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統合失調症を食いモノにするフリマ民、彼らの言い分とは?

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

仕事柄、メールやDMで「ネットストーカー被害」に関するご相談を頂くことが多いんですが、結構な確率で「あれ……もしや統合失調症では?」というケースに遭遇するんですよね。例えば、

・正体不明のSNS集団にストーカーされている

・私の個人情報をほのめかす投稿が止まらない

・マスコミがネット記事で私を攻撃してくる

「テイラー・スウィフトに脳内盗聴されている」というご相談を頂いたこともあります。いずれも皆さん本気なので、常識的にあり得ないとか、合理性がないと指摘するのはNG、こじれるだけ。何より私に相談している=医者に行っていないという意味ですから、どうアドバイスするか非常に悩むワケです。

※統合失調症は、妄想や幻覚ほか様々な症状を伴う精神的な疾患であり、被害妄想も症状の一つです。

SNSの出現以降、彼らの置かれた状況は悪い方向に加速しています。フィルターバブル、エコーチェンバーといったSNSの特性が、統合失調症の患者どうしをネット上で結び付けてしまい、

「アナタも同じ目に遭っていたんですね!」

「被害者は私だけじゃなかったんだ!」

と、ますます妄想が加速、現実味を帯び、治療の機会から遠ざかってしまうのです。まさに負のスパイラル。

そして……そんな状況を分かったうえで彼らを食いモノにしている人々がいます。いわゆる陰謀論的なフェイクニュースで小銭を稼いでいる連中、ネットの詐欺師ですね。

陰謀論と統合失調症って、実は親和性が非常に高く、DS(=ディープステート、闇の政府)や、米国大統領ですら逆らえない地下組織、みたいな残念な陰謀論は、心を病んでいる人たちに深く突き刺さりがちなのです。困ったもんだ。

だからフェイクニュースの詐欺師は、彼らをフェイク情報拡散の踏み台に利用したり、経済的に搾取したり、もうやりたい放題。最近では、大臣経験もある日本の著名な野党議員までもが「DSが!DSが!」とSNSに連投、周囲を困惑させています。もはや党本部がちゃんとケアすべき段階だと思うんですが……大丈夫なんでしょうか。

統合失調症で小銭稼ぎ

更には、もっとセコくてタチの悪い連中もいます。「思考盗聴防止」「集団ストーカー対策」などのキーワードでネット検索してみて下さい。1枚10円程度のワッシャー(円形の金属パーツ)が、

集団ストーカー思考盗聴防止リング!5000円

などの謳い文句で、ネットのフリマにズラリと出品されている、地獄みたいな光景が見られるでしょう。統合失調症の方々を騙し、小銭を稼いでいる人たちです。ただの石コロを「思考盗聴防止機能を持つ鉱物 26,999円」とか、単なるICカード(100円程度のもの)を「これを使い始めたら思考盗聴されなくなりました 42,800円」みたいな出品もよく見られます。

実は以前、そんな地獄の出品者たちから直接話を聞いたことがあるんですが、みな「安心を売っているんですよ」「双方ウインウインでしょう」「単なるジョークグッズですよ」だそうで、口ぶりはもはや立派な詐欺師でした。フリマの運営事業者は、そういった問題のある出品者に対し、もういい加減、本腰入れて対策すべきではと思います。騙されるのは気持ちを病んでいる弱者ですから。

ちなみに私が相談を受けて「この人は統合失調症かもしれない」と感じた時には、こんな風にお伝えしています。

「それは大変ですね。でもアナタの主張は『思い込みだ』と否定される可能性が非常に高い。それを避けるために、統合失調症を扱う病院で診察を受け、精神的に健常だという診断書をもらって下さい。今後、それがアナタの武器になります。私とのやり取りを印刷して見せると早いです。その後の具体的な対処については、診断書の後で……」

こんな感じでお伝えして、後日「ちゃんと診断書もらいました!一緒に今後の対処法を~」という連絡をもらったことは未だ一度もないので、まあ相談してくれた方のうち何割かは、本当にお医者さんに行ってくれたのでは、と思っています。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。


 



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