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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

さて、中国の暴走が止まりません。福島原発のALPS処理水放出に対する、非科学的な言いがかり、フェイクの拡散、自国民への焚き付け。

SNSでは「外交の努力不足だ」「日本の失策だ」なんて批判も見られますが、コレ中国が自らの意思で率先してやっていることなんで、最初から揉めるつもりの「当たり屋」相手に、失策もクソもないんですよね。

中国の言いがかりに追従したのは北朝鮮、あとは渋々合流したロシアくらいです。他国はドン引きの無理があり過ぎるイチャモン。それでも中国がグイグイ来るのは、台湾侵攻実現の雲行きが怪しいうえに、自国のバブルがはじけ、国民が抱え始めた巨大な不満の「はけ口」がすぐにでも必要、という切迫した国内事情からでしょう。

今の習近平には、国際的に孤立しウクライナで苦戦しているプーチンが、まるで台湾に侵攻した際の自分に重なって見えているはず。アレだけは絶対に避けたい。今のうちに近隣諸国に対し、何でもいいから圧をかけて優位に立ってから侵攻したい。科学的根拠とかどうでもいい。

また昨年の上海新型コロナ暴動で沸き起こった習近平への「退陣要求」なんて正にトラウマでしょう。崩壊しちゃった中国バブルをきっかけに、国民の不満が一気に爆発したら……上海どころじゃ済まないはず。

だから自国民に「日本最悪、放射能ダダ洩れ」というフェイクを流し、お願いだから中国政府に不満を向けないで、という対処療法をとったのです。完全にあっちの都合、トバッチリですね。

そもそも中国は自由気ままで多様な民族の集まり。それを強権と言論統制と愛国心で縛り上げ何とか維持している、ふとしたキッカケで爆発しかねない国家です。今回だって、日本への悪質な電凸攻勢とか、上海で放射線を測定したら「東京の976倍だった」(建材から出ている放射線が原因?)という投稿が拡散しちゃうとか、若干コントロールできていないのではという印象です。

「日本はゴミのような存在」!?

一方の日本国内では、中国大使館が「海洋放出は人類に危害をもたらす」「データは信用できない」などのコメントで日本を挑発、外務省から抗議を受けています。実は過去にも、在大阪中国総領事館が

「日本はゴミのような存在」

と投稿した前歴があるんですが、ただこれらの「無礼な投稿」はSNS情報戦というほど高度なものではなく、彼らの視線の先にいるのは自国の政府や民衆、つまり「SNSで頑張っているボクを見て」という身内に向けた発信、という一面もあるのです。

中国の政府職員には、こういった尖がった言動をすると出世しやすくなる傾向があるそうで、実際パキスタンの中国大使館時代に暴言で大暴れし、帰国後に大出世、戦狼外交の顔となった趙立堅という人物もいましたよね(不機嫌なスポーツ刈りの彼、別件で左遷されてしまい……今頃どうしているんでしょうか)。

そんなワケなので、今回の中国大使館のトンデモ投稿に対しても、

「暴言吐くと出世するんですよね!」

「ライバルと差がついて焦っていますか?」

「中国国民は見てくれてますよー」

斜め上から反応してあげれば十分です。レベルの低すぎる非科学的な言いがかりに、正面から対応する必要はナシ。これは情報リテラシー技法であると同時に「文化の成熟度」を示す武器でもあります。

そう言えば先日、自宅の浴槽に入浴剤を混ぜ、「ほら、どんどん濃くなる。海洋放出もこれと一緒ですよ」という、義務教育の敗北としか思えないSNS動画が話題となりました。「安全より安心を」みたいな、ちょっと何を言ってるのか分からないSNSアカウントが「風評被害」の発信源になること、その対応に1000億円ものコスト(風評対策等の基金)が生じていること、最終的にそういったアカウントが中国に目を付けられ、フェイク拡散の片棒を担がされる可能性すらあること……是非とも自覚して欲しいです。ホント勘弁してほしい。

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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