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LIFESTYLE 洋食天国

オムライス、カツレツはここで生まれた。125年愛される煉瓦亭の歴史とは?

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料理芸人のクック井上。による、“飲食店は開店してから、2年以内に半数が閉店に追い込まれる”というデータがある中、何十年もの間、お客に愛され続けてきた洋食屋さんを巡り、その想い、歴史、人、町を知る連載コラムです。

創業125年『煉瓦亭』四代目インタビュー

料理芸人のクック井上。です!

前回は銀座のハイカラな洋食を『煉瓦亭』で堪能させていただきました。この125年の歴史を誇る洋食店の現当主、木田浩一朗さんにこれまでの軌跡をインタビューさせていただきました。

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──創業者の方について教えてください

木田浩一朗さん 私は、小学校一年まで、創業者であり、ひい爺さんである木田元次郎氏と、一緒に住んでいました。ひい爺さんの親は会津藩士で、こちらに逃げてきて所帯を持って、ひい爺さんが生まれたと聞いています。食えない武士の息子だった為、小さい頃から働いて職業を転々。100種ほど職業を経験し、相撲部屋に入ったり、旅芸人の一座にいた事もあるそうです。

──100種は凄いですね。そこからどのように洋食の道へ?

木田浩一朗さん ひい爺さんが、上野の万国博覧会を見た時に、西洋人と西洋文化に触れ、‟これからは日本人も西洋に負けないよう、世界の仲間入りをするために西洋料理を食べなきゃ駄目だ!”と、横浜のホテルでの修行を経て、お店を創業しました。当時、浅草が栄えていましたが、政府の肝いりで、銀座には煉瓦街を作り、色々なものを招致していた。‟これからは銀座だ!”と、煉瓦街にちなんで店名を『煉瓦亭』とつけたそうです。

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── 一生の仕事に辿り着いたんですね。2代目はどんな方でしたか?

木田浩一朗さん 爺さんは、早稲田のラグビー部に所属する健康優良児。身体が強かった為、中央区で一番最初に戦争の召集令状(赤紙)が届いたそうです。職業軍人ではなかったが、満州事変から広島の原爆まで経験。終戦の時、広島は全滅したということで、家族には訃報が届きましたが、最後は総長までのし上がり、きっちり戦後処理までして生きて帰ってきたそうです。

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店舗三階には現在も座敷が用意されている。

──2代目が戦争を乗り越え、3代目4代目と受け継がれたんですね。

木田浩一朗さん そうですね。お店も、昭和6年~18年ぐらいまでは、本店の銀座4丁目とここ3丁目の2店舗ありましたが、本店は戦争で焼け、ここ3丁目の1店舗になりました。戦争中、お店は休止に追い込まれ、本当に大変だったようです。戦後は、GHQの方がここに食べに来るようになったり、戦後復興の最中で、ゼネコンの方々が毎晩、接待や飲み会で使って下さったり……、時代ですね。この建物は、昭和39年にはオリンピックに合わせて建てなおしました。実は、明治の煉瓦街で使われていた煉瓦を流用して建てられています。

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創業当時の看板と煉瓦。

──お客さんにも建物にも、歴史ありですね。これからの展望は?

木田浩一朗さん 新型コロナの影響で、3月、4月、5月の3ヶ月は全ての灯りが消えて、今までと全く違う銀座でした。昼でさえ、人通りが少なく、夜は全く人影が無かった。東日本大震災の時も大変でしたがそれ以上でしたね。新型コロナ前は、インバウンドも増えていましたが、これからはどうなるか……。でも、最近はまた、うん十年間通われている、80代、90代の方も元気な顔を見せてくださる。親子3代、4代で来られる方もいらして、とても嬉しいです。5代目? 子どもはまだ中1と中3。小さい頃、次男が‟僕が調理場やる!”と言っていましたが、未来は分からないですね(笑)。

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駆け足ですが、銀座『煉瓦亭』の125年の歴史をお伺いする事が出来ました。

「ポークカツレツ」「オムライス」を生み出した銀座『煉瓦亭』。

初めてカツに千切りキャベツを添えたのも、パンに挟んだのも、皿にご飯をよそったライスを出したのもここ、銀座『煉瓦亭』。

一説によると、当時、丸い形だったハンバーグを木の葉の形に整えて揚げた「メンチカツ」もここが発祥で、‟じゃ、牡蠣も、海老も揚げてみよう!”と、「牡蠣フライ」「エビフライ」を生み出したのも……

って、洋食のほとんどのメニューの生みの親が、銀座『煉瓦亭』じゃないですか!

銀座『煉瓦亭』が生み出した、数々の創作洋食が日本全国に広がり、それが今では定番洋食メニューとなったのですから、こここそが、和食としての洋食文化そのものといっても過言ではないのでしょうか?

最後に、4代目木田浩一朗さん(右から二人目)のほか、お店を支えるスタッフさんと記念撮影。

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お店の皆さま、ありがとうございました。

と、ここで、4代目木田浩一朗さんが驚きのひと言をぼそっと……

「あっ、今日がちょうど、お店の創業日だ。」

「え? 125年前の今日が、創業した日ですか?」

なんという偶然でしょうか? たまたま取材させていただいたこの日(6/10)が、銀座『煉瓦亭』創業日だったのです。

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銀座『煉瓦亭』の歴史に触れることができたのが、意図したわけでもなく、たまたま125年前に、初代の木田元次郎氏が創業した日だったなんて……。

この話、『奇跡体験アンビリバボー』か『人生が変わる1分間の深イイ話 』で使っていただけないでしょうか(笑)。

皆さんにも、親子3代、4代で通いたくなるような‟思い出の洋食屋”があるのではないでしょうか?

日本人みんなの憧れの「洋食」という名の和食文化、まだまだ東京のあちらこちらに有りそうだ。

巡って、その想い、歴史、人、町を探りたいと思います。

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P.S銀座『煉瓦亭』では、ほとんどのメニューをテイクアウトできるとの事。店内で、そしてお土産として、日本の洋食の原点の味を是非。

煉瓦亭
電話 03-3561-3882
住所 東京都中央区銀座3-5-16
営業時間 11:15~15:00(L.O.14:30) 16:40~21:00(L.O.20:30)
休 日曜日
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。

Text:Cook Inoue
Photo:Takuji Onda
Edit:Takashi Ogiyama

クック井上。プロフィール
お笑いコンビ「ツインクル」のクック井上。です! 芸人でありながら、食のイベントMC・料理教室講師・食のプロデュース等も! ●フードコーディネーター●ホームパーティー検定●食育インストラクター●野菜ソムリエ●BBQインストラクター●アスリートフードマイスター●こども成育インストラクター●パエリア検定 など食に関する資格も多々あり。
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