アッパー、ソール、それをつなぐ製法が重要です!
意外に遅かった梅雨入りですが、入ってからはダラダラと雨が降り続いたり、突然豪雨がやってくる不安定な天気が相次ぎ、亜熱帯のような雰囲気。
熱海市では土砂災害が発生し、甚大なる被害のお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を心からお祈り致します。
そして、まだまだ梅雨は明けないようで、履く靴にも注意が必要。雨に濡れてメンテナンスを怠ると革が傷んだり、カビが生えたりと滅入ることばかりですが、下を向いてばかりもいられませんので、44弾は再度雨に強い靴をピックアップします。
重複になりますが、やはり重要なのは雨を最も受けるアッパー。
オイルドやシボ、ガラスなど防水や撥水性に優れた加工が施されたレザーや、起毛素材で雨ジミがつきにくいスエードを選びましょう。
次はソール。
レザーソールは水が染み込みやすく、駅や建物内などコンクリートの床では滑るので注意が必要です。ラバーソールの方が安心で、ダイナイトやビブラムソールならグリップ力も高く滑りにくくて安全です。
最後は、アッパーとソールをつなぐ製法。
グッドイヤーウェルト製法は、底面のステッチが内部とは繋がっていないので、底面から水が浸入する心配はありませんが、激しい雨で水分量が多い場合はコバとアッパーのすき間から浸ってくる可能性があります。
ストームウェルト製法、ノルウィージャン製法などは、グッドイヤーウェルト製法より防水性が高いです。
セメント製法の靴は、アッパーとソールを貼り付けているだけで底面にステッチも、コバのすき間もほぼないため雨に向いています。
マッケイ製法は、ソールから中底までがダイレクトに縫い合わされており、底面にステッチが露出しているとラバーソールであっても糸を経由して水が浸ってきます。
では、話をクルリンパと戻して 雨に強い靴の投稿から素敵な5選をご紹介していきましょう!
三陽山長の「防水 誠十郎」
ジョンロブの「アルダー」
ハンターの「リファインドチェルシー」
まずは、白い靴 そして#靴魂ライブでもピックアップさせて頂いた@fashionable_scientist_madaraさんの投稿から。三陽山長の「防水 誠十郎」 、ジョンロブの「アルダー」、 ハンターの「リファインドチェルシー」の三連星です!
1足目は、三陽山長のサイドゴアブーツ「誠十郎」のデザインはそのままに、アッパーにPVC(ポリ塩化ビニル)素材を採用したのが「防水 誠十郎」 。防水性がありながら、上質なインポートレザーを使用したドレスシューズのような美しさです。
インソールには通気性・透湿性のあるポリウレタン素材「ソルトラ」を使用し、レインシューズ特有の“蒸れ”や“歩き疲れ”を軽減してくれます。
底面からも雨水が染み込まない設計で、雨の日も晴れの日にも革靴のように履きこなせるのが魅力です。
2足目は、1940年代のスキーブーツからインスピレーションを得た、8アイレットのダービーブーツが、ジョンロブの「アルダー(ALDER)」。
アッパーの素材にはウォータープルーフ加工を施したミュージアムカーフと、キャヴィアグレインという水に強いコンビを採用。さらに、水の浸入を防ぐタンとノッチドウェルトによって防水性を高めています。
3足目のハンターは、1856年に創業した英国の老舗ブランド。ブランドのシンボルでもあるオリジナルブーツでその名を知られており、女王エリザベス2世およびエディンバラ公より王室御用達(ロイヤルワラント)を授与されています。
2013年にアラスディア・ウィリスがクリエイティブディレクターに就任してからは、オリジナルブーツに加え、新しいシューズ、アウターウェア、アクセサリーを展開する「ハンターオリジナル」、あらゆる過酷な天候や環境に適した高機能なブーツを展開する「ハンターフィールド」という2つのブランドが新たに立ち上げられ、さらに世界中で注目度を増しています。
雨に対応する天然ゴムから手作りされている「リファインドチェルシー」は、スリムフィットで街履きに適したデザインにアレンジされていて、雨用のブーツとは思えないスッキリさで人気を博します。
@fashionable_scientist_madaraさんは、雨を楽しめる靴選びをなさっていますね。ただ、ご自身でも記載なさっていますが、やはり雨の日に30万円超えのジョンロブ「アルダー」を履くのは勇気がいりますよね。
気にせず履きこなせてたらカッコいいのかもしれませんが、僕には到底無理です(笑)。
ジェイエムウエストンの「ユージーンゴルフ」
2番目は、プレーントゥの回に続いての登場となる@masa.eliasさんの投稿から、ジェイエムウエストン(J.M. WESTON)の「ユージーンゴルフ」です。
1955年に誕生した名作「ゴルフ #641」の新作として登場した「ユージーンゴルフ」は、登山靴が由来となっているノルヴィージャン製法を採用。
