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睡眠負債の超危険なリスクとは? チェックリストと効果的な解消法を伝授!

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寝だめしても返せない、睡眠の”借金”の真実!

「睡眠負債」という言葉、誰でも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか? 2017年のユーキャン新語・流行語大賞でベストテンに選ばれたこともあり、徐々に広く知られるようになってきました。

この睡眠負債、自分は大丈夫だろうと思っている人も実は溜まっていることがあります。睡眠負債が積み重なると、身体にも心にもさまざまな悪影響が出てきます。そして、間違った解消法で返済できたつもりになってしまい、どんどん事態が悪化する……なんてことも。正しい知識を身につけ、睡眠負債を溜めないようにしましょう!

目次

■睡眠負債とは? 睡眠不足との違い

■実は怖い睡眠負債の悪影響


 ①仕事の効率やパフォーマンス低下

 ②病気のリスクが何倍にも

 ③ストレスに弱くなる

■あなたには睡眠負債があるのかチェック!

■睡眠負債を解消するには


 ①睡眠時間の確保が最重要

 ②寝だめがNGな理由とは

 ③良質な睡眠のために

■負債を返済して健康に

睡眠負債とは? 睡眠不足との違い

そもそも睡眠負債とは、毎日の睡眠不足がまるで借金のように少しずつ積み重なっていき、次第に大きな健康被害を招くものです。放置しておけば、多額の借金と同じで返済するのがどんどん難しくなります。

睡眠不足は1日単位で睡眠時間が足りていないことを言いますが、睡眠負債は少しずつでも長期にわたって睡眠が足りていないことを指し、翌日長めに眠ったからといって簡単に解消できるというものではありません。

また、睡眠不足は本人に「寝不足だなあ」「疲れが取れていない」などの自覚があることがほとんどですが、睡眠負債は睡眠が足りていないという自覚がなく、本人も気づかないうちにどんどん負債が積み重なってしまうことが多いのです。

年齢などによってばらつきはありますが、成人は1日6時間半~7時間半程度の睡眠が必要だと言われています。それにも関わらず、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では20歳以上で平均睡眠時間が6時間未満と答えた割合は全体のおよそ40%で、40代にいたっては約半数の人が1日に6時間未満しか寝ていないと答えています。それどころか、40~50代の10人に1人は1日平均5時間未満しか寝ていないという結果が出ています。

平均睡眠時間が7時間未満の人は全体の7割以上。つまり、理想の睡眠時間を7時間とすると、少なくとも70%の人は睡眠が足りていないことになります。日本人は特に働きすぎで睡眠時間が不足しているとも言われていて、多くの人が睡眠負債を抱えている可能性があるのです。働き盛りの世代が特に睡眠時間が短く、仕事に追われて睡眠時間を確保できていないのだと考えられます。

実は怖い睡眠負債の悪影響

睡眠負債が溜まると、心身にさまざまな悪影響が出てきます。どのようなリスクがあるのか見てみましょう。

①仕事の効率やパフォーマンス低下

研究により、6時間睡眠を2週間続けると、2日連続で徹夜している人と同じくらい脳のパフォーマンスが低下するということがわかっています。6時間も寝ているし睡眠不足とは感じないのに……と思うかもしれませんが、そのように自分で睡眠は十分足りていると思っていても負債は溜まってしまっているのです。

アメリカで行われた調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は、それ以上の人に比べて交通事故での死亡率が13%も上がるという結果が出ています。判断力や記憶力が低下し、普通ならできるはずの単純作業でミスが多くなるなど、脳が正常に働かなくなってしまうのです。

働いていれば、仕事の日はどうしても睡眠時間を確保するのが難しくなりますよね。繁忙期などは特に、残業したり少し早く出社したりして睡眠を削らざるを得なくなるという人も多いでしょう。しかし、集中して仕事効率を上げなければならない忙しい時期に、かえってミスを頻発してしまう……といった事態が起こりやすくなるのが睡眠負債です。

②病気のリスクが何倍にも

慢性的な睡眠不足が続くと、血糖や食欲をコントロールする機能がうまく働きにくくなり、糖尿病や肥満のリスクが高くなります。自律神経も乱れ、高血圧や不整脈が出やすくなります。疲労回復力や免疫力も低下します。

