まずは、鳥海祥子先生って どんな方??
2021年もスタートし、やってくる春に向けて気持ちを新たに、ビジネスシューズを履く機会が多くなってきます。
ところが、なんとなくでビジネスシューズを選んできてしまい、じつは選び方・履き方・手入れの仕方など、基礎的な知識を備えていないという方も多いのではないでしょうか。
そこでビジネスシューズの基礎知識を、紳士靴の専門店「42ND ROYAL HIGHLAND」(フォーティセカンドロイヤルハイランド)の鳥海祥子先生に、女性目線でご指導頂きながら 学んでいく企画をスタートさせます!
でも、その前にまずは祥子先生がどんな方なのか気になりますよね? ということで 第0回は、先生についてをいろいろ質問していきます(*撮影時のみ感染症対策実施のもとマスクを外しています)。
FORZA:はじまりました、新連載「靴のこと教えて、祥子先生」! まずは読者の方に先生について知って頂くために、いろいろ質問してもいいでしょうか? あっ、聞いてもいいかな〜??
祥子先生:はい。いいともぉ……。先生なんて呼ばれるのは緊張してしまいますが、よろしくお願いします!
FORZA:女性がメンズシューズ ショップのスタッフというのは珍しいと思うんですが、きっかけは何だったんですか?
祥子先生:もともと革小物など革製品は好きだったんです。物を扱う仕事に就こうと思っていて、ぼんやりと革製品や宝石なども検討し、使えるイタリア語も役立てられたら、と考えていました。
ただ、宝石は売った後に自分が何かしてあげられることはあまりない。
その一方で革製品はお手入れや修理など手を加えていけるのが面白いかなって、革靴を選びました。どうせだったら複雑で奥深くて勉強することがたくさんある革靴に興味が湧いたんです。
FORZA:あえて難しいジャンルに飛び込むなんて気概を感じます! まだ働き始めて2年半くらいとのことですが、それ以前は何をなさっていたんですか?
祥子先生:15歳から学んでいた声楽を仕事にしていて、直前の1年間はイタリア・ローマにいました。
FORZA:声楽!? しかも イタリアですか!? また 大胆で大きな転換っ! ちなみに声楽を学ぶ きっかけって?
祥子先生:中学が声楽に強い学校で、大会にもよく出ていて、興味が湧いて入部しました。
FORZA:小さい頃から歌に興味があって……などというわけではないんですね。
祥子先生:ピアノなどは習っていましたが、声楽はそこが初めてです。それから音大を目指すことになり、普通科と芸術科がある高校に進学しました。授業の半分が音楽の高校で同県内だったんですが、すごく遠くて……。朝5時半起きで通っていました。
FORZA:ほぼ毎日遅刻してた自分を戒めたくなります(笑)。その努力が報われて、歌を生業にしていく道が開けたということですね。
祥子先生:大学院を卒業して、オペラの団体の研修所に入るために東京に上京して、2年間勉強後に会員になりました。
そこからオーディションを受けたり仕事を提供して頂いて、コンサートや小さな演奏会に出演したり、アルバイトをしたりしつつ、活動していました。さらに音楽を勉強しようと1年間イタリアに行ったんですが、いろいろあって声楽を辞めることになったんです。
FORZA:そのいろいろは もう少し仲良くなれたら聞くことにしまして(笑)。
靴の仕事に転職するわけですが、それまでに本格的な革靴に触れる機会はあったんでしょうか?
祥子先生:ないです。でも、革靴は好きでした。中学入学時、母にローファーを買って貰ったんですが、靴と一緒に靴磨きセットも買って貰って「絶対に合皮の靴は履くな」と忠告を受けました。
FORZA:素敵なお母様ですね。
その原体験から紆余曲折もあって、実際に革靴の世界に飛び込むことになりますが、想像と違った部分なんかはありました? それともすんなり?
祥子先生:全く知らないところからのスタートだったので、最初に覚えることがたくさんあるのは想像通りでした。知識を得るためにたくさん本を揃えて、わーと読んでマニアックなことも覚えて。それも楽しかったです。
ただ、本を読むだけでは分からないことが多すぎて……。とくに製法なんかは図解してあっても理解できなかったので、実際どうなってるかを知るには作ってみるのが一番早いなと思って、趣味の教室ですが通ってみて、一足作ってみました。
FORZA:勉強熱心でアタマが下がります。ちなみに、実際通って作ってみて いかがでしたか?
