ペニーに飽きたら、タッセルもね
あなたの靴を見せて頂こう企画、通称「靴魂(くつたま)」も気がつけば、4000投稿を達成! 本当にありがとうございます!! この企画は、皆さんのやさしさ(投稿)で成り立っております。
さて、春の足音が近づいているのに加え、ビジネスシーンの変化で履く靴にも変革が起き、「怠け者・ならず者」という意味のローファーにも注目が集まっているのか、第25弾企画の人気は上々。
というわけで、第26弾はローファーにひと味加えた、タッセルローファーをピックアップしてみます。
タッセルローファーとは、アッパーの甲部分に房飾りである「タッセル」がついたスリップオンタイプのシューズのこと。
1948年に、アカデミー賞にも輝いた俳優ポール・ルーカス氏が、ヨーロッパでオーダーしたシューレースの先端にタッセルが付いた靴を ニューヨークの靴店『Farkas & Kovacs』に持ち込み、「これをもっとシンプルにアレンジさせた靴がつくれないか」と相談。
同店は要望に合った靴を完成させましたが、フィッティングに難があったため、さらにルーカス氏はニューヨークとビバリーヒルズの2店に相談します。その2店ともが制作を依頼したのが、オールデン(Alden)だったのです。
その後オールデンはタッセルローファーの生産をスタートさせ、1957年には あのブルックス ブラザーズが別注したことによって、アメリカ東海岸の学生の間で大流行。アイビーやプレッピーの足元を飾る靴となるわけです。
その流れからビジネスマンや弁護士などにも拡がり、ローファーのように軽快なのに紐靴のようにフォーマルなシューズとしてタッセルローファーが好まれるようになりました。
では、話をクルリンパと戻して タッセルローファーの投稿から素敵な5選をご紹介していきましょう!
ブルックス ブラザーズのタッセルローファー
まずは、ジョンロブとオールデンの回にも登場いただいた@yohei0001uさんの投稿から。
ブルックス ブラザーズがオールデンに別注していたタッセルローファーです。
前述したタッセルローファーの誕生には少し面白いエピソードがありまして…。
最近ブルックスでは オールデンが手掛けたシューズをあまり見かけなくなりましたが、その蜜月関係がスタートしたきっかけが、このモデルだったんです。
タッセルローファーを誕生させた1950年当時、オールデンにはフロイド・ギルモアという伝説の営業マンがおりまして、彼が猛営業をかけたことで、ブルックス ブラザーズ側がオールデンのデザインとスペックに納得。それを機に 社の紳士靴ラインナップのひとつとして受け入れたんだとか。
これにより、ブルックス ブラザースはオールデンには存在しないオリジナルのラスト(木型)、他では見られないヒール部分に施される「フォクシングステッチ」という特別な仕様を採用したタッセルローファーを世に送り出します。
奥様のトリー バーチのパンプスとのコンビ写真、素敵です! イイ感じに履き込まれながら、綺麗に手入れもされていますね。最近、ブルックス ブラザースの別注モデルは、他の別注より技術を要するせいか店頭に姿を現さなくなっていて、今後ますます貴重になってくると思われますので、ぜひ大切に愛でてあげください!
そして奥様の靴とのペア投稿も楽しみにしています。
ブルネロ クチネリのタッセルローファー
続いては、#服魂ライブの際にストールを紹介させて頂いた@10.18hhさんの投稿。
ブルネロ クチネリのタッセルローファーです。
上質なカシミアのニットウェアをメインに、ラグジュアリーなアイテムを展開し、FORZAの編集部員たちも虜にしているブルネロ クチネリには、靴の名品も盛りだくさん。
カジュアルな中に極上の素材と巧みな職人技が取り入れられたスニーカーや、男性の足元に欠かせない短靴やブーツなど、毎シーズン気になるラインナップが豊富で、財布の紐どころか銀行口座までも緩めてきます(笑)。
このタッセルも、バーガンディでコバが張ったロングウィングチップというアメリカの匂いはさせながら、ぽってりはさせず都会的で洗練された仕上がりになっています。ブルネロ クチネリは、この辺のバランス感覚が抜群に優れています。
@10.18hhさんは 今回も盆栽とともに撮られていますが、その組み合わせも秀逸。上質なアイテムと盆栽とのポストには いつも心洗われます! 今後も素敵な投稿をよろしくお願いします。
ジョージ クレバリーのタッセルローファー「AIDEN」
続いては、 @j0.1903さんの投稿。
ジョージ クレバリーのタッセルローファー「エイダン(AIDEN)」です。