1日平均の睡眠時間が6時間以下の人は、7~8時間の人と比べて死亡率が2.4倍も高まるという研究もあります。日本の働く男性を対象にした研究では、平均睡眠時間が6時間以下の人の心血管疾患のリスクが4~5倍になるという結果が出ています。さらに、1日平均の睡眠時間が5時間以下で、かつ月に61時間以上という過重労働を続けていると、心筋梗塞のリスクがおよそ5倍になるというデータもあります。

そして、アルツハイマー型認知症の原因となり脳内の老廃物と呼ばれる「アミロイドβ」は、熟睡しているうちに除去されるといいます。そのため、質のよい睡眠が不足している人はアミロイドβの沈着が起こり、認知機能の低下が早い段階から進行する恐れがあります。

③ストレスに弱くなる

睡眠は身体だけでなく精神面にも深く関わっています。睡眠中には、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールの分泌量は睡眠時間によって変わり、適量であれば集中力アップなどが期待できるホルモンですが、睡眠中の分泌量が少ないと日中にストレスがかかったときに受ける影響が大きくなります。

また、研究によって睡眠不足が不安や抑うつ、情動不安定の傾向をより強めるということがわかっています。睡眠が十分とれていないと、不安障害やうつ病になりやすくなるという指摘もあります。睡眠負債は、身体の病気だけでなく精神疾患のリスクも高めてしまうのです。

あなたには睡眠負債があるのかチェック!

睡眠負債は自分で気づきにくいもの。自分に睡眠負債があるかどうかを、次に挙げるチェック項目がいくつ当てはまるかで調べてみてください。

・朝目覚めるときにつらい
・夜は数分のうちに眠ってしまい寝落ちもしばしば
・日中に電車などでうとうと居眠りする
・よくカフェイン飲料で眠気覚ましする
・ストレスや悩み事が多い
・午前中に眠気が来ることがよくある
・休日は仕事の日より2~3時間は遅く起きる
・寝る前についだらだらスマホやゲームをする
・食事の時間や回数が決まっていない

これらの項目に当てはまっている数が多ければ、確実に睡眠負債が溜まっています。しかし、上記の項目を自覚できていればまだ睡眠負債に気づきやすいといえます。というのも、自分ではこれらにあまり当てはまらないと思っていても睡眠負債が大きいタイプの人もいるのです。

それが、毎日6時間も寝れば目覚めもよく、日中も休日もエネルギッシュに過ごせて、夜も眠れないということはなくすぐ入眠できる、という人です。これは忙しくバリバリ働く人や、家事に育児にと長年家庭でがんばってきた人にありがちなタイプ。「これのどこが睡眠負債なんだろう?」と思うかもしれませんが、それこそが睡眠負債に気づきにくいポイントです。

実はこのタイプは、交感神経が過剰に働いているため自分自身の疲労に気づくことなく、忙しさから短時間睡眠のサイクルに慣れている気になっているものの、実際は睡眠が足りていないために布団に入るなり眠ってしまい、それでいて深い眠りにつけていないので朝は短時間睡眠でもさっと起きられるのです。

交感神経の過剰反応は、脳卒中や心筋梗塞など過労死のリスクを高めます。自分でも働きすぎて身体と心が休めていないということに気づかないのが厄介なところです。また、退職後や子育てがひと段落したあとに燃え尽きてしまい、うつ病などを発症するリスクもあります。

睡眠負債を解消するには

睡眠負債は、休みの日に1日中寝続ける、いわゆる「寝だめ」で返せるものではありません。毎日の睡眠への意識を変えるところから始めることが大切です。睡眠負債の解消法を見てみましょう。

①睡眠時間の確保が最重要

睡眠が足りていないことが睡眠負債の原因なので、もちろん睡眠時間を十分に確保することが先決です。1日7~8時間を目安に、休みの日だけでなく毎日7時間以上の睡眠時間をキープできるようになるのが理想です。就寝時刻と起床時刻をなるべく固定し、休日であってもだらだら寝ていないで同じ時刻に起きるようにすれば体内時計が狂うのを防げます。

