3. パテック フィリップ・シール
冒頭に記したクロノメーター規格と同様に公的機関の認定として「ジュネーブ・シール」というものがあります。
ジュネーブ・シールは、ジュネーブの時計製造技術保護を目的に1886年に発足し、時計の精度のみならず、技術的側面、機能的特性、審美性、伝統性に至るまで厳格な基準が設けられているのが特徴です。
ジュネーブ・シールを獲得できるということは時計職人にとって最高の栄誉として考えられており、獲得できるブランドもごく一握りのブランドとなっています。
パテック・フィリップもジュネーブ・シールを数多く獲得する時計ブランドでしたが、2009年に自社規格である「パテック フィリップ・シール」を策定します。
パテック フィリップ・シールでは、時計全体、すなわちムーブメント、ケース、文字盤、指針、プッシュボタン、ブレスレット、バックルなど、完成した時計のすべてを対象としています。
さらに、ムーブメントに関してはいかなる複雑機構であろうとも日差-3秒~+2秒という極めて高い精度を保証し、構成部品の手仕上げに関する厳格な認定規準など、その審美性までもが審査されます。
さらに驚くことに、1839年の創業以来製作されたすべてのパテック フィリップの時計のアフターサービス、修理、修復の保証まで明文化されています。さすが世界最高の時計ブランドといった内容ですね。
4. 1000時間コントロールテスト
超技術屋集団としても知られているジャガールクルトが、1992年から行っている1000時間コントロールテストは、その名の通り1000時間にも及ぶ検査です。
クロノメーター規格は15日間(=360時間)の検査ですから、なんと3倍近くにまで及ぶ検査です。
この検査ではクロノメーター検査はもちろんのこと、落下衝撃抵抗、耐気候性、防水性、また時計とストラップの経年劣化をも対象としています。
さらに、ムーブメント組立ての様々な段階およびケーシング後に、一つひとつの時計について、時計性能、パワーリザーブ、温度変化の耐性、防水性、日常の振動条件に対する検査も実施。同時に外見の審美基準に適合していることも確認されます。
まさに時計界の1000本ノック……。ジャガールクルトの作る時計は、良い意味で変態的というか、アイデアの奇抜さとそれを実現する技術が卓越しているというのが個人的な印象ですが、それを下支えする徹底した品質管理はさすがだと思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は時計ブランドの厳しすぎる自社規定をご紹介させていただきました。
もう一度まとめると
1. ロレックス高精度クロノメーター
2. グランドセイコーGS規格
3. パテック フィリップ・シール
4. ジャガールクルトの1000時間コントロールテスト
でした。
どの規定も、それぞれのブランドの色や個性が出ていて面白かったですね。
それではまた!ありがとうございました。