1898年、ロンドンの靴職人一家に生まれたジョージ・クレバリー氏によってスタートしたジョージ クレバリー(George Cleverley)です。
ビスポークで名高いブランドで、1786年に英国南岸沖で沈没した船から約200年のときを経た1973年に発見され、海から引き揚げられた幻の革「ロシアンカーフ」を買い付け、靴を誂えていたのは有名な話。
既成靴のラインは、クロケット&ジョーンズ(CROCKETT & JONES)が製作しているようです。
ジョージ クレバリーの「エイダン」は、タッセルを繋ぐ革紐が編み込みになっているのがポイント。平紐とはだいぶ表情が変わります。
@j0.1903さんの美しく磨かれたブラウンの輝きは、穿き込まれたデニムのブルーとも好相性。見事なアズーロ・エ・マローネです! いつも綺麗にお手入れされた靴を履いておられて、拝見していて気分が良く、こちらも背筋が伸びます。
バーカーのタッセルロファー
次にご紹介するのは、@y.rock_and_rollさんの投稿。
バーカーのタッセルロファーです。
1880年にイギリス・ノーサンプトンにてアーサー・バーカー氏が創業したのがバーカー(BARKER)。 第一次世界大戦中には軍用ブーツの製造も行っており、技術の高さには定評があります。
2005年には、ニューヨークにて デリックとカークのミラー兄弟との協業で、バーカーブラック(BARKER BLACK)をスタート。クロス ボーンのモチーフは遊びが利いており、履き道楽たちを楽しませてくれます。
@y.rock_and_rollさんのクレイジーパターンのタッセルローファーは、なんとも興味深いデザイン。 表革とスエードコンビは見たことありましたが、こんなネガティブ履きしているようなものまで存在したとは驚きです。
雨でも気にせず履いて、お手入れしているのにも共感持てます。ぜひ今後もたくさん愛でてあげてください。
ジョンロブ・ロンドンのタッセルローファー
最後は、@sho_of_closetさんの投稿。
ジョンロブ・ロンドンのタッセルローファー、しかも驚愕のクロコダイルです。
1829年生まれの創業者ジョン・ロブ(John Lobb)氏が、1866年にロンドンのリージェント ストリートにビスポークを専門とする靴の工房を開くことでスタートしたジョンロブ。
1976年にエルメス傘下に入り、既製靴のラインをスタートさせた「ジョンロブ・パリ」とは別に、ビスポークシューズ(注文靴)専門の店としてロンドンのセントジェームス ストリートで創業家によって経営されているのが「ジョンロブ・ロンドン」です。
そんなビスポークで作られた、クロコダイルのタッセルローファー…。ゲスい話ですが いったいお幾らだったんでしょうか?
かつて履きすぎて亀裂が入ってしまい修理しているそうですが、その修理痕すら好きになり「歳と共に修理しながら履いて行けたらなぁと思います」とのコメント。素晴らしいですね。
イイ修理職人さんと出会い、メンテナンスして貰いながら愛靴と共に過ごす人生。なんて素敵な響きでしょう。
減価償却も大切な話ではありますが、履き続けることで相棒になって朽ち果てるまで大切に履ける靴に出逢えるなんて幸せ過ぎます。そんな友のような靴をまたぜひポストしてください。
以前こじラグでも書きましたが、じつはタッセルローファーって好きではなかったんです。ところが段々と気になり出し、靴魂のポストを追う日々の中で好きになりつつある。
意外に上品な雰囲気ですし、スーツにも合わせやすく、カジュアル化したビジネスに取り入れるにも最適なタイミング。かつての僕のように食わず嫌いせず、ぜひトライしてみてはいかがですか? あたらしい世界が広がりますよ。
それでは、本日はここまで。是非これからも ドレスシューズに限らず、ブーツやスニーカーなどなど、みなさんの愛用靴を「#靴魂」を付けて たくさんポストしてください! 女性も大歓迎!
ちなみにですが、会員登録して頂けるとコメントを書き込むことができますので、#靴魂に対するご意見や感想、「オレはココの靴が好きだー」「こんな切り口で靴が見てみたい」などなど奮ってコメントしてください。それから、インスタグラムの #靴魂(くつたま)を介して、皆さんが交流してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投稿に関してですが、撮影の仕方は自由。靴のみ、履いている足元、その靴を中心としたコーディネートなどなど、靴が写っていれば何でもOKです。ぜひご自慢の一足をインスタグラムに投稿してください。もしかすると あなたの投稿を取り上げるかもしれません。
それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!