そう自嘲気味に言う幸子さんの耳には、「iPadがいいなら、スマホも授業中に使いたい」と主張する生徒がいるという話や、「学校から与えられたiPad上でいじめが行われているので、学校に責任があると親が訴えてきた」という話が耳に入ってきている。
特に親からの訴えの方は深刻で、「学校があんな余計なものを生徒全員に与えなければ、うちの子どもはずっと気分を害する画像を送りつけられ続けたり、何百枚も隠し撮りをされたりするという被害にあわなかったはずだ」との電話に、学校側は対処しあぐねているのだ。
いじめられたという子どもに教員が話を聞き「誰にされたのか」と問うたところ、「学校中の全員」と答えたそうだ。学校中の誰もが、彼のiPadに画像を送信し、iPadのカメラをむけたと、いじめられた本人は告げているのだ。
「そんな恐ろしい目に合ったら、そりゃ、学校に来るのが嫌になりますよね。親が怒るのも無理ないんです。しかもその子は、iPadが配布されるまでは、何の問題もなく周囲と仲良くしていました。iPadが配布された際に、『親に禁止されていてスマホも触ったことがない』と発言したことがきっかけで、いじめの対象になったみたいです。学校はどうするんでしょうね」
そういって泣き笑う幸子さん。彼女のように、IT化の普及によって、「教育現場」にいることが嫌になる教員も多いそうだ。
教育現場のIT改革に、課題は山積なのである。
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