腸内環境が風邪・美容のカギを握るのです!
「腸内環境を整えるとなんだか良いらしい」とは知っていても、腸が身体にどのような影響を与えているのかまで詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?
実は腸をキレイに保つことが美容・ダイエット・健康のカギなのです。簡単にできるセルフチェックとともに、あなたの腸内環境を整えるためのポイントを解説します!
【目次】
■腸内環境とは
■腸内環境が悪いとどうなるか
・お腹の不調、便秘、下痢
・肌のトラブル
・肥満
・免疫力の低下
■腸内環境セルフチェック
■腸内環境が悪くなる要因
・食事
・運動不足
・ストレス
・加齢
■腸内環境を整えるには
①食事
・善玉菌を増やす食事
・体内時計を整える
②運動
③睡眠
④疲れ・ストレスの解消
⑤排便の習慣をつける
■まとめ
■腸内環境とは
私たちの腸内細菌には、大きく3つのグループがあります。善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類です。
善玉菌は食べ物を分解するほか、腸が大きく関わっている免疫力を活性化させるなど、健康に役立つ働きをします。
悪玉菌はたんぱく質を腐敗させて毒素を発生するなど、病気のリスクを高めてしまいます。
日和見菌は、腸内で善玉菌が優勢の場合は善玉菌の味方となり、悪玉菌が優勢の場合は悪玉菌を応援します。そのため、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化すると、日和見菌も悪玉菌の応援団となり、ますます腸内環境が悪くなるという悪循環に陥ってしまうのです。
善玉菌:悪玉菌:日和見菌の割合は2:1:7が理想的と言われています。
■腸内環境が悪いとどうなるか
腸内環境の悪化、つまり腸の中で悪玉菌が増えた状態では身体にどのような影響が出るのでしょうか。代表的なものから意外なものまで、4つご紹介します。

・お腹の不調、便秘、下痢
腸内細菌のバランスが良い時は、小腸が食べたものから栄養素や水分をしっかり吸収し、その残りカスが大腸へと送られ、やがて便となり排出されます。
しかし、腸内細菌のバランスが悪い時、つまり悪玉菌が優勢な時は、大腸で便が滞るようになります。これが便秘です。
同じく悪玉菌が優勢でも、便秘ではなく下痢になってしまうケースもあります。下痢は悪玉菌が作り出す大量の有害物質を早く排出しようとすることで起こる反応です。悪いものが排出される、ということで一見良さそうですが、下痢が続くと有害物質だけではなく、善玉菌まで流されてしまい、腸内環境のさらなる悪化につながります。
・肌トラブル
便秘や下痢になると悪玉菌が活発に働き、腐敗物や有毒ガスが発生します。
これが腸の粘膜の毛細血管を通って全身にまわり、皮膚から皮脂や汗にまぎれて排出されるため、肌荒れの原因にもなると言われています。
・肥満
腸内環境の悪化によって栄養がうまく吸収されないと、便秘になります。すると栄養が吸収されにくい分、身体は満足せず、余計に食べてしまうことにつながってしまいます。
また、食べたものが排出されにくく、むくみやすい身体になるので、身体のラインが実際よりも太って見えることに……。
しかし、腸内環境を整えると、栄養を吸収しやすくなるので少ない食事量でも満足感があり、食べ過ぎを防ぐことができます。また、腸が正常に活動することで、便秘やむくみの解消につながり、結果的に痩せやすい体質に近づくことができるのです。
・免疫力の低下
腸には身体の60~70%の免疫細胞があると言われています。腸内環境が悪くなると免疫力も弱まってしまい、病原菌が体内で増殖を始めます。腸内環境の悪化は、病気にかかりやすい体になってしまうことにつながります。
■腸内環境セルフチェック
腸内環境をチェックする際に使うのは……、なんと便!
いつもトイレで排便をした際に何も考えずに流してしまう人がほとんどでは?
実は便を見るだけで腸内環境の良し悪しが分かるのです。日頃から便の様子を確認しておくことで身体の異変に気付きやすくなります。
以下は便の様子ごとの表です。
タイプ1 コロコロ便 うさぎの糞のような硬くてコロコロの便
タイプ2 硬い便 ソーセージ上だけど硬い便
タイプ3 やや硬い便 表面にヒビ割れのあるソーセージ状の便
タイプ4 普通便 表面がなめらかで柔らかいソーセージ状の便
タイプ5 やや軟らかい便 はっきりしたシワのある半固形状の便
タイプ6 泥状の便 ふにゃふにゃで形のはっきりしない便
タイプ7 水様便 水状で固形物を含まない液体状の便
いかがでしょうか。タイプ3~5が正常な状態ですが、真ん中のラインから外れるほど腸内環境が悪化している証拠!
マズイと思った方は自分の生活習慣で問題なポイントをチェックしましょう。
■腸内環境が悪くなる要因
セルフチェックであまり良くない結果が出た人は一体何が原因だったのでしょう? 日頃の生活習慣を振り返ると思い当たる点があるかもしれません。これを機に見直してみましょう。

