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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「ある日突然子どもと会えなくなった」別居中の夫による“連れ去り”に苦悩する母親

不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

婚姻関係の破綻、離婚や別居により、「子どもに会えない」悲劇に襲われるのは、多くは父親だ。裁判で親権を決める場合、「母性優先の原則」や「監護の継続性」が判断基準の一つとなり、母親が親権を得ることが多いからだ。

しかし、実際には、「子どもと会えない」母親も少なくない。虐待やDVなど子どもにとって不利益な行為がなくても、母親が親権を失うことはあるのだ。親権に有利なはずの母親で、なぜそんなことが起こるのか。

9歳の息子の母親である上田美智子(仮名)45歳も、その一人だ。現在は夫の実家にいる一人息子と、この4年間一度も会えていない。

※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。


©︎getty images

ひと回り年上の夫とは、知人の紹介で知り合い交際半年を経て結婚。交際中には頼りがいや包容力のある恋人を演じてきたが、入籍して1週間もしないうちに本性が顔を出してきた。彼は典型的なモラハラ夫だったのだ。そんな夫の本当の顔に耐え切れず、息子を連れて家を飛び出した。

「私のことは人がいないところでだけ『お前』と呼び、『お前は筋金入りのバカだろ?』なんて言葉は日常茶飯事。『お前みたいなブスが俺みたいな男と結婚できたのは奇跡なんだから感謝しろ!』と私を蔑んでは支配下に置き、自分の思ったように私が動かないと不機嫌になるだけでなく『お前みたいな女とは離婚だ! 今すぐ家から出て行けよ!』と脅されたことも」

しかし、外ヅラはよく、友人たちのまでは、「美智子ちゃん♡」と甘い声で呼び、人前でのみケーキや花をプレゼント。‟妻を愛する夫“を演じた。

「子どもが生まれれば、少しは落ち着くかとおもっていましたが、夫の言葉の暴力は収まらず……。息子が泣けば、私が責められたり、より一層酷くなりました。息子が生まれて一年経過した頃にはすっかり自尊心が壊れてしまい……。息子を連れて家を飛び出したんです」

別居後、美智子は育児をしながら、息子と夫を定期的に交流させていた。子どもには父親が必要だと考えたからだ。

1歳で父親と居を別にしてから、5年。息子は成長し小学校に入学。そして、入学後最初の夏休み。事件が起きた。息子と会った夫が、そのまま自分の実家に連れ帰り、美智子の元に帰さなかったのだ。慌てて迎えに行くと、「ママと帰りたい」と号泣する息子の姿が……。


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しかし、美智子は、夫、義両親、義妹に追い返されてしまう。そして、驚くことに、いつのまにか転校手続きもとられていたのだ。聞けば、自営業をしている夫の実家は、後継ぎが生まれることを熱望していたそう。ある夏休みの一日……。これは夫とその家族に用意周到に準備された犯罪ではないのだろうか。

美智子は、すぐに子の引き渡しと監護者指定審判を申し立てた。しかし「監護の継続性」で夫が監護者に指定され、息子を取り返すことは出来ず……。

連れ去られてから一年後、ようやく面会できた息子は、母親を拒否するようになっていた。父親や祖父母の影響か?「片親疎外」だ。

「一緒に住んでいたときは、ママ大好きと毎日言っていた息子が『ママが怖い』と言うように。本心だとは思えない! しかも、『ぼくを取り返したいのは養育費が欲しいからだ』なんて……。小学生が言うようなセリフでしょうか? 夫や祖父母が自分たちのところに引き留めておくために、悪口を吹き込んでいるに違いありません」と美智子は語る。

その後、離婚調停を申し立ててきた夫。しかし、離婚に応じると「監護の継続性」から、息子の親権が取られてしまう可能性が高い。美智子は離婚を拒否し、調停は不成立に終わった。

こうなった今、美智子が期待するのは共同親権だ。恐らく、夫が息子を無理やり連れ去ったのも、離婚によって親権を失いたくなかったからと推察できる。民法で離婚後の単独親権が定められている現状では、一方的に出て行った夫が子どもの親権を得ることは難しいとわかった夫とその両親は、家業の後継者が欲しかったこともあり、このような強硬手段に出たのだ。

「共同親権が認められれば、息子を囲い込もうとする夫の考えも変わるかもしれない」

そんな美智子の思いとは裏腹に、さらに、元夫の暴挙は加速する。児童精神科の医師による息子の診断書を出してきたのだ。

「息子はうつ病で、母親に会うと具合が悪くなる。故に面会交流は行うべきではない」診断書にはそう書かれていた。その後、美智子の面会交流の申し立ても却下された。

「人の人生を左右するような重大な診断書は、十分な調査をしてから書くべきではないだろうか!」美智子の怒りは、元夫に対してはもちろんのこと、要求に応じ、そのような診断書を書いた医師にも向けられた。


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息子に会えなくなってからの数年間、美智子はあらゆる努力をして息子に会おうとした。ひと目だけでも顔を見たくて、夫の家の前まで行き待ち伏せたり、学校の公開授業や運動会などにも向かった。しかし、美智子に気づいた夫が「不審者」として警察に通報。親権をもたない美智子は学校から追い返されてしまった。

「何も悪いことをしていないのに、親権がないというだけで警察にまで通報されるなんて」

その後、夫は美智子が学校に現れるのを恐れ、公開授業や運動会などの行事の際には、息子に学校を休ませ、登校した際には、登下校にも付き添うように。9歳という多感な時期の少年。そんなことをされたら、友だち付き合いにも支障が出てしまう。そして息子は不登校に……。


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離婚・別居における子どもの連れ去り、それによるトラブルは後を絶たない。いったん連れ去ってしまえば、「監護の継続性」から、子どもの親権は連れ去った側が有利に。母親であろうと父親であろうと関係なく、「連れ去り勝ち」という言葉もあるほどだ。

同意なく子どもを突然連れ去られた側は、大きな苦しみを負う。そして、まるで「物」かのように、連れ去られたり囲い込まれたりする子ども達が背負う苦しみや悲しみは計り知れない。

今日も美智子は仕事の傍ら、息子を取り返すため、再会するため自分ができることを探し続けている。家業の仕事で大忙しの夫とその家族の元で、息子は家に一人、自室に座り込んでいるのではなだろうか? 彼の心の中を覗き込む人は誰もいない。

Text:女の事件簿調査チーム

 

“女の事件簿” 調査チームとは?

「酸いも甘いも噛み分けてきた、経験豊富な敏腕女性ライターチーム。公私にわたる豊富な人脈から、ごくありふれた日常の水面下に潜む、女たちのさまざまな事件をあぶり出します。



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