わざわざ3時間以上かけて、その男性ダンサーのレッスンを受けに行く正美さんに元夫は吐き捨てるように、
「お前みたいなババアは、向こうに取ったらいいカモだろ。どんどんお金を運んでくるから、適当にいいように褒めてちやほやするんだ。自分の姿を冷静に見たことがあるのか?恥ずかしくねえのかよ。」
と言ったそうだ。
「『まさかあの若い奴と、自分がどうにかなるんじゃないかとか気持ち悪いこと考えてるんじゃないだろうな?俺の金でいい身分すぎるだろ。』って言われたときに私は、耐えられなくなってしまったんです。私にはそんな濁った気持ちは1ミリもありません。ただバレエが好きで、もっともっと上手にバレエを踊りたかっただけ。でも元夫はどうしてもそれが理解できなかったみたいで、私があまりにも浪費するし、バレエにかまけていて家のことを一切しないからという理由で離婚を切り出されました。慰謝料一切なしで離婚したので、今私は、働きながらバレエをしています。前ほどバレエに時間をかけられないのが悩み。でも、仕方がないですよね。」
と言ってため息をつく正美さんは、
「いくつになっても、夢中になれるものがあって、それがバレエのように美しい芸術だっていうのは、素晴らしいことだと思いません?」
と聞く。そう聞く正美さんの目はまっすぐで澄んでいてまるで子どものようで、そして少しだけ怖い。
Text:FORZA STYLE
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