・食事
いつも同じものを食べていたり、お肉ばかり食べていませんか? いつもお肉ばかり食べていると、脂質や動物性たんぱく質を好む悪玉菌が増え、腸内環境が整いにくくなります。
腸内環境をよくするためには、腸内の菌の種類を増やさなければなりません。そのためには日ごろから様々な種類の食品を食べる必要があるのです。特にタンパク質を日ごろから多く摂取する人は、その分だけ発酵食品や食物繊維を意識して摂る必要があります。
また、ジャンクフードや保存料を含む食品は善玉菌を減らしてしまいます。そのため、食品添加物にも意識を向けて食べるものを選ぶ必要があります。
・運動不足
いつもほとんど歩かない、デスクワークばかりの人は要注意。便を出すための筋力が衰えてしまうと、どんどん便秘になってしまいます。
便秘になると、便から有毒なガスが出て、ますます腸内環境の悪化や肌荒れに繋がってしまいます。軽いストレッチや筋トレ、ウォーキングからでよいので意識的に動くようにしましょう。

・ストレス
腸には複雑な神経系があることが知られています。自律神経には、活動しているときに活発な「交感神経」とリラックスを司る「副交感神経」があり、身体のリズムを保ってくれています。
交感神経が優勢になると腸は収縮し、副交感神経が優勢になると弛緩します。しかし、ストレスで自律神経のバランスが乱れると腸の動きも乱れ、下痢や便秘を起こしやすくなるのです。
現代人のように活発に活動している時間が長いと、交感神経が優勢になります。副交感神経を優勢にするためには、しっかり休息することや、適度な運動をすることが助けになります。
・加齢
加齢とともにぜん動運動を支える腹筋や横隔膜などの筋力が衰えます。
それだけではなく、腸内の善玉菌の数は減少し、悪玉菌が急激に増加します。また、加齢とともに副交感神経の働きが低下するという研究報告もあります。
そのため、大人にとって腸内環境を整えることはとても大切なのです。
■腸内環境を整えるには
腸内環境を整えるためには多方向からのアプローチが必要です。気軽に始められるものばかりなので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

①食事
・善玉菌を増やす食事
理想的な腸内環境に整えるには、善玉菌を含む食品を摂るのが良いといわれています。
また、善玉菌のエサとなるものと合わせて摂ることで、より効果を期待できます。
善玉菌を含む食品として主に発酵食品が挙げられます。発酵食品に含まれる善玉菌の代表を4種類ご紹介します。
乳酸菌
便秘や肌荒れの原因となる悪玉菌の増殖を抑制する乳酸菌は、腸の免疫力アップにも効果があると言われています。乳酸菌が含まれる食品には、納豆や漬物、ヨーグルト、チーズなどがあります。

