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CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

ランボルギーニ・ミウラとファイティングブルの物語

説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

“Bulls of Death”というミウラ家の歴史が凄すぎた!

数ある自動車メーカーのなかでもランボルギーニのPRセクションはかなり頑張っていると思います。大量生産メーカーと比較すれば新型車のニュースは極端に少なく、また、創業は1963年ですから歴史ある老舗ブランドというわけでもありません。

バケーションシーズンど真ん中の8月17日のプレスリリースは、ランボルギーニのトリビア的なネタで、例えばガラス面積のもっとも大きな車種は? など、クイズのような感じでした。個人的にも大好きなミウラに関していえば、量産車のなかで車高が105.5cmともっとも低く、また、開発チームの平均年齢が29歳と若かったことが記されていました。

具体的にはデザイナーのマルチェロ・ガンディーニとテストドライバーのボブ・ウォレスが28歳。チーフエンジニアのジャンパオロ・ダラーラとそのアシスタントエンジニアのパオロ・スタンツァーニが30歳。ザックリいえば、この4人で世界的名車を作ったのですから驚きです。

プレスリリースには写真が添えられるのですが、ミウラと牛のツーショットに目を奪われます。この牛、デカくないですか? 皆さんもご存じのように、ミウラという車名は闘牛の繁殖を行っているスペインのミウラ牧場に由来するのですが、ミウラの車高がいくら低いといってもこの牛デカ過ぎます(笑)。

そこでちょっと調べてみると、闘牛の牛は在来種5種が基本となって掛け合わされ発展してきたそうですが、大きなもので600~700kgあるそうです。闘牛用はおよそ500kg台といいますからこのモノクロ写真の牛は在来種の1頭で種牛と考えてよさそう。

余談ですが日本の闘牛は牛と牛の頭を合わせた相撲スタイルなので、体重と首の筋肉の強さ(使い方)が決め手となります。その体重はいまでは1tを超えるそうなので、この写真よりさらに大きな牛なんでしょうね。

ミウラ牧場で生産される牛は、厳密にいうと、食肉用・繁殖用・闘牛用(雄牛)と3つに分かれるそうです。現在は社会情勢もあり闘牛用は少ないのでしょうが、それでもこの業界では“Bulls of Death”と呼ばれるほど荒々しい伝説の猛者を生み出してきたのだとか。そんなミウラ牧場の闘牛デビューは1849年4月30日といいますからハンパない歴史をもちます。

ここで闘牛トリビアを少々。1大会には3頭の闘牛と3人のマタドール(闘牛士)が登場します。マタドールは大スターですから当然、対戦相手も注目されます。私もあまり詳しくはないのですが、プログラムには牛の生産者の名前も記されるようで、勇猛果敢な死闘となれば生産者もまた名声を獲得することになります。

歴史や賛否はひとまず脇に置きますが、闘牛は1頭の牛に対し3段階で対戦するそうです。まず初めは牛をコロシアムに放ちます。最初に対戦するのが剣をもたない闘牛士見習いで、カポーテという裏地が黄色のマントを使い挑発。この最初の段階で牛のどう猛さを掻き立て観客に”こいつは手強そうだ!”とアピールします。

コロシアムが盛り上がったところで、次に馬に乗ったピカドールが登場します。そして長い槍で肩甲骨を一突き。対戦相手の体力を奪うと同時に興奮状態に導きます。この段階ではまだマタドールは登場せず、さらに次のステップであるパンデリーニョに進みます。色紙で装飾した短剣をもちだし背中にズブリ! 残酷ですが覚醒状態へ導きます。

いよいよクライマックスへ。トランペットの響きとともに主役のマタドールが登場します。赤いマント(ムレータ)をひるがえし突進する牛を鮮やかにかわします。詰めかけた観客は「オーレ!」(発音はオレ!と聞こえますが……)と大声援。このシーンは誰もが思い描く闘牛の光景かと思います。

マタドールは15分という制限時間のなかでフラメンコのように舞い、相手をかわし、その体力を奪って行きます。そして牛が前足を揃え止まったらトドメを刺すタイミングです。しかし、猛者に反撃され命を失うこともあります。

ミウラ牧場は闘牛でいくつかの伝説を残しています。絶命するまで24本の槍を要したムルシエラゴ、大スターのマノレテを葬ったイスレロの2頭はいまなお伝説となり語り継がれるところです。

ランボルギーニ・ミウラが誕生した1966年、創業者のフェルッツィオ・ランボルギーニはミウラ牧場を訪問したといいます。カラー画像はミウラ誕生50周年イベントで訪れた2016年のミウラ牧場の様子。代々家族経営なのでいまもミウラ家が牧場を守っているそうです。

Text:Seiichi Norishige

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