連載一軒目の東京・京橋『マインドベンダーズ アンド クラシックス』に続いて赤峰氏が訪れたのは、「トータルでスタイリングができるのが一番の魅力のブリティッシュ・ヴィンテージ・ドレスの専門店」と絶賛する、渋谷の『DAVIDS CLOTHING(デイヴィッズ クロージング)』です。
「良い味出してるねぇ。惚れ惚れしちゃう」と試着三昧で、満面笑みのドクトル!
ドクトル赤峰とお宝服を探しに来たのは、ヴィンテージ愛好家から「英国ヴィンテージの聖地」と称されるデイヴィッズ クロージング。「もう10年以上通っていて、ここで買った服はかなり持っていますよ」というドクトル。「オーナーの斉藤博之さんはロンドンでは英国人が一目も二目も置く目利きのスゴイ人で、その目の確かさは品揃えを見たらすぐ分かる」と言います。
ヴィンテージの品揃えの良さや確かさに加えて、ドクトルがお気に入りなのが、「いつ会ってもポジティブで明るくて、自分のクラシックのイメージを持っている。今日もジョッパーズパンツを穿いて素敵でカッコいいですよ」というスタッフの小山(おやま)千晴さん。
──デイヴィッズ クロージングはどんなお客様が多いですか。
小山 以前のお店は代官山にあって、その頃からの常連さんに加えて、渋谷に移転してからは若い方も多くなって、年代は幅広いです。若い方は、「テーラードを着てみたい」と入店してきて、「最初は入りにくかったけど、品揃えもプライスも良かった」と喜んでいただいています。
赤峰 デイヴィッズ クロージングは、僕の好きな「炎のランナー」の世界なんだよね。英国モノがいろいろあるけど、全体の世界観が成立していてハズしがない。オーナーが選んだ良質な英国のヴィンテージの価値はもちろん、音楽や風俗などの文化に影響されたカルチャー色の強いものもちゃんとあって、若い頃に「本物に出合う」のはとてもいいことですよ。
──店内に流れるビートルズやストーンズの名曲に耳を傾けながら試着できるって、至福の時ですよね。
赤峰 そう。イギリスといえばクラブ・ブレザーが不可欠ですが、この店はきちんと品揃えしている。流行りとか関係ないんですよ。
──小山さんは“ヴィンテージブーム”って感じていますか。
小山 昨年はコロナの影響があってやや厳しかったですが、新規のお客様は増えていて、盛り上がりは感じますね。商品は英国仕入れのほとんどメンズですが、女性が着られるサイズも多いので、若いカップルの来店も多いです。毎週新入荷もあり、季節に合わせて素材感も変えています。
赤峰 こういう店に来ると、英国文化に対する興味が湧いてくるよね。ヴィンテージの良いところは、英国から生まれた古き良き服を身につけて「文化」を感じるところ。今の百貨店の紳士服売り場は、ネクタイ一本は買えるけど、そういうグッとくるものがない。
渋谷で見つけた“ニット天国”は、良コンディションの70年代モノが豊富!
ニット5800円(税抜)
赤峰 僕はデイヴィッズ クロージングには、ニットを探しにくることが多い。他のショップでは見つからないニットがかなりあって、ニット好きにはたまらんですよ。
小山 今は70年代のものが多いですね。50~60年代のヴィンテージも見つかります。
チルデンセーター6800円(税抜)
赤峰 昔のニットは編み地と配色が良くて、今ではほぼ作ることができない。こういう配色のチルデンセーターも見ると欲しくなるよね。まさにクリケットのスタイルで、白のトラウザーズと合わせるとカッコいいねぇ。
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チルデンセーター6800円(税抜)、トラウザーズ2万4800円(税抜)
赤峰 このブルーのベストもイメージが湧いてくるね。白のフランネルのボトムスに、ニットの下には、今はなき「Mc GEORGE(マックジョージ)」のポロシャツを合わせたいね。
50~60年代のベスト6800円(税抜)
赤峰 この黄色のベストは、茶色のスーツと着たいね。黄色と茶は相性が良いんですよ。白シャツですっきり合わせたい。
ベスト1万8000円(税抜)
取材が終わった後に、試着したニットをうれしそうに抱えて、「これ買って帰るから」と、スタッフの小山さんと話しているのを見ていると、赤峰さんは本当に服が好きなんだなと実感!
今ドクトルがチカラを入れている「AKAMINE CLASS SPORTS」の原点がここにある
ベスト6800円(税抜)
──ニットを試着していて楽しそうですね。赤峰さんがニットを着ていると、「ヨーロッパのお金持ちがスキー場で着ている」ような感じがします。
赤峰 デイヴィッズ クロージングは、困ったときの神頼みではないけど、来ると何か必ず欲しいモノがある、ホッとできる店なんですよ。
──赤峰さんがすごいのは、サッと見て、パッと試着して、即決ですよね。
赤峰 そこはもう「年季が違う」からね(笑)。海外のフリマとかこういうヴィンテージの店に行くと、視覚じゃなくて「嗅覚」なんですよ。漁るんじゃなくて、匂いが引き寄せてくるの。
──そういうのは訓練してもなかなか……。
赤峰 たとえば音楽のCDを買って、そのときはピンとこなかったけど、4~5年経って聴くと「いいじゃん」って思うものってありますよね。そういう「前は匂わなかったものが、今の気分だと似合う」ことって多くて、そういう感覚を大事にしてほしいですよね。
──赤峰さんの「これだ!」という嗅覚にはハズレがない。
赤峰 たとえば、カントリーのハンティングジャケットを見て、「普段に着るにはガンパッチはなくていいな」とか、「ポケットの形をアールにしたら手が入りやすいな」、「襟が留めたり開いたりできたら着こなしのバリエーションが増えるな」、「後ろにアクションプリーツを入れたら腕が動きやすいな」など、いろいろ考えるわけですよ。
レザーコート12万8000円(税抜)
──それはまさに「AKAMINE CLASS SPORTS」の考え方ですね。
赤峰 「AKAMINE CLASS SPORTS」の原点ですよ。本当にこんな素晴らしいヴィンテージに囲まれて仕事をしている小山さんが羨ましい。
小山 赤峰さんの「めだか荘」だってそうじゃないですか(笑)。
デイヴィッズ クロージングの小山さんが赤峰さんに着て欲しいコーディネートが完成!
赤峰 小山さんが選んでくれるなら何でも着ますよ。
小山 今回はニットをたくさん着て吟味していただいたので、私のお気に入りの茶のニットベストを選びました。これに合わせて赤峰さん流にコーディネートしてください。
赤峰 ではネクタイを選んで、ジャケットはハリスツイードにしましょう。
ジャケット5万8000円(税抜)、ベスト7800円(税抜)、ネクタイ4800円(税抜)
──では最後にずばり、デイヴィッズ クロージングはどんな店ですか。
赤峰 一言でいえば、「ブリティッシュ・ヴィンテージ・ドレス」の専門店で、トータルでスタイリングができるのが他の店にはない一番の魅力。ヴィンテージのような一点ものは試着が命で、「着てみてナンボ」ですよ。
DAVIDS CLOTHING(デイヴィッズ クロージング)
東京都渋谷区渋谷1-22-4
03-3409-8822
営業時間:15:00~20:00
無休
Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii