それから4年後の2005年11月、ついに答えが見つかります。ホイールベースを1905mmへと 445mmも短縮した、フルキャブタイプのモデルを追加したのです。そして最小回転半径は9代目と同じ3.6mとなったのです。ホイールベースの変更は、車体を設計し直すほどの大変更。クルマの重心が変わるため、足回りから、ステアリング機構、エンジン位置、ブレーキなど、あらゆる部品を見直して、フルモデルチェンジに近い大改修となりました。さらには、「農繁仕様車」には、ぬかるみからの脱出に威力を発揮するデフロック機構も標準装備。もちろん、結果は受け入れられ、販売も復調。
■ユーザーの期待を裏切らないモノづくりを、とことんやりぬく
このような大改修は、薄利多売をしている軽トラックでは、通常考えられないこと。スズキはどの自動車メーカーよりもコスト意識が高いことで知られています。が、この10代目キャリイの大改修は、ユーザーの期待を裏切らないモノづくりを、とことんやりぬく企業風土も同時に持ち合わせている、ということを裏付けているといえます。ユーザーの声を真摯に受け入れ対応する、スズキのクルマづくりには今後も期待できますね。
現行キャリイ。2021年には、キャリイ60周年記念モデルも登場している
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:SUZUKI
Edit:Ogiyama Takashi
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