決して主張せず、なんにでも合わせやすい上品さに惚れました
さて、213回目も続けて「エルメス」。スウェットのアワードジャケット a.k.a. スタジャン「テディ」です。
ここで、ちょっと小咄。この手のジャケットは、スポーツの試合や大会で勝利したチームや優秀な成績を収めた選手だけに記念で贈られたことから"アワードジャケット"と呼ばれ、スポーツマンにとっては憧れのアイテムでした。
日本での愛称"スタジャン"は スタジアムで着るジャンパー"スタジアムジャンパー"を略したものなんですが、あのVANが作った和製英語で英語圏では通じません。
しかし今回は、分かりやすいように"スタジャン"の呼び名で話を進めていきます。
90年代を原宿でどっぷりと過ごした自分にとっては、スタジャンは憧れのアイテム。藤原ヒロシさんを筆頭に、皆さん揃いで着ていたグッドイナフのスタジャンに自分のナンバリングを貰って着るのが当時の夢でした。
齢を重ねるにつれて、憧憬の念は薄まりましたが、素敵なアイテムに出逢ってしまうと自然と触手は伸びてしまい、直近でいうとカンタータの裏地がシルクのブランケットになったスタジャンは迷わず、清水ダイブしました。
そして、今回はエルメス。2020年春夏シーズンのアイテムをチェックしに店頭に行ってすぐ目に止まったんですが、税込だと20万を超える価格には正直躊躇…。
でも、買わなかった後悔は かなり後引くので、迷った挙句ですが清水ダイブしときました。
パッと見は、ホントなんてことはないスナップボタン留めのブルゾン。
それぞれはセリエボタンになっていますが、よっぽど寄って見ないと分からないし、普通じゃ到底気づかない。
左胸には 「H」マークの刺繍が施されているんですが、ボディの色と同色だし、買った当人も試着するまで まったく気づきませんでした(笑)。
この辺の控えめな感じが たまらない!
スタジャンというと、所属するチーム名や記念の試合での戦績をシニールと呼ばれるワッペンで各所に装飾するのが文化だったから、やたらと騒がしいのが主流。
それをここぞとばかりにアピールして着る往年のアメカジおじさんみたいにはなりたくない僕にはドンピシャでした。
スタジャンに関しては、大きく着るのも古臭い感じがしたので、いつもよりサイズを落としてTシャツに重ねてジャストくらいのフィット感を選んでいます。
前回も戯言として書きましたが、納得いかないのはサイドポケットのジップが riri製じゃないところ。でも、持ち手が さり気なく「よく見たら H」になってるから アリにしときましょうかね。
じつは、この「テディ」ですが、全面がカーフレザーになったタイプもリリースされたんですが、そちらは3桁! 100万円超え……。とても魅力的なアイテムでしたが、おいそれとは買える金額ではないので、華麗にスルーしときました。
前回紹介したフーデッドのパーカと、この「テディ」があれば、エルメスの羽織るスウェットは十分。どちらも毎日着たくなるほどオーセンティックで、着心地も抜群なので、潰れてしまうまで愛で続けようと思います。
Photo:Shimpei Suzuki
Text:Ryutaro Yanaka