この体内時計は「メラトニン」というホルモンが調整しており、体内時計のおかげで夜眠りにつき朝目が覚める24時間周期のサイクルが整います。メラトニンは、体内時計が狂っていなければ午後9時以降になると増えてきて、入眠を促してくれます。朝の起床時間にカーテンを開けて朝日を浴びるのも体内時計を整えるのに効果的です。

今睡眠時間が足りていない人は、とりあえず今より1時間長く睡眠時間を確保できるようにしてみましょう。1時間早く寝るというのはなかなか難しいというのであれば、30分早く寝て30分遅く起きるなどの工夫をしてください。

残業を減らすようにする、飲み会など付き合いも大切だけど自分の休息もたまには優先する、スマホやテレビ、ゲームなどにだらだら時間を使いすぎないなど、睡眠の大切さを知ってそこに重きを置くようにすることも必要です。

②寝だめがNGな理由とは

仕事がある日は睡眠時間が確保できない分、休日に昼過ぎまで寝ておけば、それこそ借金と同じでドカンと負債が返済できるのではないかと思いがちですが、寝だめはよくありません。体内時計は簡単に狂ってしまうため、休日もいつもと同じ時刻に起きたほうが休み明けにつらくないのです。

寝だめのように短期間で長い時間眠っても、一時的な眠気の解消にはなるかもしれませんが、脳のパフォーマンスの低下などは回復できないと言われています。それでも休日はゆっくりしたいのであれば、朝寝坊は2時間以内程度にとどめてください。

眠気が我慢できないとき寝だめより効果的なのが、日中に15~20分程度の昼寝をすることです。短い時間の昼寝はリフレッシュ効果があり、かつ昼間に長時間眠って逆に覚醒しにくくなってしまうのを防げるので、昼休憩などの時間で取り入れてみてください。

③良質な睡眠のために

睡眠は時間も大切ですが質も非常に重要です。入眠を促すメラトニンは、ブルーライトを浴びると分泌が抑制されてしまいます。就寝時刻の1時間前になったらスマホやパソコンの使用をやめるようにしましょう。自然に眠りにつくことができます。

またカフェイン飲料の覚醒作用は5~6時間続き深い睡眠を妨げるため、カフェインを含むものは夕方以降摂らないようにしてください。アルコール飲料も、実は眠りを浅くしてしまうためほどほどにするのがベター。夕食も寝る3時間前までに済ませておくのがよいでしょう。

就寝1時間前に湯船に浸かって身体を温めると、そこから体温が下がっていくタイミングで自然と眠りにつけるため、40℃以下のぬるめのお風呂にゆっくり入るのも効果的です。41~43℃といったアツアツのお風呂は、リラックスして眠りにつくための副交感神経より交感神経を優位にしてしまうため逆効果です。

睡眠中には、視覚や聴覚と違って嗅覚は鈍らないため、寝室でアロマを焚くのも良質な睡眠のためによいと言われています。ラベンダーや柑橘系、カモミールなどが特にリラックスできてオススメです。

日中に運動すると睡眠を促してくれる神経伝達物質が増えるため、軽くウォーキングやジョギングなどを取り入れるのもよいでしょう。ただし、寝る直前に運動するのは眠りにつきにくくなってしまうので、するのであれば夕方ごろまでです。

枕やマットレス、掛け布団も自分に合ったものを選んでください。寝間着は締め付けがあまりなく肌触りの良い生地のものにしましょう。寝るときに靴下を履いていると睡眠の質が下がるため、足先の冷えが気になる場合は湯たんぽなどを活用しましょう。空調で部屋を暑すぎず寒すぎない温度に調整し、乾燥しすぎないよう必要に応じて加湿器も使用するとよいでしょう。照明は豆電球なども消して真っ暗にするとより良質な睡眠が得られます。

まとめ

睡眠負債は身体にも心にもマイナスな影響しか与えません。しかし、これから自分の睡眠に気を配り、少しずつ借金を返済していくようにすれば、深刻な事態になるのを防げるかもしれません。忙しい毎日の中ですが、健康でなければ働くこともできないのですから、きちんと睡眠の量・質ともに高めていってくださいね!

Photo:Getty Images
Text:N.M



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