地獄のような円安ですが、それでもなお、多くの方々が海外に向かって果敢に飛び立っております。どうかご安全に。まあ国内だってインバウンド需要で、特にホテルなんか相当な高値ですけどね。
そんな行楽へゴーの皆さま、空港で写真を撮っては「行ってきまーす!」とか「5日間です」みたいな投稿をアップされていますが、アレそろそろやめた方が良いです。
数年前から「SNS投稿をリサーチして盗みに入る窃盗団」の検挙が相次いでおり、その供述から、もはやSNSは犯罪者に向けた「不在宣言」&「盗品カタログ」になっている実態がある……これマジなんです。
だってSNSに投稿される内容って、たいてい「自慢したいナニか」ですよね。旅行や外食の様子は不在の証だし、貴金属・時計・バッグ・車・オートバイ・ロードバイクの画像なんて、窃盗団が欲しがる転売可能品のリストですよ。
実は私、数年前までは「実際はそこまで気にしなくて良いのでは」と思っていたんですが、昨今の検挙事例を見ていると「情報収集」と「実行犯」の分業化が進み、しかもその情報源にSNSが積極的に使われ始め、流石にこれは……と考えをあらためたのです。
ペットの散歩やジョギングの写真があれば、居住エリアの特定なんて簡単。そもそも「まったく痕跡を残さない投稿」なんて難しいもの。最近はバイクや自転車でツーリングしたルートをSNSに投稿する人も増えていますが、うっかり自宅から出発したマップをそのまま投稿されている方だっていますからね。そのロードバイクのホイール、前後でお幾らでしたっけ? すぐ売れちゃいますよ。
いや、私の外出中は家族が在宅しているから大丈夫、なんて方もいますが、それ逆に怖いです。SNSは誰もが簡単にアクセスできるツール。偶然「獲物」を目にした素人が、思い付きで犯行に走るケースだってありえます。加減が判らない素人犯罪者が、テンパって居合わせた家族を殺す可能性だってある。シャレになりません。素人だから怖いのです。
オレは用心深いから防犯カメラも設置済だぜ、という方。もしやそのカメラ、外出先からも映像を確認できるヤツでは? であればカメラの「外部アクセス用パスワード」はちゃんと初期値から変更してますよね。えっ、してないんですか? えっ?!
自宅を世界に生配信
詳しくは書きませんが、ネットで「監視カメラ のぞき」みたいな検索ワードで、ちょっと工夫して探すと、うっかり防犯カメラの映像を全世界にダダ洩れさせているヤツ「だけ」を集めたサイトが見つかります。
いずれも説明書通りにカメラを設置し、外出先からも映像をチェックできるようネットに接続。はい完了、で終わらせているカメラです。外部からアクセスする際のID・パスワードが初期設定のままなので、誰でも見ることが出来る状態。それにご本人だけが気づいていない……そんな映像が見放題なのです。
ご丁寧に日本の映像だけを集めたサイトもあって、玄関、居酒屋、コインランドリー、オフィス、ガレージ、工場、売店レジ……どう考えても人に見せるつもりのない映像が、全世界に発射されている様子が見られます。
こういったサイトはもう何年も前から存在しており、つまりモレモレな監視カメラも一向に減っていないということ。非常によろしくないですね。
モレモレ映像のせいで、直ちに窃盗や犯罪被害に遭うワケではありませんが、どう見てもこれ「誰かの部屋だろ」という映像もあり、とにかく早く気が付いて、ID・パスワードを変更しておくれよ、と願うばかりです……。
Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)
※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。