「美月ちゃんママって、ビーガンって聞きました〜! 今度ゆっくりお話を聞きたいです〜!」
美月を保育園に送った帰り、話しかけてきたのは同じ保育園に子どもを預けている亜由美(25)だった。大学在学中に第一子を出産した彼女は若々しく、肌がまぶしかった。
「うちの颯太がすぐ風邪を引くでしょ? お休みばかりで全然仕事にならなくて。美月ちゃんはあんまりお休みしないから、やっぱりお食事がいいのかなって〜」
「うふふ。そうなのそうなの。添加物や動物に投与されている成長ホルモンのことを知ってからは気を付けるようにしているんです。子供のためにもなるし。なかなか理解されないから嬉しいな。また今度ゆっくりお話しましょうね」
菜月と亜由美は時間が空いたときにお互いの家を訪問し合い、家族ぐるみの付き合いになった。菜月は教えを請われることに、心地よさを感じていた。家庭と会社の往復に疲弊していた菜月にとっては、亜由美は癒やしとも言える存在だ。
だからこそ菜月はその裏に潜む真実に気づけなかったのだろう。
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