前回、歴代の空冷ポルシェ911（901、930、964、993）に圧倒され、余韻に浸る間もなく、今回はアストンマーティンとランチアの登場です。
東京タワーのふもとにある「オートダイレクト」は、空冷ポルシェ911に強いお店として知られています。が、それだけではなく、アストンマーティンに強いお店としてもその筋では有名なのです。
自動車ジャーナリスト教重誠一は言います。「今年いちばん買いの中古車は、アストンマーティンDB9だ」と。その理由は、車の実力に対して、かなりのお値打ち感があるからだと続けます。
確かに、新車価格が2300万円ほどしたV12エンジンを積む、名門が半分以下の700、800万円で手に入る、というのは高値安定を維持するポルシェやフェラーリの中古車では味わえないよろこび、と言えましょう。
もちろん、維持するのは一筋縄ではいかぬでしょう。スーパークーペですので、国産リッターカーは言うに及ばず、ジャーマン実用セダン以上に、金も暇もかかると思います。でも、それ以上に、アンダー1000万円でひとりボンド気分を味わえるなんて……。中年の妄想は止まりません。
さて、スペシャルなアストンマーティンもありました。世界限定たったの100台というGT12です。V12ヴァンテージSをベースに、これでもかとカーボンパーツを投入したこちら、6ℓの排気量で、595psを誇ります。
英国ジェントルマンのジョンブル魂を否が応でも感じさせるスペシャルな1台です。
イタリアンジェントルマンを気取るなら、こちらのランチア・フラミニアはいかがでしょうか？
1957年から70年まで1万2633台が生産された高級乗用車であるフラミニアには、4つのタイプが存在しました。それぞれ名門カロッツェリアが架装しているのが特徴です。
4ドアの「ベルリーナ」と、2ドアの「クーペ」はピニンファリーナ。2シータークーペの「スポルト」はザガート。そして、今回の2シータークーペ「GT」はトゥーリングが手掛けました。
オートダイレクト代表の角田さんはとにかく、このトゥーリングのほかにはないエレガントなデザイン、たたずまいに魅了されてしまい、自動車販売者という立場を忘れ、自分の物にしたい、と願うほどだと言います。
2.5ℓ V6OHVエンジンをフロントミドに積み、出力は140hpほど。1.2tほどのボディを軽々と運び、細身のステアリングを軽く握って、どこまでもドライブしたい、とこの車は思わせます。
なんともエレガンテなクーペに興奮冷めやらぬまま、ショウルームに戻ってくると、さらにスペシャルな1台が。
アストンマーティン・ヴァンキッシュ・ザガート・ヴォランテ。かたかなが並び、なんのことやらわからない方にご説明を。アストンマーティン＝社名、ヴァンキッシュ＝車名、ザガート＝架装を担当したカロッツェリア、ヴォランテ＝アストンマーティンでのオープンカーの意。
世界限定99台で、日本国内で販売されるのは初であろうこの個体。歴史的価値も高く、全世界のエンスージアストから羨望のまなざしを浴びるに違いなく、思わず合掌。
と、根強い人気の空冷ポルシェ911から、ヘリテージとなるに違いない英伊のクーペまで、買えぬとわかりながらも、喉から手が出る、そんな高揚感を味わった中年なのでした。
いや～中古車って本当に楽しいですね。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。次回もお楽しみに！
オートダイレクト
東京都港区東麻布1-13-2
03-5573-8777
公式サイトはこちら
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Video：Yoshihide Shoshima
Video Edit:：Airi Harumi
Text：Takashi Ogiyama
