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FASHION 僕が捨てなかった服

スタイリスト小沢宏 第10回「ブルースウェーバー」のTシャツ

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

キャリアをスタートさせた時から大好きな写真家

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。トップバッターのファッションエディター山田恒太郎氏に続き、10回にわたり、スタイリストの小沢 宏氏が膨大な数の所有してきた服の中でも捨てられなかった服をご紹介する企画、最終回は「ブルースウェーバー」のTシャツです。

 

アメリカのフォトグラファー、ブルースウェーバー。彼を一躍有名したのは1980年代のカルバンクラインの広告キャンペーンでした。彼の撮ったアンダーウェアの広告写真を記憶している方も多いのではないでしょうか。

僕がこの業界でスタイリストの仕事を始めた21歳の時、今から30年程前のことですが、当時流行っていたのが彼の写真集『リオデジャネイロ』。モノクロでリオデジャネイロの若者たちやグレイシー柔術のヒクソングレイシーなどを撮影したもので、僕もこの写真集を始め、ブルースウェーバーが好きでいろいろ集めました。

そして、ブルースウェーバーの写真そのものだけでなく、アートディレクション、 いつもコンビを組むスタイリスト ジョー・マッケナのスタイリング、本人のライフスタイルなど、すべてに憧れていました。 一時は世界中のファッション雑誌のスタッフクレジットをチェックして”Photo by BRUCE WEBER”と 記されていた雑誌はすべて購入したほどです。

「ウェーバービルト」という ブルースウェーバーのオリジナルブランド

 

モノクロのlet’s get lostのロゴの入ったものも、ブルーのロゴのものも、かなり古く、正直どこで買ったかは憶えていないんです。 初期の頃は原宿の「ア ストア ロボット」で売っていたし、その後にアニエスbとコラボ。 映画『レッツゲットロスト』公開時にリリースされたモノなど...、 それらの記憶が混在してはっきりしない。ただ、どちらも彼がチェット・ベイカーを撮ったドキュメンタリー映画のものです。

多分20年以上前に購入。フルートオブザルームのボディを使っている。 

ちなみに、著名ファッションフォトグラファーのフォトプリントTシャツも彼がスタートさせたようなもので、モノクロ写真にパステルカラーの文字、袖口やバックにもプリントを施すなどシャツとしての完成度も群を抜いていました。。他にも彼の写真プリントのTシャツをいくつも購入したのですが、今手元に残っているは、この2枚だけです。

どちらのTシャツもかなり着こんでいて、ヨレヨレなんですが、これこそ「捨てられない服」。どうやら巷では高額で取引をされているらしく、額縁に入れて飾っておけば!?なんて言われましたが、服は服として扱うものであって、飾るものではない、というのが僕の考えなんです。

2度と手に入らないアイテムだと思うので捨てられないんですが、コレクションアイテムとか家宝とかいうのではなく、あくまでも僕にとってはTシャツであって着るモノなんです。

それはどの服に対しても同じスタンス。服やモノとして優れているものは残すけれど、思い出があるから残すというものではないんです。今は着ていなくても、また着るかも、と自分なりに思える理由があるものだけが結果的に手元には残っていますね。

Photo:Riki kashiwabara
Text:Yoshie Hayashima
Edit:Ryutaro yanaka

小沢 宏
スタイリスト、デザイナー
1964年、長野県生まれ。大学在学中に雑誌『POPEYE』のスタイリストアシスタントとしてキャリアをスタート。『POPEYE』を始め『BRUTUS』『Huge』『Uomo』『Men’s Ex』など様々なジャンルのエディトリアル スタリングを手掛ける。
今月正式発表となったがアシックスウォーキングのクリエイティブディレクターに就任。アパレルだけではなく、これからはフットウェアのクリエーションもスタートさせることに。



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