彼女のアパートは駅から歩いて5分ほどのところにあった。大通りから一本奥に入った通りを歩いていくと銭湯があり、そこを通り過ぎると住宅街に出た。
角に新しい2階建てのアパートが2軒向かい合うように建っていた。彼女の部屋は1階の一番手前だった。
アパートの端っこには、誰のかわからないが、いかにも高そうな自転車が太い鎖で結びつけられていた。
めくるめく世界を期待してアパートに入ると・・・
彼女がドアを開けた。中から女の匂いなのかそれとも香水なのか、ぼくのボロアパートからは絶対にしてこないようないい匂いが流れてきた。
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©gettyimages
「どうぞ入って」
ここから先のことは事情があって書くのをやめておくが、眠っていると夜中にたたき起こされた。
「ここで何してるの!?」
「だって、泊まっていけって言われたから」
「帰って!」
「どうしたんだよ急に」
「いいから帰って!」
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