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WOMAN

ココロが壊れそうなときは「世界にひとつのプレイブック」
美人コンシェルジュのこじらせ映画評

2016.10.25
2016.10.25

自分の傷を笑顔に変えてみませんか?

FORZA STYLE読者のみなさん、こんにちわ。
映画コンシェルジュ・日高夏子です。
第3回もはりきって映画愛をこじらせていきますので、お付き合いよろしくお願いします!

さて、実は私、映画への愛と同じくらい映画に関連するイベントを愛しています。中でも愛してやまないのがアカデミー賞授賞式。小さい頃からずーーっと憧れていて、毎年、生中継をかぶりつくように見ています。アカデミー賞の魅力は、豪華なセレブの供宴に感動的なスピーチ、サプライズ満点の演出など、見所が満載なところ。これまでに数多くの名場面が誕生していますが、私がここ最近で一番印象に残っているのが2012年の授賞式で主演女優賞に輝いたジェニファー・ローレンスが起こしたハプニング。

彼女は受賞者として自分の名前が呼ばれたことに驚くあまり、ステージに上がる階段でディオールのロングドレス(これがまた、最高に素敵なドレスなんですが)の裾を思いっきり踏んずけてしまい見事にずっこけ、その姿が全世界に生中継されちゃったんです。なんてこっった! と思いましたが…。その時の彼女の照れた笑顔がとっっても可愛くて、会場もこの日一番の拍手と歓声を彼女に贈ってしまうほど。照れながら笑顔でスピーチをする彼女の姿は、最高に輝いていました。

こじらせ女の私は、精神的なものはもちろん、ジェニファーのようにここぞという場面で気合いが空回っちゃったり、勢い余って派手に失敗してしまったりと、行動でもこじらせを発揮しちゃうことが日常茶飯事。実は青アザが耐えず、友達に「え? 彼氏のDV??」とか無駄な心配をさせてしまいます・・・。(そもそも映画が恋人ですからDVとありえない)。ジェニファーの行動に勝手に親近感を持った私は、元々、美人でありながらもかなりひょうきんな部分もありチャーミングな彼女を、勝手に「こじらせ界のスーパースター」とリスペクトしています。

そんなジェニファー・ローレンスが主演女優賞を受賞したのが、今回ご紹介する私の恋人。「世界にひとつのプレイブック」です。大人の恋愛映画をご紹介するべく作品を探している中で、胸焼けしそうにロマンティックな作品や昼ドラも顔負けのドッロドロの作品を選ぼうかとも思ったのですが…。これは、簡単に言うと「心がいかれちゃった大人たちのラブストーリー」です。

「世界にひとつのプレイブック」
©2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

妻の浮気で心のバランスが保てなくなり、仕事も家庭も全てを失ったパット(ブラッドリー・クーパーなんですが、普段はめっちゃかっこいい彼がどうしようもない男を演じているというところも素敵)。彼が出逢ったのは、近所に住むティファニーという女性です。愛らしい見た目からは想像できないほど自由奔放な彼女は、型破りな発言や行動で周囲を翻弄しますが、ティファニーもまた夫を事故で亡くし、心に傷を抱えながら生きていていました。

それにしても、パットもティファニーも精神病…。とはいえ、本当にイカれてます。パットはなぜか毎日ランニングする時に黒いゴミ袋を被ってるし(おしゃれなのか? 防寒なのか? っていうか、そもそも意味があるのか?)、よくわからない些細なポイントでブチ切れて周りのものをめちゃくちゃに破壊しちゃうし。ティファニーも、ちょっとしたことでキレて怒鳴るのですが、図星なことを言われた時のキレ方がとんでもない。容赦なく殴るわ蹴るわ…。

©2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

いつも面積狭めで露出の高い服を着ていますが、その服がしょっちゅう破れたり引き千切れていたりするので、むしろ着ている意味あるのかどうかわからないくらい。そんな状況に自分でもヤバいと思ったのか、なんとかして人生の希望を取り戻そうと、ティファニーはダンスコンテストに出場することを決め、強引にパットをパートナーにします。ダンスの練習を重ねる中で徐々に距離を詰めていく二人ですが、パットは妻の理想の男性になりもう一度やり直すために奮闘を続けていて、パットを想い始めるティファニーは切なさを隠しながらも彼を支え続けます。こちらもイカれた周囲の人々のサポートもあり、なんとかダンスコンテストの日を迎えた二人ですが、実はコンテストをパットの前妻が見にきていて・・・。

ストーリーだけ聞くと、ラブコメディっぽい。でも、私はこれこそが大人の恋愛だと思います。たくさんの経験や葛藤を重ね、心から誰かを愛したことがある、そして失ったことがあるからこそ純粋な気持ちで相手と向き合えなくなってしまったことが、大人なFORZA STYLE読者のみなさまにもありませんでしたか? 何も知らないまっさらな子供だったら、恐れなく素直に伝えられることも、積み重ねてきた経験が邪魔して躊躇してしまったこと、貴方にもありましたよね?

