CAR ― ここがヘンだよ日本のクルマ社会

ここがヘンだよ日本のクルマ社会

【高額になり過ぎた軽自動車】に物申す! カテゴリーをもっと実用性に寄り添って、細分化すべきではないか

2020.9.21 2020.9.21
2020.9.21
日本はクルマ先進国だとされているが、果たして本当なのだろうか? 欧米がすべて正しいわけではもちろんないのだが、明らかに日本のクルマ社会でおかしいな~と思うことがあることも事実。というわけで、どこがヘンなのか、その解決策は?にジャーナリスト森口将之がお答えします。

いまや日本の乗用車の3分の1以上を占めるまでになった軽自動車。このカテゴリーがどうして生まれたか知っているだろうか。

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軽自動車のサイズ変遷

軽自動車が生まれたのは1949年。昨年は誕生70周年だった。誕生の理由は、日本が第2次世界大戦で敗戦国となり、甚大な被害を負った中で、安価に入手できて経済的なクルマが必要とされたためだ。

当初の規格は、全長2.8m、全幅1m、全高2m以内で、排気量の上限は4ストロークエンジンが150cc、2ストロークエンジンが100ccと、2輪車を念頭に置いていたような内容だった。

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フジキャビン

それが証拠に翌年には2輪の規格が分かれて軽2輪になり、3/4輪の規格は全長3m、全幅1.3m以内、排気量は4ストローク350cc、2ストローク200cc以下に。次の年には排気量の上限が4ストローク360cc、2ストローク240ccとなり、1955年には2ストロークも360cc以下になった。

この規格は20年以上続く。初期の頃はフライングフェザーやフジキャビンなどの2人乗りが主流だったが、まもなくスバル360やホンダN360などファミリーカーとして使える4人乗りが登場し人気が高まった。

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ホンダN360

こうして進化していった軽自動車を日本オリジナルと言う人もいるけれど、海外にはその前から、似たカテゴリーはあった。

ヨーロッパでは1910年代から、2輪車用エンジンを使った、その名もサイクルカーがあり、第2次大戦直後には日本と同じ敗戦国になった旧西ドイツやイタリアを中心に、キャビンスクーターと名を変えた同種のクルマが数多く誕生した。イタリアのイソや西ドイツのBMWが生産したイセッタはその代表だ。

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BMWイセッタ

この時代は、日本の軽自動車とボディサイズもエンジンの排気量も大差なかった。違うのは欧州には戦前から高速道路があったので高速道路は走れなかったこと。ところが日本は軽自動車登場後に高速道路が生まれたこともあり、走行可能になった。

そのため以降も、排出ガス規制対策や衝突安全対策という名目でボディサイズや排気量の拡大が何度か行われ、1998年に現在の全長3.4m、全幅1.48m、全高2m以内、排気量660cc以下になっている。

対するヨーロッパは今も高速道路は走れない。L6eとL7eの2つのカテゴリーがあって(L1e〜L5eは2/3輪車)、最高出力や最高速度はL7eが上だが、代わりに45km/h以下、6kW以下のL6eは運転免許不要で、フランスでは14歳以上、それ以外の多くの欧州諸国でも16歳から運転可能だ。

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パリでお披露目されたシトロエン・アミのシェアリングカー

このL6eで注目を集めているのが、シトロエンが2020年3月に発表したアミ。2人乗りのEVで、前後左右のパネルを共通としたデザインだけでなく、シェアリング、長期レンタル、購入の3つの乗り方が選べることも画期的だ。今月からパリでシェアリングがスタートしており、パリ20区の色をまとった車両が話題を集めている。

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アメリカのLSV

アメリカにもLSV(ロー・スピード・ビークル)など似たようなカテゴリーがあり、富裕層向けのニュータウンでゴルフカートなどが近場の移動の足として使われている。タイのトゥクトゥクに代表されるアジアの3輪タクシーも、サイズや性能などはこのカテゴリーに近い。

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タイのトゥクトゥク

つまり海外にも軽自動車に近いカテゴリーはあるが、いずれもサイズや性能を考慮して高速道路の走行はできない。近年の軽自動車が高価になっているのも、高速性能を考えて安全対策を充実させていることが大きい。こうしてみると軽自動車はやっぱりガラパゴスなのである。

実は日本でも超小型モビリティという、ヨーロッパを手本にしたカテゴリーが2012年、軽自動車をベースとした認定制度として生まれている。また2018年には、最高速度20km/h未満で公道を走れる4人乗り以上の電動乗合自動車がグリーンスローモビリティと定義されており、軽自動車規格もある。

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一方、先月あおり運転を取り上げたコラムで書いたように、警察庁は高速道路の一部区間で最高速度を120km/hに引き上げようとしている。軽自動車は140km/hでスピードリミッターが効くようになっており、筆者の体験では100km/h以上で長時間走り続けるのは心理的に厳しそうな車種が複数ある。

では120km/h化に合わせてボディサイズや排気量を拡大すべきだろうか。そうなったら、1000cc以下の自動車税は昨年秋の減税後も2万5000円なのに軽自動車は1万800円という差額が大きすぎという声が殺到するだろう。それよりも筆者は、ヨーロッパのように軽自動車も2カテゴリーに分けるべきと思っている。

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スズキ・ハスラーとダイハツ・タフト

仮に低速型をK1、高速型をK2とすると、K1は高速道路を走行できない代わりに安全基準などは緩和して、近場の足に気軽に使える安価な車両にする。超小型モビリティやグリーンスローモビリティはここに含まれる。

そしてK2は120km/h巡航が安心してできる性能を備えた車両が該当する。当然ながら自動車税はK1とK2は差をつけ、後者は登録車に近づける。

今の日本は急速な高齢化と過疎化が進み、交通弱者が増え続けている。日々の移動に困る人々に寄り添ったクルマを提供すること。それが軽自動車の本来の役目ではないかと思っている。

Text & Photos:Masayuki Moriguchi
Edit:Takashi Ogiyama

森口将之プロフィール

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モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、グッドデザイン賞審査委員などを歴任。著書に『Maas入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』(学芸出版社)など。

 

 

 

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