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【運動中の死の危険⁉ 】ハンガーノック徹底解説

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運動中にお腹が空いたこと、ありませんか?

ダイエットや趣味としてスポーツをしている人、多いのではないでしょうか。

では、そんな運動につきものの症状「ハンガーノック」をご存知ですか? これは、誰でも起きうるほど身近でありながら我慢していると死につながる危険性もある現象です。

ですがご安心ください。今回はそんなハンガーノックを徹底解説‼ 症状から予防法までしっかりご説明します。

目次

●ハンガーノックとは
 ・意味
 ・症状

●原因
 ・メカニズム
 ・なりやすいスポーツ
 ・なりやすい人
  ①初心者
  ②ダイエット中の人

●ハンガーノックになったら
 ・レベル1~2なら
 ・レベル3以上なら

●予防
 ・エネルギー補給のタイミング
  ①朝ごはん
  ②運動中
 ・おすすめ食品
  ①甘いもの(単糖類)
  ②炭水化物(多糖類)
  ③ゼリー飲料
 ・トレーニング

●類似症状との違い
 ・疲労との違い
 ・熱中症との違い

●まとめ

●ハンガーノックとは

そもそも「ハンガーノック」なんて聞いたことないという方も多いのではないでしょうか? ここではその意味や概要についてご説明します。

・意味

「ハンガーノック(hanger knock)」とは、激しく長時間に渡るスポーツの最中に極度の低血糖状態に陥ることです。

極度の低血糖状態とは、エネルギー不足によって身体が動かなくなってしまう状態なので、ハンガーノック=身体のガス欠だと思ってもらえればわかりやすいのではないでしょうか。

・症状

ハンガーノックの症状は、軽度のものから重度のものまで幅広く存在します。以下の表をご覧ください。

どうでしょうか。一般的に「ハンガーノック」と言えばレベル3以降を指します。

しかし運動中の「軽い空腹感」は、実はハンガーノックの初期症状だったんですね。そのように、レベル1では多くの人は自分の血糖値が下がっていることに気が付きません。そのため、無茶をして重症化してしまう人が多いのです。

●原因

・メカニズム

ハンガーノックは極度の低血糖状態ですが、それはすなわち運動のエネルギー源となる糖質を消費しきってしまった状態ということです。

糖質は体内に入ると「グリコーゲン」という成分になり肝臓や筋肉に蓄えられますが、その量には限界があります。だから、運動前にたくさんの糖質を摂ったとしても体内に残されている量はいつもと変わらず、激しい運動をするとすぐに消費しきってしまうのです。

体内のグリコーゲンを使いきると、脳は臨時に筋肉のたんぱく質で代用しようとします。すると筋肉に負荷がかかっていくので、生命維持のためにエネルギー消費をやめるよう脳が命令します。それにより身体のスイッチが切れ、突如として動かなくなります。これがハンガーノックのメカニズムです。

一般男性が体内に蓄えられるグリコーゲンの最大量は、肝臓に100g 筋肉に300gくらいだと言われていますが、これは実は就寝状態であっても7~8時間で消費してしまう量なんです。

そのため、成人男性がフルマラソンに参加したときにエネルギー補給を一度もしないと、3時間程度でハンガーノックが起こります。さらに普段よりもペースを上げるなどしてしまうと、1時間でハンガーノックに陥ることも……。

・なりやすいスポーツ

では、ハンガーノックになりやすいスポーツは何なのでしょうか。

ハンガーノックは、グリコーゲンの消費を続けるような、激しくて長時間に及ぶスポーツをしている最中に発症しやすいです。

例えば、マラソンやサイクリングなどがあげられます。これらは近年ブームとなり、見た目の手軽さから運動初心者が手を付けやすいスポーツでもあります。

・なりやすい人

①初心者

ハンガーノックの特に恐ろしい点は、初心者のほうが重症化するという点です。「競技じゃなくて、友達同士でワイワイ楽しむだけだから大丈夫!」「初心者向けの大会だから大丈夫!」という油断はハンガーノックを加速させます。

