「ねえ、明日から働けるようになった。仕事先がついに見つかったんだよ! 12時から17時で、週3回シフト入れてもらった」
「おめでとう!でもエステなんか未経験だろ? 資格も経験もなくてそんなすぐに雇ってもらえるのか?」
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©︎gettyimages
男性のエステなど、初めて聞いた。そういえば同僚の川崎が、髭脱毛と小顔エステでメンズエステに通っていると言っていたことをアキラは思い出した。
「あんまり本格的なエステじゃないのよ。オイルのリンパマッサージとか言ってたけど。今日4時間研修もしてきた。意外と割が良くてね、予約の本数で給料が決まるの。その代わり、お客さんが入らないと無給なんだけどね」
「なるほど。エステって単価が高いイメージあるけど、どんな客層なんだろうな」
「家計もだいぶ楽になるし。わたしも新しい自分が見つけられそう」
安堵と好奇心が見え隠れするような千夏の表情に、アキラはまた仕事にハマりすぎないように妻の身を案じた。
「上手になったら、俺にもエステやってくれよ。美容男子って言うんだろ? そういうの」
「期待していいよ。私、筋がいいみたいだから」
その夜、健一が早く寝たのを機に、二人は久しぶりに男女の営みを交わした。
後編に続く。
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