CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

【日産ガゼ―ル】西部警察の劇中車に使われた、憧れのクルマ

説明しよう! 妄想ドライブとはヴェテラン モータージャーナリスト・ノリシゲセイイチが「このクルマにのったら、こんなことをしたい。こんなところに行きたい。この街道でぶっ飛ばしてチャンネーとこんなことがしたい!」と妄想の世界に遊ぶ気絶コラムである!

未来から大股でやってきた!日産ガゼール

スーパーカーブームが下降線を描き出した頃、1台の気になるクルマが登場しました。やたら男気みなぎるカッコよさ。ヘッドライトは角型4灯。友人に吐露すると「俺もカッコいいと思っている」と印象を語ります。そのクルマは『日産ガゼール』といいました。

当時私は中学生。外で遊びまわった後、帰宅途中にあった日産のショールームに思い切って飛び込みます。子供が突如3人も入ってきたのですから、セールスマンも内心ではどう対処したものかと思案したかもしれません。

ドキドキしながらセールスマンに尋ねます。「このクルマ、免許を取れる頃まで売ってますか?」。すると「自動車にはモデルサイクルというのがあって大体5年くらいかな。ハッキリしたことは僕らもわからないけれど、ギリギリ間に合うかもしれないね」と笑顔を絶やさず応えます。

お礼を言い帰ろうとすると、「ハイ、これ。また来てね!」といって本カタログを手渡されます。大人になって思うのですが、足元見て値踏みして、ペラペラのダイジェスト版を渡すセールスマンもいれば、キチンと対応してくれるセールスマンもいますよね。

それから数年。免許を取って実感したのは学生の身分じゃ新車は高くて買えないということ。もう笑うしかありませんが、実際に何とか買えたのは中古のスカイライン(ケンメリ)でした。でもね、ガゼールはいまでも乗ってみたいクルマの1台です。

初代ガゼールは1979年3月(昭和54年)に新規車種として誕生。ちょうど『サーキットの狼』の連載が終了する年に、S110型と呼ばれる3代目シルビアの兄弟車として産声を上げました。しかし、トヨタ86とスバルBRZのような差異はなく、ステアリングにレザーを用いるなど、若干ですがガゼールの方が販売チャンネルに合わせ上級仕様となっていました。


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一番大きな違いはフロントグリルとボンネットのデカールでしょうか。確かオプションだったと思うのですが、車名の由来となる”ガゼル”をモチーフとしたデザインが描かれています。まるでポンティアックのファイヤーバード・トランザムを連想させるのですが、当時としては斬新そのもの一目惚れ。2トーンカラーと相まって存在感はピカイチ。

ボディ形状はピラーレスハードトップのノッチバックを先行販売。少し遅れて流麗な3ドアハッチバックが追加されます。ボディサイズは全高4400×全幅1680×全高1310mm。マイナーチェンジモデルはバンパー形状が変わり、若干全長が伸びますが基本的にはこのサイズ。ホイールベースは2400mmです。大きさ的にはいわゆる5ナンバーサイズで扱いやすく、エンジンはすべて直列4気筒で1.8リッターからラインナップしていました。

ガゼールの認知度が一気に上がったのは、やはり西部警察の劇中車に採用されたことが原因です。車両そのものは市販モデルにはない改造オープンカーでしたが、なんといってもボスの小暮刑事、故・石原裕次郎さんが乗り回していたのですから大人がざわつきます。

さらに人気を加速させたのはスカイラインGT-R以来、採用のなかった4バルブ式DOHCエンジン『FJ20E』の投入です。時期的にはR30型スカイラインと並行するカタチとなりましたが、先鋭的で未来感を売りにしたシャープなデザイン、デジタルメーター、イコライザー付きオーディオシステムなどなど、すべてがシンクロし日産スポーツファンを狂喜させました。

プロモーションのメインは主役であるシルビアが活用され、国内では魔改造の『スーパーシルエット』、また、WRC用ホモロゲーションカーとして『240RS』がレースシーンで活躍。そんなシルビアに相対して新規車種のガゼールは、いま思うにパーソナルなスペシャリティカーというジャンルを開拓した存在といえそうです。

1983年3月(昭和58年)。フルモデルチェンジを迎えシルビアは4代目に、ガゼールは2代目になります。型式はS12型。ボディシルエットの印象は変わりませんが、ノッチバックボディはピラーレスからBピラーを備えたボディへと変更。ヘッドライトが固定式からリトラクタブル式となり、時代のトレンドを感じさせるものとなりました。デビューからわずか4年後のことです。

この2代目ガゼールはシルビア同様、最高峰モデルに『FJ20E』をターボ化した『FJ20ET』を搭載。最高出力は150psから190psに向上します。当時の日産にはスカイラインやフェアレディZも並行してありましたので元気一杯。まるでバブルの予兆のようでした。

その後、シルビアはS13型『アート・フォース・シルビア』となり飛躍を果たすのですが、『ドラマチック エレガンス』あのローレルの気品と風格を受け継いだ……とTVCMで語られたガゼールは終売の運命を辿ります。きっと、兄弟車の2ドアFRスポーツ2車は売り切れないという販売戦略上の判断もあったのだろうと思います。

1980年代のクルマは日産に限らず、意欲的なモデルが多いと感じます。YouTube上には当時のTVCMが散見し、懐かしさとともに淡い記憶が蘇ります。そういえばガゼールのTVCMの最後に外国人の少年が出てきて「ガゼール〇×△」というのですが、ハッキリ聞き取れません(マリアージュ?)。お分かりになる方は是非、コメントをお寄せください。

Text:Seiichi Norishige

日産ヘリテージ



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