並んでまで、食べてみたい、買ってみたい、という気持ちは年を重ねるにつれ、薄れていくものですが、今回は並んでまでして、呑んでみたい酒場へ行ってきました。
それが、東京都中央区東日本橋、馬喰横山にある老舗焼き鳥屋「江戸政」です。この界隈は、江戸通り・清洲橋通り・靖国通りの3本の大通りに囲まれた日本最大の現金問屋街で知られていますね。
ここは、古くは馬市の立つ町でした。 靖国通りと江戸通りの交差点の北側に、「初音の馬場」と呼ばれた馬場もあって、関ヶ原の戦の際にはここで馬ぞろえ (出陣前の馬の検閲と演習) が行われていたとのこと。 博労 (馬の善し悪しを鑑定し、売買・仲介をする人) の頭、高木源兵衛や富田半七などが住んでいたところから当初は「博労町」のちに「馬喰町」という地名になりました。
現在は約1500の商社や店舗が軒を並べ、衣料・繊維品・服飾品ならまず無いものは無いと言われている、150年以上つづく個性豊かな問屋街なのです。歴史ある町並は歩いているだけでワクワクしちゃいます!
というわけで、ようやく目的のお店に到着。開店1時間前に伺ったのですが、既に1組待ちでした。ほぼ、お一人様が多いのですが私の前後はカップル。おじさまだったら良かったのに……。行列の中にサラリーマンのおじさまを発見したのですが、話しかけたいのに遠くで並んでいる為、話しかけられないもどかしさ。店内でお隣にならないかなあ、と淡い期待を抱きつつ。開店30分前には私を含めて10名程にお客さんが増えてきました。
開店前には女将さんにより、人数確認チェック&店内での感染予防の為、注意事項のお声かけが丁寧にあります。そして、事前に基本メニュー+事前追加オーダーの確認。こちらのお店は、都度注文するのではなく基本メニューが決まっており、追加オーダーをして食事をするシステムです。この日は事前に「レバー」の追加の有無をご確認。事前の注文確認の後、店内での追加オーダーは1回のみで済ませる決まりがあります。
人気の老舗焼鳥屋なので、営業短縮時間と関係なく元々売切れ次第終了されるお店なのです。仁義を重んじるお店なので、あまりスマホを操作したり写真撮影をしたくないのですが、尊敬の念を込めて。
「江戸政(えどまさ)」の大将は、現在では代替わりし2代目の息子さんが跡を継がれ営まれています。大将の拍手?(一本締め)で開店の合図と共に入店です! 開店と同時に入れるのは14名程度で、中心にある焼台を囲む立ち飲みスタイルのお店です。あまり和気藹々をお喋りせず焼き鳥と向き合い、じっくり味を堪能するのが通のようです。
店内には相撲の力士の方々のお写真や手形が壁に飾られています。創業当時は、土地柄相撲力士で賑わうこともあったそうです。
まず最初にドリンクを注文します。ドリンクだけは、注文と同時にお金を払うキャッシュオンシステムなので、なるべくピッタリの金額が払えるように小銭を用意しておくと便利ですよ。焼き鳥の待ち時間、そして共に焼き鳥と頂くために私は中瓶2本を注文しました。
さっそく、基本オーダーの一品目は「つくね(生)」。こちらのつくねは、生or焼きが選べるのです。私は絶対に食べてみたかった「生つくね」! 創業当時から、一世を風靡したと言われています。わさびと、生つくね。初めての経験で絶品です!
生つくね!
続けて、ピーマンの肉詰め、ハートスタミナ、焼鳥(ネギマ)。ビールが進みます!
追加注文でレバーを。
1日数本しか注文できない、超幻の「かわ」を頂けました。見た目もなんともボリューミーですが、口の中でとけて、嗚呼もう一本! と叶わぬ夢をビールで流し込みました。食べたいなら1時間前に並ばないと品切れになってしまうそう。この時も、すでに開店同時にいらしたおじさま分で丁度無くなっておりました。
美味しく頂けるものの、サラリーマンのおじさまとは席も遠くお話しできず……日本酒をご注文されていて素敵だな♡ とチラリと。
そんな中、店内で追加注文の際、他のお客さまがこぞって「半生(はんなま)で」「半生(はんなま)お願いします」とおっしゃっております。何かしら。私はおじさまと生粋の「生」が好きなんだ、とほろ酔いながら考えていると、1回かぎりの追加オーダーを逃してしまいました。「半生」というメニューもお店の名物、中がほんのりピンクの「焼きつくね」の事なのです。是非みなさま召し上がってみてください。
これだけ贅沢に頂き、お会計は合計2100円。なんというリーズナブルな価格。皆さまも是非、並んだ後に頂く絶品焼き鳥とビールで、ちょっと日常から離れた至福の時を体験されてみては如何でしょうか。
江戸政 (えどまさ)
東京都中央区東日本橋2-21-5
営業時間 月~金17:00~20:00(売切れ仕舞い)
土17:00~18:30
定休日 日曜・祝日
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
Photo&Text:Misaki Kobayashi
Edit:Takashi Ogiyama