聞いたという。
「この日、何してたの?」
薫は黙り込むことしかできなかった。
「何も言えませんでした。じっと黙っていると言えないことなんだねと畳み掛けてきて…。暴力とかはないですけど、とにかく人格を否定されるようなことまでありとあらゆる暴言を吐かれた感じです」
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