被せ縫いが施されているので、アッパーとソールを縫い合わせている部分からの浸水に強く、より雨向きにアップデートされています。
「ゴルフ #641」よりもコバが張り出しており、ステッチも無骨で目立っているのも特長です。
@masa.eliasさんも名靴をたくさんお持ちで、バランス良く着用なさっていて参考になります。手入れも行き届いていて気持ちがいいですね。
パンツとの組み合わせも素敵ですが、できればもっとトップスも絡めて見てみたい! 今後ぜひご検討をお願いします。
クロケット&ジョーンズの「アイラ」
次は、@leathershoes.kingさんの投稿から、クロケット&ジョーンズ(Crockett&Jones)の「アイラ」です。
「アイラ」といえば、映画『007スカイフォール』にてジェームス・ボンドが着用したモデル。
ラストは「365」。フルブローグの編み上げブーツで、アッパーにはスコッチカントリーグレインカーフを採用しています。
ストームウェルト製法で防水性が高く、ダイナイトラバーソールを採用しているため雨でも滑りにくく歩きやすいのが特長です。
@leathershoes.kingさんは、履くほどに柔らかくなり味わいが増してくるグレインカーフの魅力を見事に引き出しています。
梅雨で長雨が続くと気温も下がるので、ブーツという選択肢もアリな気がしてきました。何よりソックスが濡れて不快にならないというのが良いですね。影響受けて引っ張り出してみようかと思います!
エスポアールのダブルモンク
4番めは、ルームシューズ、ベルルッティの回に続いての登場となる@kumamon001969さんの投稿から、エスポアール(ESPOIR)のダブルモンクです。
伊勢丹オリジナルのインポートシューズブランド、エスポアール。
スペイン製、マッケイ製法、革底といったハイスペック仕様なのに、ほぼ2万円という驚きの価格で人気を博しています。
ラバーソールですが、マッケイなので水溜りがあると心配ですが…、@kumamon001969さんが所有なさっている靴のラインナップだと、雨用はこの辺になるんですかね。ベルルッティで雨は避けて頂きたい。
エスポアールはノーマークだったので、今度伊勢丹でチェックしてみます。
ジャラン スリウァヤのダブルモンク
最後は、靴魂企画の常連になって頂いている@kobon0725さんの投稿から、ジャラン スリウァヤ(JALAN SRIWIJAYA)のダブルモンクです。
1919年インドネシアにてテデ・チャンドラが創業した、ジャラン スリウァヤ(JALAN SRIWIJAYA)。
元々オランダの植民地であったことから外国人向けのミリタリーブーツを手掛けていましたが、経営者の息子ルディ・スパーマンがイギリス・ノーザンプトンで修業し、フランスで皮革の生産を学び、ハンドソーンウェルテッド製法での靴作りを習得。そして2003年にジャラン スリウァヤブランドを誕生させます。
ややノーズが長めでエレガントな印象の定番ラスト「11120」を使用したダブルモンクストラップシューズは、アッパーにフランス製カーフ、ソールにはイギリス製のダイナイトソールを採用。
ハンドソーンウェルテッド製法なのに4万円以下という破格さがウリで、ダイナイトソールを履いているので雨にも強いのが嬉しいですね。
@kobon0725さんの日々の手入れの賜物ではありますが、つま先が雨粒を弾いて まるで玉のよう。これなら雨でも怖くありませんね。
安価な靴だからとぞんざいに扱わず、大切に履く@kobon0725さんは本当に素晴らしい。いつも学ぶことが多いです。
雨が続くと気持ちは滅入りますが、心強い相棒的な革靴を履けば少し元気になれそうなので、ぜひ防水性の高い一足を手に入れてみてはいかがでしょう。しかし、いくら雨に強い靴と言えども、履いてそのままだと革は傷み、カビが生えたりしますから、最低限のメンテナンスは怠らないように心がけるのを忘れずに!
それでは、本日はここまで。是非これからも ドレスシューズに限らず、ブーツやスニーカーなどなど、みなさんの愛用靴を「#靴魂」を付けて たくさんポストしてください! 女性も大歓迎!
ちなみにですが、会員登録して頂けるとコメントを書き込むことができますので、#靴魂に対するご意見や感想、「オレはココの靴が好きだー」「こんな切り口で靴が見てみたい」などなど奮ってコメントしてください。それから、インスタグラムの #靴魂(くつたま)を介して、皆さんが交流してくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
投稿に関してですが、撮影の仕方は自由。靴のみ、履いている足元、その靴を中心としたコーディネートなどなど、靴が写っていれば何でもOKです。ぜひご自慢の一足をインスタグラムに投稿してください。もしかすると あなたの投稿を取り上げるかもしれません。
それでは次回の「あなたの靴、見せてください」もお楽しみに!!
Edit:Ryutaro Yanaka