■インテグラの日本市場導入は困難
仮に日本市場で今回の新型インテグラを販売するならば、ホンダブランドになるのは間違いないが、次の3つの理由から、新型インテグラの日本導入は難しいと考える。
・国内では、5ドアクーペの需要が少ない
北米では、この手の5ドアクーペは(昔ほどの勢いはないようだが)ある程度売れているが、日本で人気なのはシビックタイプRのよう尖ったスポーツモデルだけだ。このタイミングで、中途半端な立ち位置の新型インテグラを日本へ導入することは、考えにくい。
・アキュラデザインであることに加えて、シビックとの棲み分けが困難
新型インテグラが日本に導入されることになると、既に日本市場で販売されているFL型シビックと、同じようなスタイリングのクルマが増えることになる(日本市場にはさらに、インサイトもある)。
また、アキュラデザインであることも、日本市場ではネガティブポイントになる。北米市場向けのブランドということもあり、アキュラブランドのクルマは、どれも北米の人が好む、迫力あるデザイン。顔面の押し出しが強い海外向けモデルはどれもカッコよく見えるが、いざ買うとなると避ける傾向にあるようで、北米市場で大人気となったRLX(レジェンド)やCR-Vも、日本市場では販売当初から売れず、遂には生産終了となっている。今回の新型インテグラも同様となると思われることを考えると、日本での販売は厳しい。
・「CAFE規制」の影響も
他メーカーと同じく、ホンダもまたCAFE規制に向けてラインナップ見直しの真っ最中だ。プラグインハイブリッドやバッテリーEVといった電動車へのシフトを計画している最中、ピュアガソリン車であるインテグラは、もはや存在すること自体が、企業燃費の脚を引っ張ることになる。
■「高付加価値EV」の登場に期待!!
ホンダは、4月12日のプレス発表会で、2030年にはEV生産台数を200万台、グローバルで30機種を追加すると発表している。一刻も早く、e:HEV対応車を増やし、更にはBEVへとシフトしたい、そうした思惑がみてとれるが、注目なのは、高付加価値EVも検討していることだ。「操る喜び」を継承する「スペシャリティ」と「フラグシップ」2つのスポーツモデル導入を検討するという。
かつて日本で起こったインテグラの人気は、やはり、タイプRの印象が強い。シビックにその座を譲ったことで、インテグラの役目は一旦終えているといえるだろう。2代目NSXが消え、S660 も生産終了となったいま、ホンダのモータースポーツファンの情熱の行き先がなく、非常に寂しい状態。この「高付加価値EV」が、そうした寂しさを埋めてくれる存在となるのか、続報が待ち遠しい。
Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production
Photo:Honda
Edit:Ogiyama Takashi