麹菌
麹菌は、必須アミノ酸とビタミンB群を豊富に含み、血行促進や代謝アップが期待できます。特に甘酒は、麹菌の吸収率が高く「飲む点滴」とも呼ばれています。
酢酸菌
酢を作る上で必要な酢酸菌はクエン酸を豊富に含み、腸内のバランスを整え、便秘解消や食欲増進、血液をサラサラにすると言われています。
酵母菌
腸内で善玉菌として働き、悪玉菌を抑制して腸内環境を整えてくれるのが酵母菌です。糖分やアルコールをガスに分解する作用もあり、カロリーの吸収も抑えると言われています。
酵母菌を食品から摂取するのは難しいですが、酵母菌と同じように善玉菌をサポートし、腸内バランスを整える微生物として、納豆を作る納豆菌があります。
これらの菌自体が直接腸まで届くわけではありませんが、食べることで体内に生みだされる様々な物質が腸内環境に良い影響を与えます。塩分や脂肪分の多いものもあるので食べすぎには注意ですが、日々の食事にプラスすると良い効果が得られます。
善玉菌の栄養源となるものには、食物繊維とオリゴ糖が挙げられます。食物繊維の中でも特に水溶性食物繊維が腸内環境の改善に有効です。水溶性食物繊維はきのこや海藻に多く含まれています。
・体内時計を整える
腸内環境の改善効果を高めるために、まずは体内時計を整えてあげましょう。
体内時計を整えることで、正常な消化液の分泌が促され、胃の動きが活発になり、元気な腸に繫がります。朝・昼・晩、1日3食なるべく決まった時間に食事をするように心がけましょう。
特に、朝食→排便という流れが理想的です。朝食が苦手という人も、せめてヨーグルトとバナナだけは食べましょう。寒い時期は、体温より少し高い温度まで温めたホットヨーグルトがおすすめです。
そして、寝る3時間前までに食事を済ませると腸を労わることができます。

②運動
腸の健康のために欠かせないのが「便を出す力」です。そのためには下半身を動かすウォーキングと、「腸腰筋」を鍛えることが有効。
腸腰筋のトレーニングは、イスに座って片足ずつももを上げ下ろしすると鍛えることができます。また、1日トータル9000歩でも、歩くと十分なウォーキング量になります。スマホでも歩数はチェックできるので意識してみてください。

③睡眠
眠っている間は、副交感神経が優勢になります。そのため、睡眠不足になると自律神経の乱れに直結してしまいます。交感神経ばかりが優位になると、寝つきが悪くなったり睡眠の質が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
質の良い睡眠のためにも、夜にお風呂に浸かって身体を温めることや、お気に入りの寝具などで心地よく眠れる状態をつくっておくことが重要です。また、一日6時間以上は睡眠時間をとるようにしましょう。
④疲れ・ストレスの解消
自律神経を乱れさせる原因には、身体と心の疲労も大きく関わっています。
スマートフォンの見過ぎによる眼精疲労、働きすぎ、ストレスなどによる精神的な疲労は不眠につながり、自律神経に悪影響を及ぼします。全身の力を抜いてリラックスできる休息時間を意識的につくりましょう。

⑤排便の習慣をつける
便意を我慢することを繰り返すと神経の働きが鈍くなって便意を感じにくくなり、腸の運動も弱くなって便秘が常習化してしまいます。
まずは起き抜けにコップ1杯の水を飲みましょう。これにより、腸が活発に活動しはじめるはずです。
また、きちんと朝食をとり、15~30分後に必ずトイレに行く習慣をつけましょう。朝食をとることによって胃・大腸反射が起こり、便意が起こります。
便意がなくても、5分くらいトイレで待機するのも有効です。根気よく続ければ規則的な排便のリズムができ便意が起こるようになります。
■まとめ

いかがでしたでしょうか? 腸内環境が良くなると、おなかの調子が良くなるだけでなく、お肌やダイエットにも効果があります! 日頃の生活習慣がカギを握っているので、最近調子が悪いな、という人はぜひ試してみてくださいね。
Photo:Getty Images
Text:K.M.