ティファニーもパットも大切な人を失うという大きな傷を負っています。さらにティファニーは、パットに想いを寄せながらも、パットの元妻への気持ちを知っているし、更に、自分の壊れてしまった部分とも闘っているので、自分に自信も持てないし素直に想いを伝えることも出来ませんでした。こんな自分じゃパットを救えない、ましてや愛してもらうことも出来ないと、どんどん自己嫌悪に陥ってしまいます。でも側にいたいから、パットを応援して支える。この行動こそが、大人の愛情なのではないでしょうか。

かくいう私も、実は何年か前に仕事やプライベートでうまくバランスがとれなくなってしまい、心が壊れそうになっていた時期がありました。今はおだやかに過ごしていますが、その時のことをできるだけ人に話さないようにしてきました。何かレッテルを貼られるかもしれない、腫れ物に触るように接されるかもしれない・・・とか。それが怖くて、何事もなかったように努めて明るく過ごすようにしていました。

そんな中で、会う度に距離が縮まっていく男性が現れました。その人といるのは楽しいし、すごく素敵な人だということはわかっているけれど、どうしても越えられない壁があって、あと一歩が踏み出せない状況が続いていました。そんなある日、その時期のことがトラウマになってしまっているということを、些細なきっかけから彼に話してしまいました。もしこれで引かれたり、嫌われたら私の自業自得だし、それまでの関係だったんだろうな・・・。と思いながら。ある意味、ちょっとした賭けであり一大決心でもありました。

でも、彼は笑いながらこう言いました。「そんなことあったってどうってことないよ。だって今のなっちゃんは笑ってそのことを話してるからね。大丈夫だよ。」この時の彼の笑顔は、苦笑いでも愛想笑いでもない。心からの優しい笑顔だったことを今でも覚えています。彼は、私の傷や苦しさを、笑顔に変えてくれました。この時初めて、全てから救われたような、心からの笑顔を取り戻せたような気がしました。何よりも、笑ってそのことを受け入れてくれたことに心から感動しました。長文でのノロケ失礼しました。でも、本当に感激するエピソードだったんです!

©2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.

最後に声を大にして言わせてください。この映画の何よりもすごいところは、精神病者とか心が壊れてしまった人の物語なのに徹底的に明るいところなんです! 普通の作品だと、すごく丁寧に扱わなくてはいけないテーマだったり、過剰に気を遣って描かれることが多いのですが、この映画はそんな二人の姿を思いっきり明るく描いていて、見ている私たちも思わず笑顔になってしまいます。病気だからこそのちょっとおかしな言動も、全てを優しい笑いに変えてしまいます。ましてや二人だけじゃなく、登場人物全員がちょっとイカれちゃっています。

でも、それがどこか愛おしい。気がつくと、最後は一生懸命なパットやティファニーのことを心から応援している自分に気づくでしょう。そう、この映画で私が皆さんにお届けしたい“新しい出逢い”は、精神的にドン底まで追い詰められていた登場人物が、「全てを笑顔で受け入れる強さを身に着ける」ことなんです! 映画を観終わる頃には、きっとあなたも笑顔のパワーに触れてもらえるハズです。

これは、冒頭のジェニファーの話にも通じます。授賞式という最高に荘厳な舞台で転んでしまうなんて、一生の汚点になってしまうようなこと。でも、逆に彼女は人々に愛され、伝説になりました。この伝説が生まれたのは、自分の失敗や汚点を笑顔に変えることが出来てしまったジェニファーの強さ、そして、そんなハプニングを笑顔で見守った観客の優しさ。この2つが重なったからこそ生まれた奇跡ではないでしょうか。

日々、一生懸命に過ごすみなさんは自分のトラウマや過去に悩まされることもあるかもしれません。そんな時こそ、自分の傷を笑顔に変えてみませんか? はじめは引きつってしまっても、それがチャーミングに映ることだってあるんです。そして、同じように大切な人の弱さも笑顔に変えてあげてください。そんな強さを得るためのヒントと、この作品はたくさん出逢わせてくれますよ!

この作品が貴方にとってもかけがえのない恋人になれますように…。それでは、良い1日をお過ごしください♪

Photo:Riki Kashiwabara
Text:Natsuko Hidaka

Edit:栗原P

「世界にひとつのプレイブック」
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発売元:ギャガ
https://www.gaga.co.jp/cinema_items/detail/838/lineup

【撮影協力】
ユーロスペース
渋谷区円山町1‐5 KINOHAUS 3F
03-3461-0211
http://www.eurospace.co.jp/

【ひだか・なつこ】
小学校から大学までの16年間を附属の女子校で過ごした“こじらせ女”。(幼稚園もほぼ女子校だったので、それもカウントすると約20年間)幼い頃に家族の影響でエンターテイメントに目覚る。中学・高校をミュージカルに、大学生活を映画館でのアルバイトに捧げ、海外ドラマ廃人も経験する。映画やエンターテイメントとより多くの人を結びつけたいという想いから、放送局に入社。今でも毎週末は映画館で過ごし、これまで見た作品は約4000本。そんな映画への愛をこじらせ、コンシェルジュとして今回の連載を担当する。なつこのインスタグラムはこちら

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