また、初心者がハンガーノックにかかりやすい理由としては

・初期症状に気づきにくい
・つい頑張りすぎてしまう

この2つが挙げられます。

実際、ハンガーノックの初期症状を運動初心者が察知するのは難しいです。なぜなら、空腹や疲労は運動につきものだと思ってしまうから。しかし身体は思っているよりもダメージを受けています。

②ダイエット中の人

炭水化物抜きダイエットなどをしている場合、ハンガーノックを起こしやすくなります。原因はもうおわかりですよね。そう、体内のグリコーゲンが不足するから。

そこで、「あれ? 脂肪がエネルギーに分解されて脳に与えられるんじゃ?」と思われた方もいるのでは? そうであればハンガーノックの症状が出そうになったとしても、肥満気味の人なら脂肪を分解して激しいカロリー消費に対応でき、なおかつダイエットにも成功しそうですよね。

ですが結論から言うと、体脂肪の有無はハンガーノックに関係ありません。

なぜなら脂肪が糖に分解されるには時間がかかるからです。のんびりとしたウォーキング程度のカロリー消費であれば、肥満体系の方はハンガーノックに強いかもしれません。しかし自転車やマラソンなどはカロリー消費が大きく、脂肪をエネルギーに変えるスピードが追いつきません。

そのため、運動前にはきちんと食事でグリコーゲンを補う必要があるんです。

●ハンガーノックになったら

実際にハンガーノックに陥ってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。

基本的には糖質を補給し、安静にすることが求められますが、軽症か重症かで対処はいささか変わってきます。しっかり頭に入れておいてくださいね‼

・レベル1~2なら

お腹が空いたり、だるいような気分の悪さを感じたら、まずはエネルギー補給をしましょう。もちろん摂取した食物がエネルギーとなって全身にいきわたるには時間がかかります。食べた後もすぐに動かず安静にしてください。

複数人で走っていたりすると遠慮や見栄で休憩を言い出しづらいかもしれません。しかし、ここでしっかりと休んでエネルギーを補給しなければ、レベル3以上の重症になってしまう恐れがあります。少しでも違和感を覚えたらすぐに仲間に知らせましょう。

・レベル3以上なら

手足がしびれたり、身体に力が入らなくなってきた場合はすぐに運動を中止して、エネルギー補給と水分補給をしてください。このとき身体は非常に危険な状態です。近くの安全な場所に横たわったり、座ったりして休むことが必要です。

もし、しばらく休んでも状態が全く回復しなかったり意識が朦朧としてきたら、ためらわず即座に救急車を呼びましょう。

●予防

そんな、身近で恐ろしいハンガーノックを予防する方法はちゃんと存在します。一番大切なのはエネルギー補給。それでは見ていきましょう。

・エネルギー補給のタイミング

低血糖を防ぐためには、糖質をきちんと体内に取り込むことが必要不可欠なのはおわかりいただけたと思います。ここでは摂取のタイミングやオススメの食品などをご紹介しますよ‼

①朝ごはん

朝ごはんは1日のエネルギーとはよく言ったもので、運動前の食事は非常に重要です。

運動開始の3時間前に炭水化物を含んだ食事をしっかり摂取することで、体内にグリコーゲンをしっかりと蓄えることができ、長時間の運動でもスタミナが持続しやすくなります。

さらに、前述のようにそもそも体内のグリコーゲンは就寝中に空っぽになっています。そのため朝食を抜くということは、もとからガス欠の状態で運動に臨むということ。危険なのは当たり前ですよね。

特に炭水化物ダイエット中の人は要注意。いつもはプロテインだけだったとしても、運動する日の朝食は炭水化物をしっかりと食べましょう。

②運動中

運動中のエネルギー摂取は、空腹を感じてからでは遅いです。なぜなら運動中はアドレナリンの作用で空腹を感じにくくなっているから。運動中にお腹が空いたと感じるということは、すでに体内のグリコーゲンが減少した合図だと思ってください。

