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40男のブックレビュー 大ベストセラー「嫌われる勇気」を買う勇気

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「ええい、このサディストめ!」「あなたの言うことは悪魔的教唆!」 自我崩壊の叫びがツボでした。

スマートな40代、スマフォーになるために、書物の力は必須だとFORZA STYLEは考えます。スマホと睨めっこしているだけでは、スマフォーにはなれません。忙しいビジネスマンのために、本の虫である栗原Pが話題の本を2分でご紹介します。

今回の本は、帯にある「141万部突破!」の文言がなんとも勇ましい、「嫌われる勇気」(岸見一郎/古賀史健)です。

まずは「嫌われる勇気」というタイトルの強さよ! 未読の方のためにザックリ説明すると、この本は「非常によくできた自己啓発本」です。オーストリアの心理学者、アルフレッド・アドラーの心理学を学んだ「哲人」と、コンプレックスに凝り固まった「青年」の対話を通して、アドラーが唱えた「課題の分離」「他者貢献」などを実生活でも応用できるように紹介されています。

タイトルの「嫌われる勇気」ですが、昨今日本社会に充満している同調圧力や、空気を読みすぎる人たちに、個人主義の観点から警鐘を鳴らすありがちパターンかと思いきや、なかなかどうして深い意味が込められていました。大まかにいうとこういうことです。

他人から認められたいという「承認欲求」は百害あって一利なし

なぜなら他人が自分に望むものを意識して行う行為は、他人の欲求に隷属して生きていることになるからです。例えば、親が子供に学校のテストで100点を取って欲しいと願うとします。子供は親に「認められたい」一心で猛勉強。念願叶って満点をゲットし、「末は博士か大臣か」とほめそやされ、承認欲求を満たされても、それは単に「親」という他者の欲求を叶えたことに過ぎません。自分が一時的に幸福感に似た「酔い」を感じたとしても、他者の欲求に答え続けていく人生は、どこかで必ずひずみが出ます。これは他者に騙され、操られている「人生のウソ」だと、アドラーは厳しく否定します。

私たちビジネスマンも、知らず知らずのうちに「売上げを達成したら上司に褒められる」「失敗したら叱られる」…など、他者の欲求にがんじがらめにされた行動原理に基づいて生活をしているのではないでしょうか。承認欲求の甘いワナにとらわれず、「他の人が生きてはくれない、自分だけの人生を思い切り生きること」こそ重要なのです。アドラー、なかなかいいこと言いますね。

だから時として、他人から嫌われている人間のほうが、自分の人生に対して誠実に生きているのだとこの本は言います。とはいえ、自己中心的に生きるのは最も人間の幸福とはほど遠い生き方で…続きはぜひ本書を読んでみてください。目からウロコが何枚も剥がれ落ちるハズです。

個人的に面白かったのは、自己憐憫と他者への嫉妬に凝り固まった青年が、哲人との対話中、何度も声を荒らげるところ。「あなたの言うことは悪魔的教唆です」「回りくどい誘導尋問はやめていただきましょう」「ええい、このサディストめ!」「私が鉄面皮をはがしてあげましょう」…などなど、時代がかったセリフの連続がスパイスとなり、ページをめくる手が止まりません。最後の方は、自我が崩壊するその悲鳴に読み応えを感じてしまったり……。自分の生き方を見失ったり、対人関係でストレスを感じている方は、ぜひお手にとってみることをオススメします。

タマに瑕は、タイトルが強すぎるあまり、この本を持ってレジに並ぶのが恥ずかしいこと。「僕チン、いい年こいて世間体ばかりが気になるこじらせオヤジです」と白状しているようなものですが、「笑われる勇気」を持ってページをめくれば、人生観が変わるハズ? 

Text:栗原P

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え(ダイヤモンド社)
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