いい仕立てのスーツには、いい靴を
こちらの「PHILIP Ⅱ(フィリップ2)」は昨年、東京ミッドタウンの直営店で購入しました。本当はビスポークがしたかったのですが、オーダーから4ヵ月後にフィッティングチェック(仮縫い)、納品までは約8カ月かかるというので、あえなく断念。だって、そんなに待てないじゃないですか(苦笑)。
最近、グレーのスーツを英国の名門ミル、フォックスブラザーズの生地や、上質な100%カシミアの生地で仕立てたこともあり、靴でも最高峰のド定番が欲しいと思っていたんです。クロケット&ジョーンズやエドワードグリーンの靴も持っていましたが、もう少しシャープなトゥのものが欲しいと思いまして……。
色とデザインは、黒のストレートチップ一択。といっても、ジョンロブには名作「CITY Ⅱ(シティ2)」や、「ALFORD(アルフォード)」などのエレガントなモデルがあります。ALFORDの美しいフォルムも捨てがたく、どちらにするか最後まで迷ったのですが、最終的にPHILIP Ⅱを選びました。
PHILIP Ⅱは、手製のべヴェルドウエストや細かなパンチングを施したキャップトゥ、丸みを帯びたソールなど、プレステージラインの特徴であるビスポークの要素をふんだんに取り入れた一足。既成靴の最高峰といわれ、その出自は1985年当時のビスポークで人気モデルだった「PHILIP」に行き着きます。
フォーマルな場面で履くことを考えると、パンチングがないほうがいいとも思ったのですが、飾りが繊細でそんなに目立たないので大丈夫かなと……。見るとわかると思いますが、何だか靴に威厳のようなものがありますよね。
26万4000円/ジョンロブ(ジョンロブジャパン)
あと、決め手となった意外なディテールがありまして……。それがベロの処理。中に入り込まないように片方だけ内羽根の裏側で縫い合わせているんですよ。ビスポークの要素なのかもしれませんが、前に買ったパテント素材の「GARNIER Ⅱ(ガルニエ2)」もそうで、すごく便利なんです。こういう履く人の気持ちを踏まえたつくりに滅法弱いんですよね。
残念ながらALFORDではそれがなかったので、PHILIP Ⅱに決めました(笑)。ただ、購入後にお店のスタッフに聞いたら、ALFORDを買ってお直しでベロを片方縫い合わせる人もいるんですって。確かに、その手があったかと妙に納得してしまいました。
こちらの靴を合わせるのはスーツオンリー。といっても、まだ5回程度しか履いていないんですけどね(苦笑)。きちんと手入れしながら一生ものとして、長く付き合いたいと思います。
【問い合わせ】
ジョンロブジャパン
03-6267-601
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii