「禿げた頭を牛に舐めさせると毛が生える」
――アブラをとらないと痒くなりますよね?
岡嶋:そのかゆみがいいことで、知覚神経が刺激されている証拠なんです。
――頭皮マッサージやヘッドスパなどもいいのでしょうか?
岡嶋:コロンビアには「禿げた頭を牛に舐めさせると毛が生える」、という言い伝えがあります。これも医学的には正しい。牛の唾液の中にある成分が知覚神経を刺激して、IGF-1が増えるんです。理容牛という頭を舐める専用の牛もいるんですよ。
――理容牛ですか。とても飼ってみたい種類の牛ですね。
岡嶋:あまり知られていませんが、風邪薬、解熱剤、かゆみ止め、女性の生理痛、花粉症の症状を抑える薬には抗ヒスタミン剤が入っており、飲むとIGF-1が減ってしまいます。AGAの方でうちで治療して髪が生えてきたのに、かゆみ止めを1カ月服用したら髪の毛が抜けてしまったケースもあります。
母方の祖父が禿頭だったのですが…
――抗ヒスタミン系の薬は、AGAにはNGなんですね。初めて知りました。薄毛は遺伝の要素が大きいとも言われていますが、医学的にはどうなんでしょうか。
岡嶋:AGAには遺伝が大きく関係するのは事実です。遺伝というと父親やおじいさんを想像しますが、見るべきは母方の祖父。男性脱毛症の遺伝子は女性を介して遺伝してくるので、自分の母親のお父さんの頭を思い浮かべて下さい。父や祖父は関係ない。遺伝も大きな因子ですが、先ほどいったような生活習慣を心がければ予防することも可能です。
――なるほど。ちなみにFORZAのプロデユーサーは、不幸にも母方の祖父が水晶玉のような禿頭だったそうです。岡嶋先生の治療を受けるにはどのくらい治療費がかかりますか? AGA治療は保険適用はなく自由診療になるので、全額自己負担ですよね?
岡嶋:はい。自由診療なので3~4万円ほどかかります。2週間で効果が出る人もいますよ。「寝癖がつきました」と喜ばれる人もいます。私のクリニックではカプサイシンのサプリメントが5350円。カプサイシンにイソフラボンが入ったスーパーセレクトは1万3300円で販売しています。高価に感じる方もいるかもしれませんが、費用対効果はバツグンですよ。
――しかし、治療の効果には個人差がつきものですよね。
岡嶋:AGAの治療効果が現れるまでのスピードには、個人差があります。早い人では、1~3ヶ月で抜け毛が減少し、明らかな毛髪の増加が認められることもありますが、一般的には、最低6ヶ月~1年間は治療が必要です。定期的な来院が難しい場合は、頭髪の状態を写真で送っていただければ、診断できます。
――年齢を重ねすぎると、治療は難しくなるのでしょうか?
岡嶋:AGAの治療に遅すぎるということはありません。80歳を超えた方でも、十分な効果が現れる場合もあるんですよ。
――岡嶋先生の治療法は、男性型脱毛症だけではなく、薄毛全般に対応しているものなのでしょうか?
岡嶋:私のクリニックでは、脱毛の根本原因を改善することで、女性の薄毛や、その他の脱毛症や毛髪の悩みにも効果がある治療法を行っています。脱毛症の種類に関わらず効果が期待できますよ。髪質もよくなるし、肌の皺やシミにも効果があります。
また、IGF-1を増加させると、高血圧の改善やうつ症状の軽減など、生活の質を向上させることができるんです。ぜひご興味を持たれた方は、一度ご相談にいらしてください。
――そんな岡嶋先生のご趣味は何でしょうか。
岡嶋:毎晩、飲みます(笑)。コンビニワインで1500円くらいのものが好き。コンビニは厳密な商品選びをしているので、専門店で半端な知識で選ぶよりも成功するんですよね。
――家飲み、コンビニワイン派なんですね。ちょっと意外です。ペルシャ猫でも抱きながら、コニャックとか飲んでいそうです。
岡嶋:僕は飲みながら歌います(笑)。中学生の時からギターでビートルズを弾いていたし、世代的にフォークソングが全盛だったので。ちなみにミスチルが大好きです。「しるし」、がいいですね。大きな声で歌をうたえばストレス解消にもなりますし、IGF-1も増えるんですよ。
Photo:Kenji Natsume
Text:Daisuke Iwasaki
岡嶋研二(おかじま・けんじ)
1953年10月19日、大分生まれ。1978年、熊本大学医学部卒業。1982年、同大学院医学研究科修了。その後、ウィーン大学医学部留学、名古屋市立大学大学院医学研究科教授を経て、2012年4月より名古屋Kクリニックを開院。ネクタイはエルメス。シルクの感じが好き