祥子先生:本で読んでた知識と、実体験が重なって いろいろ理解できました。ここまで手で作るんだとか、ものすごく時間を要するんだとか、それまで出来上がった靴しか見たことがなかったので、知見も広がりました。
FORZA:それで2年半を経て、どんな変化がありました? 例えば、靴の見方とか扱い方、それから街行く男性の足元を自然と見ちゃうようになったとか(笑)?
祥子先生:電車に乗ってたりすると、足元は見るようになりましたね。最初に靴を見てしまう癖はつきました(笑)。
FORZA:どんな靴を履いてる男性がお好きとか、ありますか?
祥子先生:きちんとお手入れされている方は好印象です。高価なブランドかそうでないかより、サイズが合っていて、綺麗に手入れされた靴を履いていて欲しいです。
ブカブカだったり、ホコリだらけの壊れそうな靴を履いているのを見ると、やはり気にはなりますね。もちろん、靴だけでその人を判断するようなことはありませんが。
FORZA:このお仕事に就いて、着ているものやスタイルにも変化はありました?
祥子先生:大きく変わりましたね。声楽のレッスン時はレースのヒラヒラなスカートを穿いていないと注意なさる先生もいらっしゃったので。
いまは履く革靴に引っ張られて、パンツやアウターを選ぶようになって、新しい視野も広がって楽しいです。
日々移ろっていく女性のファッションと違って、男性には定番というものが多くて しっかり根付いていて。購入した後も育てていくという行為には興味があったので、これからも加速していく気はします。
FORZA:レアですね! 使い捨て文明、消費社会に対するアンチテーゼ。サスティナブルな視点はアパレル業界でもいまでは不可欠な要素です。ちなみに、好きな靴はありますか?
祥子先生:グッドイヤー(ウェルト)でアウトソールもダブルでしっかりしている、厚い靴の履き心地は好きです。
歩くとゴッゴッて音がなるような。それの履き慣らしも好きなんです。
FORZA:これまたレア発言です!(笑)。男性でもそんな靴を履く人は、少なくなってきているっていうのに……。今度は祥子先生の私服も拝見させていただきたいです。
インタビューの最後に、祥子先生の今後の目標や、描いている未来について教えてください。
祥子先生:プロフェッショナルといえる人になりたいとは思っています。そのために、いまは販売で役に立てるよう知識と経験をたくさん蓄えていきたいです。まだ ぼんやりとしてますが……。
FORZA:ありがとうございます! 次回からは読者から届いた靴にまつわる質問をジャンジャンぶつけていきますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、15歳から学んで生業にもしていた声楽の道を離れ、突如 革靴の世界に飛び込んだ祥子先生。
まだ働き出して2年半ではありますが、持ち前の勉強熱心さに加え、真摯に取組む姿勢からお客さんからも熱い信頼を得ています。
休日でも革靴を履いて過ごし、バブアーやツィードなんかに身を包んでいるそうで、革靴好き・ファッション好きな男性には たまらないんじゃないでしょうか?
そんな信頼できる祥子先生に革靴にまつわる質問がありましたら、FORZA STYLEの無料会員登録をして頂き、コメント欄からドシドシお寄せください。ぜひご登録くださいませ!
Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka
鳥海祥子
42ND ROYAL HIGHLAND スタッフ
15歳から声楽を学び、数々のコンクールで受賞。勉強のため1年間イタリア・ローマへ渡るうちに一念発起して、革靴業界へ転身。42ND ROYAL HIGHLANDでスタッフとして働き、販売に加え、靴磨きや靴づくりも学ぶなど真摯な取り組みが評価され、各方面からの信頼も熱い。2021年よりFORZA STYLEにて祥子先生に就任。靴にまつわる質問に答えていく。
【問い合わせ】
42ND ロイヤル ハイランド 代官山
渋谷区恵比寿西1-34-29 シェラ代官山ビル1F
03-3477-7291
営業:12:00〜20:00
定休:水曜(祝日を除く)
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