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SONY元異端社員の艶笑ノート

SONY元異端社員の艶笑ノート 「引っ越し当日、アパートの前で殺人事件が起きた」

2017.3.24
2017.3.24

映画の中のような府中という街

以前、「将軍様」の映画の話をした(Vol.14)が、そのさい、上映会場となった府中市には土地勘があると書いた。

会社に入る前、ぼくは府中市に住んでいたが、それは大学に通うのに便利な場所だったから。入学したのは中央大学で、八王子の山のてっぺんを切り開いた場所にあった。中央大学は元々神田にあったが、戦後の学生運動全盛期、当時の学生がやたらと激しい運動をしたため、とりわけ過激な文系学部が山奥に飛ばされたというのが移転の真相だ。

学生運動などほぼ無くなっていたぼくらの世代にとっては甚だ迷惑な話だが、入ったものは仕方ないので、通いやすい場所ということで選んだのが府中だった。ここなら乗り継ぎ一回で大学の最寄り駅まで行けたからだ。(ちなみに、最寄り駅から大学までは更に20分も歩かなくてはならなかった)

あくまで通学の利便性から選んだのだが、この街がまさか自分の人格形成に最も重大な役割を果たすことになるとは思ってもみなかった。ぼくは競馬やカジノの本をこれまでにも出版しているほどのギャンブル好きだが、そのきっかけもこの街に住んだことがきっかけとなった。

現在の府中市は、どこにもあるような普通の街だが、ぼくが住んでいた当時は、信じられないような出来事が次々と起こる、まるで映画の中のような街だった。

引っ越し当日、アパートの前で殺人事件が起きた

引っ越したのは1986年だった。
衝撃は引っ越し初日から始まった。引っ越しが終わり、メシでも食いに行こうかと思ってアパートを出ると、目の前の駐車場で黄色いロープが張られ、おまわりさんが立っていた。人が殺されたというのだ。ヤクザさん同士の抗争があり、銃撃戦になったと、そこにいた野次馬のおじさんが教えてくれた。

距離的に考えて、アパートにも銃声が聞こえたはずだが、ぼくのような一般人は銃声など聞いたことがなく、もし聞こえたとしても、何かでかい音がした程度で終わっていたのだろう。1986年3月のことだから、国会図書館に行けば新聞の地方版にでも出ているかもしれない。

府中の銭湯は地獄の釜か

引っ越してから知ったのは、この街にはヤクザさんが実に多いということだった。それを肌で感じたのは銭湯だった。アパートの近くに銭湯があったので、引っ越しの垢を流そうと、さっそく入りに行った。
そこでぼくはびっくりした。
当たり前だが、銭湯では子供から大人までみんな裸だ。そんな裸のおじさんの背中にカッコイイ龍や妖艶な蝶が飛んでいたのだ。

入れ墨なんて映画でしか見たことがなかったぼくは、本物の入れ墨を見て、

「これが例のあれか」

と思った。

引っ越し初日に殺人事件は起きるし、銭湯には入れ墨の人たちがいるし、すごいところに引っ越してきたんだなとぼくは思った。

今では全国的に、温泉や銭湯などで「入れ墨お断り」の張り紙がある。当時もあったのかもしれないが、府中の銭湯にはそんな人がけっこういて、右を向いても左を向いても、蝶やら大蛇やらがうごめいているため、熱い湯舟に入っている時など、まるで地獄の釜で茹でられているような気分がした。

じろじろ見てはいけないと思い、できるだけ何も考えないようにした。次第に、ヤクザさんが隣にいるときは自動的に思考停止するクセまでついた。
ある日思考停止したまま地獄の釜に浸っていると、隣にいたヤクザのおじさんが、

「あー。湯舟でしょんべんすると気持ちいいなあー」

と言った。
その瞬間、一般のおじさんたちはサッと湯舟から上がっていった。
ぼくにもその言葉は聞こえたが、何しろ思考停止中である。

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