『ゴーーーーール!!!!』
2018年ロシア大会。グループリーグのコロンビア戦、前半3分で先制点を奪った日本に湧く店内に、航平の姿はない。代表ユニフォームに身を包んだ若者たちの中で綾子はひとり、ジョッキを傾ける。
「やっぱり来なかったかあ」
綾子が残ったビールを喉に流し込み席を立とうとしたとき、肩を掴まれた。
「ごめん、遅れた」
一目でオーダーとわかるスーツに身を包んだ航平だ。
「きたんだ」
綾子は目を伏せる。
「うん。今日は娘ちゃん大丈夫なの? たしかもう7歳でしょ」
「あ、うん。そうだね。航平のところは順調?」
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