ココに自称、日本一、トヨタとBMWの新車を買って売って乗り継いできた男がいます。
その名はマッド平塚こと、平塚俊樹氏。カー用品メーカー最大手に10数年勤務し、職務上、自動車メーカーと交流し様々なノウハウを取得。
現在は危機管理コンサルタントとしてテレビや雑誌で活躍中の人物で、大手自動車メーカーの開発アドバイスも行う、知る人ぞ知る在野の有力者です。
そんな平塚氏の車両1台当たりの平均所有期間は約2年。仕事に必要なため、新車を買って2年経ったら売って、そのお金でまた別の新車を買う。
そんな「新車転がし」を数限りなく重ねてきた、その実例を根掘り葉掘り聞きつつ、最新の人気動向とトクする新車の購入術を紐解いていきます。
アルヴェルはもはやクラウンを超えた高級車だ
——今回は難易度を上げて激戦区の『ミニバン』です。
子育て世代や趣味人に欠かせないクルマがミニバンですが、いまや高級サルーンの役割を果たすモデルもあります。新車を60台以上2年毎に乗り換えてきた経験のなかで、ミニバンに該当するのはヴェルファイア4台とボクシーとハイエースが各1台ですか。
まず、アルファードではなくヴェルファイアを選んだ理由からうかがいます。
2代目MCヴェルファイア
マッド平塚(以下、M) いまはディーラーの販売チャンネルごとの専売枠が外れて全店取扱いとなり状況は変わりましたが、以前ヴェルファイアはネッツ店の専売車で、アルファードを買うより金利が安いし値引きもあった。ですから、結果的に得だったんです。
直近の状況ですが、トヨタがアルファードに集約をかけているので、これから買うならアルファードしかないでしょうね。
——基本的に自動車メーカーとしては、いまの時代、コスト高になる造り分け(兄弟車の生産)はしたくない。自販連発表の2020年1年間の新車販売データでは、アルファードが9万748台でランキング5位、ヴェルファイア1万8004台で37位。もうヴェルファイアは消えゆく運命かも知れませんね。
M ボクのヴェルファイア歴も途切れるのかな。気に入っているのに(泣)。
——ザックリとヴェルファイアの売買歴を聞かせてください。
M 初めに買ったのが、2.5Lのエンジン車にパナソニック15スピーカーオーディオとメーカーナビのフルオプションで月々6万5000円の支払い。コレを2年2万2000kmで手放して残債ゼロ。
代替のマイナーチェンジのモデルが2.5Lハイブリッドにディーラーオプションのパナソニック・ブルーレイ&ナビを着けて月々7万円。通常ディーラーオプションはプラス査定にならないけど、どうしてもブルーレイが見たかった(笑)。
インフォテインメントシステムはメーカーオプションが常識
——発注時に組み込むメーカーオプション以外はプラス査定が出にくい傾向にありますね。
M そうそう。基本的にはメーカーオプションは査定時に車両価格として計算されるから、新車で乗り継ぐユーザーは特にオトクなんですよ。
で、マイナーチェンジしたモデルのヴェルファイアを走行1万5000kmで査定して残債ゼロ。
3台目が2015年デビューのフルモデルチェンジモデルで2.5Lハイブリッドを選択してJBLオーディオにメーカーナビのフルオプションで月々8万円。2年で2万2000km乗って2018年10月25日発表のマイナーチェンジのモデルに乗り換えました。
このクルマも2.5LハイブリッドにJBL&ナビ+3眼LEDヘッドライトを着けて、月々9万円の支払いでしたね。
——平塚さんの購入パターンは、コミコミ総額で頭金ナシ、ボーナス払いナシ、残価設定型ローンで月々均等で5年60回払いの契約とのことですよね。つねに発売直後に新車で買い、2年乗って下取り査定で残債ゼロってのがスゴイよね。
M じつは初代のガソリン車の査定では70万円のプラスでした(笑)。その辺の事情をセールスマンに聞くと、「海外で引き合いがあって高額査定になったんですよ。特に東南アジアで高く売れるんです」とか教えてくれましたね。
新興国ではV6やハイブリッドはメンテナンスが厳しいという事情もあるのでしょう。
初代ヴェルファイアのガソリン車はプラス査定70万円だった
——なるほどね~。買い替えサイクルが5年以上なら素直に4気筒のガソリン車を選ぶのが賢そうですな。
M 査定額を最優先するなら2.5Lのガソリン車が一番です。でも2台目以降は乗り心地がいいので2.5Lハイブリッドを買っています(笑)。購入価格から査定額を引くと、率が一番悪いのはV6です。
メーカーオプションは高額査定の条件だ
——オプション装備で注意する点は何でしょう?
M 基本的には生産時に工場で組み込むメーカーオプションを選ぶことですね。アルヴェルの場合、ナビとオーディオ、安全装備一式でおよそ100万円になりますけど、高額査定の決め手になり損しません。
ただし、不思議なんですけど、サンルーフは毎回必ず水漏れするんですよね。マイナーチェンジしても改善されないのでボクはもう諦めましたけど、気の利いたセールスマンはサンルーフ装着を勧めません(笑)。
ハイエースはディーゼル&4WDを購入
——ボディ剛性が足りないのかな。ところで、アルヴェルも人気ですが、平塚さんはハイエースも乗ったんですね。
M 2016年5月にディーゼルの4WDを総額440万程度で買って月々5万5000円の支払いでした。2018年4月にRAV4アドベンチャーに乗り換えて残債ゼロ、支払額の変更なく乗り換えられました。
——ボクシーも乗ってきましたよね。ミドルサイズは激戦区なので他メーカーのライバル車も併せてうかがいましょう!
M ノアかボクシーか、査定額で考えるならボクシー煌(きらめき)の一択ですが、実は残価設定ローンの場合、アルファードやヴェルファイアと月々の支払額はそんなにないんですよね。
セレナならeパワーのプロパイロット付き、マイナーチェンジ後のオデッセイは未知数ですが、マイナーチェンジの前は絶対にお勧めしません(笑)。
ステップワゴンも根強い人気があるので査定は悪くないと聞きますが、一時期の勢いを感じませんね。
セレナ e-POWER
とはいえ、ミニバンは総じて他のカテゴリーと比較しても査定が高いのは確かなので、欲しい機能や装備で決めてもいいと思います。ライフスタイルというか使い方次第ですね。
繰り返しになりますが、注意したいのはディーラーオプションでアレコレとテンコ盛りにカスタマイズしても査定時にプラスにならず、メーカーオプションだとプラス査定になるということを忘れずに。
マイナーチェンジで押し出し感が強くなったオデッセイ
——今回の平塚流リセール術「ミニバン編」をまとめると、トヨタ車の場合は、
この連載、おかげさまで反響が大きいので、次回もよろしくお願いします!
Text:Seiichi Norishige