なので、先手を打った早め早めのエネルギー補給を心がけましょう。個人差はありますが、1時間から2時間ごとに軽い休憩と糖分摂取をするのがおすすめです。

・おすすめ食品

では、具体的にどんな食品が効果的なのかを見ていきたいと思います。

①甘いもの(単糖類)

スポーツ時の緊急エネルギー摂取には、チョコレートやフルーツなどの単糖類がおすすめです。食べたあとすぐにエネルギーに変換されるので、即効性が期待できます。ちょっと気分が悪くなったときなどは吸収の良いブドウ糖などがよいでしょう。

チョコやフルーツは運動中に携帯しづらいですが、そんなときにおすすめなのが羊羹。今はコンビニなどでも一口サイズの個別包装羊羹が売っていますし、熱でドロドロになってしまうこともありません。

ですがここで注意してほしいことは、糖質が必要だからといって甘いものを食べればいいわけではないということです。チョコレートやブドウ糖などの甘いものは、食べすぎると急に血糖値を上げます。するとそれを中和しようと分泌されたインスリンの作用で、逆に低血糖になってしまうからです。

対して、おにぎりなどの炭水化物はゆるやかに血糖値をあげてくれます。運動前や余裕のあるときは、お菓子やスポーツドリンクではなく、きちんと炭水化物から糖質を摂るようにしてください。

②炭水化物(多糖類)

そんな炭水化物ですが、おにぎりやサンドウィッチなどで塩分も同時に摂取すると熱中症予防にも効果的です。

ただし食べすぎるとおなかが痛くなったり動けなくなるといったデメリットがありますので、運動中の補給として食べる時は量に注意してくださいね。

③ゼリー飲料

運動中の食べすぎで動けなくなるのを避けたい場合は、ゼリータイプの栄養食品がおすすめです。消化に使うエネルギーが軽減されるというメリットもありますが、単糖類が多いものもありますので、スポーツ向きのものを選ぶのがよいでしょう。

・トレーニング

さらに、トレーニングにより肝臓と筋肉のグリコーゲンの貯蓄量を増やすことができます。

肝臓のグリコーゲン貯蔵量は持久トレーニングによって増やすことができますし、筋肉のグリコーゲン貯蔵量は、筋肉に負荷をかけたトレーニングによって増やすことができます。

そのトレーニングとは、運動前に炭水化物をたくさん摂って、マラソンや水泳などの有酸素運動を行うという簡単な仕組みのもの。運動を始めたての頃は普通に運動しているだけでも筋量が増えるのでグリコーゲンの貯蔵量も増えていきますが、ある程度を越えたら頑張って伸ばさなくてはなりません。

●類似症状との違い

疲労や熱中症も、運動中に起こりやすい症状です。これらとハンガーノックの違いについてご紹介します。

・疲労との違い

体内の糖質が枯渇することによって発生するハンガーノックに対して、疲労は筋肉組織の回復が追いつかなくなったり、精神的に追い込まれるなどの総合的な状況を指します。

大雑把にまとめてしまえば、ハンガーノックも疲労の一環だと言えるでしょう。

・熱中症との違い

熱中症とハンガーノックは症状が似ていますが、原因に大きな違いがあります。

ハンガーノックは低血糖が原因で発症しますが、熱中症は、運動や直射日光による発熱によって上昇された体温が冷めないことで生じた塩分、ミネラル、水分不足からなる病気です。

●まとめ

いかがでしたか? サイクリングやマラソンなど、身近なスポーツにも危険があるんですね。ダイエットのためだから、久しぶりに運動して身体がなまってるだけだからと無理をしては、それこそ命にかかわります。

ハンガーノックを防ぐ最も重要なポイントは、

・運動する3時間前にしっかり炭水化物を食べる
・運動中もこまめに糖質補給を行う
・ささいな違和感でもすぐに休憩する

この3点です。

「無理は禁物」を合言葉に、怪我やハンガーノックに気を付けて、楽しいスポーツライフを送ってくださいね‼

Photo:Getty Images
Text:K.S



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