もうすぐバレンタインデーですね。みなさまは、どんな淡い思い出がありますか? チョコレートのように甘〜いことや、ほろ苦いこと。昨今めまぐるしく変化する時代の中ですが、ふと思い出すあの日々に思いを馳せながら、今宵はノスタルジックな雰囲気の街、西荻窪、通称「ニシオギ」の老舗店で一人、ほろ酔い。素敵なおじさまに会えるかしら。
西荻窪は、荻窪や吉祥寺に比べ、どこか懐かしいような、柳小路にある小さなバーのような下町的な街の雰囲気がアラサー女子にもぐっときます。
今回お邪魔した「戎(えびす)」は、西荻駅の南口、北口にそれぞれあります。最初に南口店が開店し、当初は女人禁制で、もつ焼きだけの店でした。その後やきとりがメニューに加わり、築地の魚・野菜の直接仕入れを行うようになったそうです。最近では洋風のメニューも加わり、ワインも楽しめるようになりました。
南口店が女人禁制だった為、多くの女性から「女性も入れる戎を作って」との要望があり、南口開店12年後に北口店ができました。南口店は、建物を少しずつ拡張しました。焼き台のある建物が「本店」。通りを挟んだ大きな建物が「別館」です。
「お嬢ちゃん、女性一人で飲むのかい?」と入り口付近にいらっしゃる、酎ハイ片手に呑まれている素敵なおじさま方のお声がけを受けながら、そーっと入店。女人禁制の昔の時代に生まれなくて良かった〜〜。
歴史を感じるものの、店内はとても綺麗です。一人席、複数席に透明のパネルが立てられていますが、心地良く呑める空間です。
黄金のビールサーバーがきらりと輝いています。これはもう、最初の一杯はビールで決まりですね。店内には、ブロンズ色のもつやきの部位の説明書きがあります。眺めているだけで、わくわくします。
お酒は焼酎からワインまで幅広く、お手頃価格なので、何を注文しようか迷います〜。ワインはボトルでも1000円という破格! 常連さんに、呑兵衛なら軽くいけるよ〜とおススメされましたが笑。次回のお楽しみにしておきます。
お店にもお酒の飲み方のルールがあります。「日本酒・梅酒は5杯まで。焼酎系3杯まで!」と。
生ビール・サントリープレミアムモルツ中(520円税抜)と、春菊酢みそ(260円税抜)をまずは注文。意外と昭和酒場のメニューでお見かけしない春菊の酢みそあえが、これからはじまる焼き物の箸休めに。
名物である生じゃばらハイ(420円税抜)を続けて。ところで、「じゃばら」ってご存知ですか? 和歌山県で採れる果実で、「邪気をはらう」という意味が込められています。果皮果汁に含まれているナリルチンが花粉症の改善にも効くとか。
同店では毎年100ケース以上仕入れているそうで、柚子のような、オレンジのような、甘すぎずほんのり苦味が残るまるやかな風味なので、お食事と相性良く癖になる美味しさです!
さて、メインディッシュは日替わりやきとんです。「マメ」「チレ」「テッポウ」「コブクロ」各95円(税抜)を注文しました。この価格でこのボリュームですから、完売必至。早めのオーダーをおすすめします。
お隣さんは常連さんの60代のおじさま「しんさん」。パネル越しに乾杯! しんさんは北口店からのはしご酒らしく、帰り道、帰るつもりがふらりといらっしゃったそうです。
コロナ禍にあり、隣のおじさまに気軽に話すことをためらうことが多いのですが、しんさんはお優しく、最近見た映画のお話やニシオギの歴史を教えてくれました。
常連さんは「酎ハイ」(宝25度)を召し上がっています。なんでも炭酸がほかの店とは違うのだとか。SNSをやっていないおじいさまなので、電話番号だけ交換して、またどこかで乾杯できたら良いね、と古典的な繋がりがまた新鮮。一期一会の酒場の出会いに癒されました。
やきとり 戎 西荻南口店
東京都杉並区西荻南3-11-5
営業時間 13:00〜20:00
定休日 無休
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
Photo&Text:Misaki Kobayashi
Edit:Takashi Ogiyama